服地の本場大阪谷町で生まれ、東京神田の生地屋街で育ち...はや

vightextopロゴ

MADE TO ORDER オーダースーツのヨシムラ

オーダースーツのヨシムラ >> お客様ありがとう >> 望外の出来

お客様ありがとう

2018年7月30日更新

望外の出来

先日、代休を頂いて恒例の一人旅で鹿児島、天草に行ってまいりました。
予定を立ててから行くまでの間にタイミング良く天草地方が世界遺産に登録されたので、正直混んだら嫌だな、と思っておりましたが、週の真ん中の平日で拍子抜けするほどの閑散具合,,,,,しかも旅館の宿泊は私一人でしたし笑。
ただお陰様でメンタル的なリフレッシュは出来ましたが、2日間で計500kmのドライブはフィジカル的には修行レベルでした笑。
次は9月の3連休に鳥取は倉吉にある“三徳山投入堂”に行こうと思ってます。

さて今回は、老舗テーラーよりお譲り頂いたヴィンテージ生地の中にあった”アイリッシュリネンを見て、思いかけず仕立てたリネンスーツの仕上がりを御覧頂きたいと思います。

そもそもはシャツ+パンツのみの昨今のクールビズスタイルに、クーラーが今ほど普及していなかった時代を快適に過ごそうとした諸先輩方の知恵を拝借し、一石を投じたいと思ったのが始まりでした。
前回のいらっしゃいの中では触れておりませんが、リネンとはそもそも繊維の中がウールの様にギッシリと詰まっておらず、空洞になっている為、放熱効果に優れ、夏でも涼しく着れるという訳です。
しかし中が空洞(ストロー状)が故に折れやすく、一旦折目がついてしまうと元に戻らない特性がシワになりやすい、ということに繋がります。
それに生地が薄くなれば当然細かなシワが入りやすくなり、反面目付(ウエイト)のある生地は大きなシワ(粗い)となるので、同じシワでも与える印象は全く変わってきます。
今回のアイリッシュリネンはおそらく350gオーバー、数多あるリネンの中でもネガティブな特性を極力抑え、良い部分だけを抽出した素材であると言えるでしょう。

それでは仕上がりをご覧頂く前に、今回の生地と基本デザインを改めてご紹介したいと思います。

◇生地・・・・英国製アイリッシュリネン ブラウン

英国製アイリッシュリネン ブラウン

画像は陽光を当てて撮影しましたのでかなり淡く写っておりますが、
現物はもっと濃い赤茶のような色合いです。
本来、ブラウンはカジュアルな印象を与える色目ですので、
フォーマルなビジネスシーンでは傍系色となりますが、クールビズならOKでしょう。

◇デザイン
☆ジャケット
基本デザイン

シングル3B段返 セットインスリーブ

裏仕様

大見返し(アンコン)

ベント

サイドベンツ

フロントカット

レギュラー

袖仕様

本切羽4B キッシング

ネーム

“M”(ドイツ文字)

ボタン

茶蝶貝

☆パンツ
前タック

ノータック

サイドポケット

ストレート

裾仕様

ダブル3.5cm巾 糸留

ではお待たせしました!今回のアイリッシュリネンスーツはこんな感じで仕上がりました!

私・第一声:“めっちゃいいやん♪”
手前味噌で恐縮ですが、非常に品のあるスーツです。
仕立て上がったばかりですから、当然リネンらしいシワは全くありません笑
ですが、おろし立ての新品のスニーカーはどこか気恥ずかしいように、これからガンガン使い込んで、秋冬のツィードのように育てていくのが楽しみです。

オーダーの世界に入って15年、これまで累計50着!以上のスーツ&100枚以上のシャツをオーダーしてまいりましたので、もう自身のサイズ感はほぼ完璧に把握しているつもりですが、今回のスーツは思いのほかの仕上がりとなり嬉しい限りです。

◇point1:涼しさを追求した裏仕

リネンの最大のメリットは通気性の良さから来る涼しさ
その特性を裏地を付けることにより損なわせるのはどうか?とのことで、背裏も袖裏も全て排してみました。
ただこれは質の良いアイリッシュリネン特有のしなやかさが有るからこそ出来ることで、巷にリネンとして出回っているヘンプ(大麻)やラミー(苧麻)だと背や袖はシャツがまとわりつき画像のようなフィッティングにはなりません。

◇point2:袖はロールアップ出来るように本切羽キッシング

何度も言いますが、今回のコンセプトはビジネスシーンでのリネンスーツ
見る者にも清涼感を与え、自身も涼しく着れ、且つある程度のフォーマル感を持たせるには?と考えた結果ですので、基本先の画像のようにタイドアップをイメージしてます。
ただインナーをTシャツに変えれば、あっと言う間にカジュアルスーツに大変身!
それには袖のロールアップが必須だろう、ということでの袖裏不要との選択でございます。
インナーは白をベースに合わせていくとブラウンの重さを相殺させられるのでお薦めですが、間違っても今年のような猛烈な暑さの夏において暖色系を合わせるは絶対NGです。
2割増で汗が出ること、間違いありません笑

◇point3:ネーム刺繍はドイツ文字で一文字のみ(マイブーム)

どうということは無いのですが、最近ドイツ文字が新鮮で、スーツ、シャツ共に南浦のネームはこのドイツ文字onlyなんです。
デザイン的にもなんかカッコ良くないですか?
もちろん真似して頂いてOKですよ笑、南浦のように少し大きめ(2cm角)で入れるのがお薦めです。

◇point4:“マローネ・エ・アズーロ”

イタリアンスタイルの定番的配色として、ファッショニスタの間では呪文のように唱えられているこの言葉。
1枚目の画像のようにネクタイとのコーディネートは比較的入りやすいかと思いますが、もう1歩踏み込んでネイビーの綿麻のシャツと合わせてみました。
いかがですか?正直、これ着てどこ行くねん?って感じですが笑、この夏、一番のお気に入りコーディネートです。


ざっと、こんな感じでまとまりましたが、ご参考になりましたでしょうか?
インナーをTシャツで合わせたり、ジャケットの脱ぎ手に持っていても決してだらしなさを感じさせないのは、質の良いアイリッシュリネンだからこそ。
クールビズが終わる秋口まで十分着ることの出来る生地ですので、費用対効果は抜群です。
“ヴィンテージショップYOSHIMURA”がオープンして、このアイリッシュリネンの在庫も少なくなりましたが、まだ残っている色目もございますので、ご興味のある方はお急ぎください!

ページ上部