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シャツも体型にあった補正を入れる?

素人目には、なかなか分かりにくい言葉だと思います。
ですが、まずはこの写真をご覧下さい

左は当社イージーオーダーで仕立てたスーツ。
いかがでしょうか?
モデルはなで肩ですが、それでもコンケープドショルダーにして肩先を盛り上げ綺麗なスーツ(上着)ですね。
オーダースーツとして十分合格点だと思います。
でも、どんなに仕立ての良いスーツでも上着を脱いでみて中のシャツがこうだったらどうしますか?
(ちなみにモデルは当社スタッフK君。このシャツは既製品です。)

青く加筆いたしましたが、首から脇の下にかけてナナメにシワが寄っていますね。
これでは折角のオーダースーツとあまりにもバランスが取れません。

■ どうしてこうなるのでしょうか? ■

 それは、、、K君の体型が標準体より肩下がりが大きいため肩先がストンと落ちてしまうのです。またK君の肩全体がやや前に向いている前肩傾向が強いため、このようなシワが強調されてしまうのです。

それでは彼のような体型の人はどうすれば良いのでしょうか?
それはシャツを仕立てるときに、肩下がりにあわせてなで肩の補正を入れるしかこのシワを消すことは出来ません。
イメージとしてはこんな感じです。
K君の左肩をご覧下さい。肩先の落ちた分を摘むと、ホラっ、ナナメのシワが消えます。

このようにお客様の体型によって補正を加えることを体型補正と言いますが、昨今のオーダーシャツの業界では製品の低価格化意識が強いところから、スーツでしたら5mm10mmの2種類ある補正も、シャツでは5mmの補正が出来れば良い方で、販売店の中にはこういった補正について一切コメントしないお店すらあります。
:当社で扱うイージーオーダーの場合

従って、NET完結型オーダーシャツは双方向で体型を確認できない以上、補正は一切なしと言っても過言ではないでしょう。

■ 実際の補正は・・・? ■

 それでは実際には縫製工場ではどんな作業が待っているのでしょうか?
画像はベースとなるマスターパターンに対して補正を加えた画像です。
少し専門的で分かりにくいですが、当店のオーダーではなで肩怒り肩に対応して肩の線は基本線を含めると5種類の対応ができます。
しかも・・・、この画像だけでは分かりませんが、当社が使用する工場では身体の左右別々の体型補正までが可汎です。

また、体型の補正には、なで肩怒り肩の他に、反身屈伸(身体が反っている、前屈みになっている)、鳩胸前肩、などがありますが、補正の殆ど全てが当社で扱うイージーオーダーと同レベルかそれ以上の補正が可能です。※2
※2:イージーオーダーのスーツでは原則左右別々の体型補正は出来ません。

体型補正のバリュエーションの多さ。
これが当社のシャツが他店と一番大きく異なるところです。※3
※3:当社ではWeb掲載商品以外に8,000円、9,500円、12,500円のオーダーシャツのラインナップがありますが、そちらは別工場のためまでの対応は出来ません。ご了承下さい。

■ 補正をしたシャツの出来上がり ■

 こうしてK君の体型的な特徴についてお話ししましたが、それではどんなシャツが仕立てられるのでしょうか?
当社で仕立てたK君のシャツの仕上がりをご覧下さい。
実際の所、社内初オーダーだったため少々遠慮がちに補正を加えたため、100%満足できる物ではありませんが、少なくとも肩先が落ちていた分は随分綺麗になったと思います。

いかがでしょうか?
これぐらいのシャツになれば先程のスーツと並べても遜色ないですね。

■ その他のありがちなケース ■

 今回はなで肩体型の方を例にとり、現状と対処を紹介しましたが、他にはどんな体型補正が必要な例があるのでしょうか?
代表的な体型補正の例を少しご紹介いたします。

□ ツキジワ □
 ツキジワとは怒り肩体型の人や肩が前に向く前肩体型が強い方に多く出る現象ですが、首の付け根部分にこのような余り皺が出ます。
これはスーツでも時々出ますが、余った分を削ることでスッキリとし?=見た目のシャツが可能です。

□ 反身・屈伸 □
 反身とは身体が反った体型の方、屈伸はその逆で前屈みが強い体型を言います。
反身体は、若い方では胸に筋肉があり姿勢が良い人に多く、一方で中年以降の人は概して肥満体でお腹の重さを身体を反らせることでバランスを取っている方にも多い体型です。
一方で、屈伸体は姿勢が悪いと自覚している人に多い体型です。

こういった方は、例えば反身体でしたら身体が後方に反る分だけ前の丈が短くなるなどの弊害が出ます。
画像は意識的に胸を張ったり、前屈みにして反身体・屈伸体にした画像です。反身は前丈が不足し、屈伸体は後ろ丈が不足するのがお分かり頂けると思います。

□ 胸厚体 □
 シャツで難しいのは胸囲とウエストで落差の大きい方
筋肉質で胸筋が厚く、一方でお腹が細いとその落差故に、お腹周りを細めると胸が苦しくなり、胸回りに合わせるとお腹周りがガバガバになってしまいます。

こういった方には胸が厚い分バスト周りにゆとりを持たせる補正が必要です。 画像のような方はこういった補正を入れた方が良いですね。
:画像はお客様にご協力頂き少し胸を張った状態で撮影しました。(^_^;)

体型補正にはその他メタボでお腹が出ている方用の出腹補正などもあります。

■ 体型補正は難しい仕事(誤解のないように・・・) ■

 体型補正の問題は技術的にも非常に奥の深い問題です。
特にシャツはスーツと違って生地が薄いですし、芯地や裏地がありませんから身体のラインがハッキリ見えてしまいます。
加えて、スーツよりも縫い代が少ないためお直しが出来る範囲が少なく、完璧な体型補正はスーツ以上に難しいです。

当社も前述のように補正のことについて積極的に書いてしまうと、読まれた方は、全く皺のないシャツを仕立てられるのか?と誤解されてしまうかも知れません。

しかし実際には体型補正を見るのは人間です。神様ではありません。
またご紹介したK君の場合も、初オーダーではお客様の姿勢が本当の姿か?(緊張して変な不自然な姿勢になっていないか?)短時間の接客では分からないことがあります。
そのため初回のオーダーでは補正を控えめにして2着目以降お客様の好みを伺いながら補正に変化を加えることが多々あります。

ですから、縫い直し可能範囲の狭いシャツでは初オーダーで過度な期待は禁物で1枚1枚オーダーを重ねつつ、修正を加えるという意識でいると良いでしょう。

■ スーツのリピーターにはメリットがあります! ■

 そうか、、、シャツも1枚1枚ゆっくり改善していくしかないのか、、、

...と残念に思う当社のスーツリピーターの方もいらっしゃるでしょう。
Jご安心下さい。スーツのリピーターの方は実は非常に大きなメリットがあります。
それはお店が、、、
 スーツを通じて体型補正を把握している 
ことです。
これはイージーオーダーでの日頃使用している仕様書の補正項目の欄です。
分かりづらいですが、なで肩怒り肩反身屈伸全て5ミリ単位で把握しています。
今回のシャツのお仕立ではこの情報に加え、お客様自身のサイジングデータもありますから、スーツのリピーターの方はかなりの精度でお仕立が可能なのです。

不足する情報は、首周り(と裄丈)ぐらい。
裄丈は肩幅の1/2+袖丈ですから、ご自身の首周りを把握されていらっしゃる方でしたら、生地とデザインをご指示頂くだけで、補正の加わったお仕立が可能になります。

いかがでしょうか?
十分な体型補正を加えたオーダーシャツ。
これが当社らしいオーダースーツにふさわしいシャツだと自負しております。

是非一度試してみてください。