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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 トリミングジャケット完成です! 
長かった冬も終わりを告げようやく春の陽気になりましたが、こうなると花粉症の方には辛い季節になりましたね。
私たち仕立て屋は日頃から生地ボコリなどのハウスダストが多い職場なだけに、花粉症の割合が極めて高く連日ティッシュ片手にビィービィーしています。

さて、辛い時期ではありますが、今月は2カ月がかりで取り組んできたIさんのトリミングジャケットがようやく仕上がりましたので、出来上がりを皆さんにご紹介したいと思います。

簡単にIさんのご注文を振り返るとこんな感じの方でした。
詳細はこちらでご紹介中です。よろしかったらご覧下さい。

  >Part.1:トリミングジャケットただ今お仕立て中(ご注文を受けるまで)
  
>Part2 :トリミングジャケットただ今仮縫い中(仮縫いの顛末)

■Iさんのご注文(こだわり) ■
Iさんからは最初にこのような画像を頂き、こんな感じに襟周り、裾周り、ポケット周りにベントから袖先までアチコチにトリミングを施したいというご要望。
1.ラペルデザイン
色を分けたデザインではなく形(カタチ
2. 上着の縁取り
襟から裾にかけて、袖先とベント(画像ありませんが)にL字状
3.重ねフラップのチェンジポケット
正直、部分部分のトリミング(パイピング)ならともかく、ここまで全体にトリミングを掛けたのは私も初めて。
しかも、トリミング素材はウールと違いポリエステル製。
ウールならアイロンワークで生地は曲がりますが、ポリエステルだとなかなかそうはいかない。
かなり苦労しそうなご依頼でした。

そこで、曲線部分、屈曲部分のトリミングなど技術的に難しい所があるのでハンドメイドのラインでご注文を受けることに...

■ 仮縫いは・・・ ■
仮縫いを付けるフルオーダーのラインではこれまでシルエットや仕立て方にこだわったご注文はありましたが、ディテールに凝ったご注文というのはそれほどありませんでした。

でも、Iさんのご要望を伺う内に工場長も情熱がメラメラ沸いてきて、、、
仮縫いにも4種類のトリミングを付けてIさんに説明したり、チェンジポケットの微妙な位置にこだわるIさんを説得するため画像のようなシーチング(白い布)でポケット位置を表現したりと、仮縫いディテールにもこだわりを見せつつ仮縫いを行いました。

もちろん体型補正もぬかりなく、、、
スーツの命である肩は、わざわざ一度肩線を外し、袖まで外してから付け直す程の力の入れよう...
ここまでやって良い物ができない訳がありません。

■ 出来上がりは・・・ ■
こうしてやっとのことで出来た出来上がり。

まずは、Iさんが来店される前に私がボディーに着せて撮った画像からご覧下さい。
 全体像
いかがですか?
ブラウンのサテンでトリミングをしたため、光沢感が出るようフラッシュを当てて撮影してみました。

横に置いたスェードのシューズと合わせるとかなり洒落ていますね。
ウエスト絞りも利いていてスタイリッシュです。

 ディテールは?
それでは少しディテールをもっと詳しく見てみましょう。

トリミングの始末
トリミングで一番難しいのは、立体的な曲面での表現方法
特に襟の立ち上がり部分は仕立ての腕の見せ所です。
画像をご覧いただいて如何ですか?
ちょうど襟の立ち上がりで表裏が切り替わりますから、それに合わせて第一ボタンの下数cmの所までトリミングを付けました。
絶妙な襟のロール感といい、申し分ありません。

襟先の始末
トリミングでもう一つ難しいのは襟先など鋭角に曲がっている部分の始末
画像をご覧下さい。
上襟も下襟も綺麗に額縁状に始末しています。
綺麗に仕上げるにはかなり手間の掛かる作業です。

チェンジポケット
チェンジポケットもポールスミス風にということで位置を下げ、縁取りにはトリミングをしました。
これもまたなかなか良い感じです

袖を上に上げ撮影しましたが、脇の絞りもまた何とも言えない優雅なラインで、綺麗です。

袖先のトリミング
まだまだ凝ったディテールは続きます。
画像は袖周りのトリミング
オーダーで本切羽ですから切羽に合わせて上部までトリミングを施しました

いや〜、ここまで来るとしびれてきますね!!
少々手前味噌ですが、凄い完成度の高さだと思います。
早くIさんにご覧いただきたいです。

そこで早速Iさんにご連絡を。
08.03.04 件名:スーツが仕上がりました。
Iさん
こんばんは。オーダースーツのヨシムラ(吉村)です。
ようやく少しはルが近づいた感がするこの頃ですが如何お過ごしでしょうか?
先日来ご注文の件では色々と賑やかにありがとうございます。

さて
そのご注文の件ですが、ようやくスーツの方が仕上がって参りました。
襟の雰囲気も良い感じに上がっています。

早速お納めしたいと思いますが、ご都合はいかがでしょうか?
フィッティングの方は、フィッターがいた方が良いようでしたら金曜、土曜に、私で構わないようでしたら今週はずっとおりますのでいつお越し頂いても結構です。(スミマセン今週の土日は私が休みでした)

ご都合などお聞かせいただければ幸いです。
どうぞ宜しくお願いいたします。

オーダースーツのヨシムラ 東京SHOPMASTER 吉村雅隆
メールを出すと、すぐさまIさんからお返事が。
きっとIさんも楽しみだったんでしょう。ご来店は私の都合もあり週末金曜日になりました。

遅くのご来店でしたから他のお客様もいらっしゃいませんでしたのでちょっとモデルになって貰いました。

お゛ぉ〜..Iさんも緊張気味ながらも喜びを隠せないようです。
上着の方はサイズもバッチリ。でもちょっとだけパンツの方で気になることが...
それはIさんからのご要望とはいえちょっとタイトフィットに仕立てすぎたのかな?という不安
画像をご覧下さい。
このパンツ姿。ハッキリ言ってお尻に食い込むか食い込まないかのギリギリの所
見ている分にはこれほど美しく仕上がっているパンツは珍しいのですが、やはりパンツは動くことが出来てナンボ。

そこでIさんには見た目と実用の違いを説明し、少し脚を上げて貰いました。
:皆さんもちょっとタイト目かな?と思った時、こうすると一発で分かりますからご自身の試着の際に励行してみて下さいね。

そして、ご本人からは見えにくい背中のフィッティングもこの通り。
この画像、プロが見ても驚くと思いますよ。ホント、変なシワ一つない仕上がりです!!
(脇下にシワのような物がありますが、これは腕を前に出すためには必要なゆとりです。)

フィッティングを終え、Iさんも大満足の様子でした。
なんてったって、こだわり抜いたご希望のデザイン・ディテールに、それがフルオーダーでパーフェクトなフィッティングだったんですからね。

そんなこんなで当店で初挑戦のトリミングジャケット
吉井工場長の力を借りて、パーフェクトな仕上がりとなりました。

トリミングジャケットは今シーズン注目されているアイテムの一つですから、もし試されたい方はお気軽にお問い合せ下さい。

今回のIさんはこだわりからフルオーダーでお仕立てしましたが、トリミング作業その物はスーツが完成してから後加工で出来ますのでイージーオーダーで仕立ててからトリミング加工だけをフルオーダーのラインで行うことも可能です。

■ 後日談 ■
実は....その後、Iさんからは次なる指令が出ておりました。

それは....   トリミングシャツ & 桜の花びら刺繍(シャツ)
それに加えて、 切り返し&色違いトリミングスーツ

これまた厄介なご注文で、是非皆さんにご紹介もしたいんですが、あまりIさんばかりにご登場いただくのも心苦しいので、この辺は私のライブラリーにだけ納めておくことにいたしたいと思います。

私もこの仕事を長くしていますが、いつもいつもお客様のパワーには圧倒されます。

時には、面倒くさいな、、、とか何故こんなことを?、、、と思うこともありますが、お客様と一緒になって新境地を開拓すること、こんな楽しい仕事はありません

Iさん、本当に有難うございました。  (吉村&吉井)