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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 水洗いトラブル解消しました! 
GWを目前に控えた4月下旬、皆さん 山へ海へ(お金のある人は海外へ!!)と行楽準備はいかがでしょうか?
今の時期ならではの楽しいNewsが舞い込んできそうなこの頃ですが、今月はファッション業界にとっては今年は目前に控えたCOOLBIZもありますし、年間でも一番忙しい時期です。

さて、そんな物売りにとっては一番セールスに力を入れたいときではありますが今月はメンテナンスを重視して前回ご紹介した水洗いでのトラブルの仕上がりをご紹介したいと思います。

まず、おさらいまでに前回のご注文(ご相談?)を振り返ってみますと

ご登場いただいた方は >> 神戸市の岡田さん
ご相談内容は >> 地元クリーニング店で行ったスーツの水洗いがどうも良くないとのご相談
どこが悪いかというと >> 画像のように衿のステッチがピリピリに
どんなことをしたかというと >> 工場長が時間を掛けてステッチの入れ直し

 ...といったものでした。

そこで、今回はその仕上がりの画像を交えながらどうしてこうなってしまったのか?など専門的な意見を踏まえご紹介したいと思います。

■ 仕上がりは・・・ ■
それではまずは仕上がりの画像からご紹介〜、BeforeAfter形式で比較してみますと・・・

Before
After

いかがでしょうか?
左の画像にある衿の凸凹というか、ステッチが突っ張ってしまってピリピリしているのが右画像では見事に解消されています。
う〜ん、見違えるような仕上がりです。パーフェクトです。

そこで喜び勇んで早速、ご相談いただいた岡田さんに仕上がりをお送りしたところ、次のようなご感想を頂きました。

06.04.06 件名:お礼 吉井工場長さま
吉井工場長
 スーツ(上着)、本日到着しました。見事に蘇り、有り難い帰還です。
あの、モヤ〜とした皺とくたびれた襟からは想像もできないほどのシャキッとした出で立ちに変貌した上着を拝見し、うれしく有り難いの一言です。
この度は多大なるご高配とご厚情をいただき、大変有り難うございました。

皆様には大変お手間をおかけいたしましたが、お陰様で息吹を吹き返したスーツを胸を張って着用できますことに感謝し御礼申し上げます。
ステッチを解き、さらに手縫いでのステッチ施し、ビシッとプレスを利かせての仕上げ、細部にまで細心の注意が行き届いた作業は手にすれば直ぐに分かります。
本当に多大なるお手間をかけての修復に感謝多大です。
これからは不注意のなきよう、どのスーツにもメンテナンスには気を配り、技術力ある三久服装さんにてお願いをし、さらなる愛着を持って羽織って参りたく存じます。

簡単ながら、御礼を申し上げます。(神戸市 岡田)

★☆★ 東京SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

う〜ん、なんか“やらせ”に思われてしまう位 過分なご感想メールをありがとうございました!(もちろん本文そのまま掲載していますよ!)

実は、岡田さんからは本メールは吉井工場長宛ですが、直接やりとりをした私宛、取り次ぎ店舗である大阪店の大阪SHOPMASTER宛と、それぞれお礼メールを頂き、かえって申し訳ないぐらいの気持ちです。
もちろん 吉井工場長へも岡田さんからメールを渡すと、目尻に皺を寄せて喜んでいました。
でも、岡田さんからのご感想メールを工場長が読んでから一言、こんな事を言っていました。
岡田さん 今回のこと誰が一番悪いか、分かっていらっしゃるかな?
そういえば岡田さんからは最初、こんなご相談メールを頂いていましたね。(再掲)
06.03.16 件名:Shopmaster清水様

既製服のラペル皺を御社の縫製会社のプレスがけで直していただけませんか。
行きつけのクリーニング店で水洗いをしたら、ラペル部分がヨレヨレになってしまい、店ではどうしようもなく無理な点があるようです。
今日やり直しが戻ってきたので、状態を見ましたらやはり紳士服のプレス技術が高度でないためか、その店ではラチがいきませんので、お願いしたいのです。
可能でしたら、20日に持参します。ご回答お願いします。

神戸市 岡田
このメールは前回(お客様いらっしゃ〜い)ご紹介したときのメールですが、これによれば、当然水洗いをした後、生地やステッチを縮ませたままプレスをしてしまったクリーニング店が悪いかのようなメールですよね。
メールから推察すると岡田さんの怒りの矛先は確実にクリーニング店に向けられていたと思います。
でも、工場長はそこが気がかりだというのです。

つまり、どうやら今回のトラブルはクリーニング店よりも最初に仕立てたお店が悪いようなんです。

そこで工場長にこの辺実際誰が悪かったのか?何が悪かったのか?を技術的に工場長に聞いてみました。
(本稿は岡田さんへのメッセージでもありますので岡田さん向けに書いてみました。)

■□■ 吉井工場長より一言・・・ ■□■
岡田さん
先日の大阪出張時には大変お世話になりました。
今回は災難でしたね、水洗いをしたらあんなになってしまって...

これまでのご相談の中ではお直しをすることばかりが優先されてしまいましたので詳しくご説明できませんでしたが、綺麗に仕上がり岡田さんもお喜びになられたようですので、今日は今回のことがどうしてこうなってしまったか?原因を含めてご案内いたしたいと思います。

今回のトラブルでクリーニング店の責任と最初にスーツを仕立てたお店の責任、それぞれの責任割合はどれぐらいだとお考えですか?
吉村から聞いている範囲では多分、8割方クリーニング店が悪いとお思いかと思います。
私も当初ご相談いただいた時はそのように思いました。
でも、スーツが送られてきて実物を拝見したら全く逆でした。

今回の責任の8割は、最初に仕立てたお店にあります。
(実際には既製品でしたからそのブランドの工場に責任があります。)

どうしてこう考えたかと申しますと・・・
トラブルの最大の原因は、プレスが下手だからではなくステッチが最初に強く入りすぎていたからなのです。
洋服というのは仕立てるときに所々ステッチを入れますが、そのステッチが強く入りすぎていても仕上げの際、プレスをキツク入れれば概して目立たなくさせたりすることは簡単です。
特に接着芯を多用する既製服や安価な洋服では至極当たり前に、この辺の所を(悪く言えば)ごまかすことができます。

今回のトラブルは、そうやって強く入りすぎたステッチをうまく誤魔化したまま販売し、その後水洗いをしたため、水洗いで初めてスーツが自然な状態になり、これを普通にプレスしたからこうなったのです。。

ですから、もしクリーニング店を責めるのであれば、原因をハッキリ岡田さんに説明し、時には自社でお直しするだけの努力をしなかった点であり、根本的な悪者は当初の仕立てだと思います。

この辺は、なかなか作った者でないと分からない所はありますが、どうか岡田さんもこのクリーニング店を責めないであげていただければ幸いです。

いかがでしょうか?
手縫いのオーダースーツでは縫製する日の気温や湿度まで気にしてお仕立てしていますが、こういった所まで気を掛ける吉井工場長ならではの意見ですね。

最近はスーツの水洗いもそこそこ認知され(特に今期はファッション誌でもよく取り上げられていますね!)需要も多くなってきているとは思いますが、水洗いもスーツのご注文と同じでお客様に対する相談力コンサルテーション能力)が大切なのではないでしょうか?

今回のことは、同じ水洗いでも意外と考え方や立場の違いで色んな方法があり、やり方次第ではそれぞれ別の結果をもたらす、というとても良い勉強材料になりました。
当店はスーツのご注文でも相談力あるお店になりたいと思いますし、例え他店の製品のクリーニングであってもこういった気持ちを大切にしたいと思います。
今回は私もとても良い勉強になりました。


当店のハンドメイド工場ではこんな事も行っています。
なかなか、フルハンドのスーツを仕立てるのは高価なため 皆さんもスーツを注文するのははばかられると思いますが、スーツの水洗いを通じて補修や再プレスなどその片鱗に触れることも可能です。

是非こんな誠実な吉井工場長に皆さんからも熱いご声援を!!
(自社スタッフにこんなこと言うのはちょっと変ですかね?)