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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!
 これなら北海道でもOK? 
木枯らしが吹きそろそろ街並みも寒々してくる季節ですが皆さん冬支度は万全ですか?
都会でしたら電車に乗ればそこそこ暖かいですし、最近のビルはどこでも冷暖房が効いていて快適ですが、でもちょっと外に出るときなどはコートが手放せない時期になりました。
(というか、コートなしでは寒々しくさえ見える季節になってきました)

そこで今回はこの時期ならではのコートを取り上げてみたいと思います。
ご登場いただくのはコートならこの場所! >>> 北海道!!(寒いところでこそコートが生きます!)
こちらにお住まいのWさん。
Wさんはリピーターの方で初めは提携店で採寸したり、東京出張の合間に再採寸にご来店されたり...となかなか簡単にはお会いできない方ですが、懇意にして頂いている方です。

そんなWさんから9月にスーツのご注文を頂いた際一緒にこんなコートのご相談を受けました。
03.10.01
(ご注文メールより抜粋)
サンプル注文の時にフラノ地を希望していたので、別途生地見本もお送りいただきありがとうございました。
「フラノ地で注文」のつもりが、冬物を出してみたらフラノ地の背広が一着あったのと、運良く共同購入にエントリーできましたので、今回はハーディーエイミスにします。
サイズは8月に貴店に寄った折、肩パッドを若干調整したほうが良い旨をアドバイスいただきましたので、念のため採寸の控えを確認ください。
その他 スタイル等アドバイスがありましたら提案ください。

それと質問ですが、膝上くらいのコートを検討していますが、ロロピアーナのBL4207で裏地を厚くすることは可能でしょうか?
北海道で使用するため、この生地のままだと寒いと思います。 カシミアは車の運転には耐久性で劣るしょうから、ウールでもし他の生地がありましたらお教えください。
★☆★東京SHOPMASTERより一言・・・★☆★
9月の共同購入(Hardy Amies)でめでたく入札できたWさんからもうコートの話です。
あぁ〜そうか、北海道ではもう冬支度なんだな・・・1年って早いな〜。
などと感傷に浸っている間はありません。

裏地ですか〜。そうですよね、北海道ですから内地よりグンと寒いはずですから当社で扱っているスーツ用のキュプラ裏地ではさすがに心もとないですね。
きちんと説明しておかなきゃ!ということで、早速ご質問に対しこんなお返事をお出ししました。
03.10.02
件名:オーダーシートの送信有難うございました。
(一部抜粋)
>>> コートでもご検討いただきありがとうございます。
BL4207でお仕立する場合に限りませんが、コートでは通常のスーツとは違った裏地(キュプラも含む)を使用します。
コート用に肉厚ですのでどうぞご安心下さい。(とは言ってもな〜、冬の北海道知らないし...ちょっと不安)
また、他のコート地ですがコート用サンプルでは100%・60%カシミヤの他、100%アンゴラなども扱っていますが、いずれにしても車を運転しながらの摩擦にはちょっと厳しいと思います。
このような方はやはりウール物先述のウール100%のBL4207のようなものや耐久性の高いHarrisTweedなどが最適だと思います。
★☆★コート用とジャケット用生地の違いって?・・・★☆★
当社でもカシミヤのコート地も扱っていますが、皆さんコート用の生地とジャケット用の生地の違いって何だかお分かりですか?
肉厚なのがコート地?肉薄がジャケット地? >>> 当たりです。

当たり前とお思いかと思いますが、私達のような生地を専門に扱っている会社ではきちんとした指標でこれを検討しています。
つまり生地というのは150cm幅×1mの単位の重量で
スーツ地なら 270g〜320g
ジャケット地は  270g〜 430g
厚手のジャケット地で450g〜550g
コート 地は 430g 〜550g
ということで、実はジャケットとコートには微妙な重なる部分があり、当社では使い勝手を重視しカシミヤなどの重量の割に暖かい素材についてはこのゾーンの商品をコート兼ジャケット用としてご用意しています。
(11月の楽天市場支店共同購入で出品したカシミヤ60%素材やピュアアンゴラは、素材が高級で単位当たりの保温力が高いので概して軽めの物でもOKなのです。)

と、いうことで今回ご検討いただいているBL4207(ロロピアーナのジャケット地)はジャケットとしてはかなり肉厚ですが、コートとしてもOKと言ったものです。
でも、これじゃ北海道ではちょっと心許ないかな?

その後Wさんのご出張等が重なりお互い連絡が途絶えましたが、その後デザインイラスト等をお送りした後10月下旬再開しました!
ご出張は東京出張でしたのでできればご来店頂きたかったのですがさすがに忙しかったようです。
03.10.29
件名:北海道Wです。
(抜粋)
...あと問題は裏地なのですが、キュプラの裏地はいいのですが、それだけでは防寒性に不安があります。
かなり厚地なのでしょうか?
キュプラ自体の素材感がどちらかというとクールなイメージがありますので・・・

ボタン・ファスナーで取り外し可能なウール地か何かチョッキ様なものはつけられないでしょうか?
(取り外しが出来るか否かは問いません。表地と裏地の間に挟んでもかまいませんし、裏地自体が防寒性があればもちろんOKです。)
検討のほど よろしくおねがいします。(北海道 W)
★☆★東京SHOPMASTERより一言・・・★☆★
う〜ん、やっぱり...バーバリートレンチであるような脱着可能なライナーがあれば北海道の方には最適なんだな〜
でも、ウチの工場ではキルティングはOKでも脱着式は確か無理だし。。。(実は昨年同種のご相談を頂き聞いていた。)
ということで、工場へは念のため担当者から再プッシュをしてもらいつつも、私の方では去年が去年だったからまずダメだろうと思い、こんなお返事をいたしました。
03.10.30
件名:ご連絡有り難うございました。
(中略)
チョッキのようなライナー付きで出来ないか?については、一般にライナー付きは裏地なしの場合の裏地代わりですので申し訳ないのですがこういったお仕立はできません。
北海道という地域特性から何とかご要望にお応えしたいのですが申し訳ありません。
ただ、裏地の代わりにキルティングで裏を仕立てることは出来ますのでよろしければこちらをご検討いただけますでしょうか?(脱着は不可です。)

ところで、つい先日ご注文予定のコート地が別のお客さま分で仕上がってきました。
コートとしてみても遜色のない肉厚さで結構しっかりした作りですので、これなら北海道でも大丈夫ではないかと思っています。
(でも冬の北海道に行ったことがないのでその分割り引いてご理解下さい。)
★☆★東京SHOPMASTERより一言・・・★☆★
・・・とお返事を差し上げ送信ボタンを押してしばらくすると、工場指導担当の大阪店清水氏より、なんと『キルティングが出来る!』との連絡が入りました!!
(厳密に言うと従来の工場ではやはりダメだったんですが、相談した清水氏が気を回してくれて新規工場へ働きかけてこれが実現できるようになりました。)清水さん Thank You
よっしゃ〜!お客さまには朝令暮改になったとしてもご希望に近づくのだから恥をかいてでも伝えなくちゃ!
03.10.30
件名:了解しました。
(抜粋)
キルティングについて
実は今回のご注文は従来コート用に利用していた工場とは別工場で職出ししようと考えていたのですが、そちらへ念のため確認したところ、キルティングでの脱着可能なライナータイプもOKとのことでした。
先ほどは先走った回答を失礼いたしました。

オーダースーツのヨシムラ
東京SHOPMASTER 吉 村 雅 隆
★☆★東京SHOPMASTERより一言・・・★☆★
・・・これでホッと一安心です。
Wさん、朝令暮改で気を悪くしていないかな?とは思いつつも良いお返事を期待していたところ。。。
Wさんからも前向きなお言葉を頂き詳細を煮詰めることになりました。
03.10.31
件名:Re:了解しました。
吉村さん
再度 確認いただきありがとうございます。
(中略)
脱着に関して 価格はどれくらいアップになりますか?
価格によっては単に裏地をキルティングにしたいと思います。
トータル金額を教えてください。
(キルティングが付くのであれば 必ずしも脱着の有無にはこだわりません。多分常時つけてしまうと思いますので)
あと 裏地の色や素材等指定することがありますか?
無地で素材も一種類であれば色はお任せします。
一度に仕様を決められずにすみませんが、対応よろしくお願いします。(北海道 W)
★☆★東京SHOPMASTERより一言・・・★☆★
よ〜し、これで北海道(寒冷地)仕様のコートが完成だ〜!
アレっ、原稿を書くに当たり(抜粋)ばかりで肝心なコートの内容が読者に分からないぞ!
スミマセンでした!
Wさんのコートのご注文をまとめるとこんな感じになりました!

生地番号:BL4207 目付:540〜550g
・・・画像では分かりませんが、さすがロロピアーナ社 普通のウール100%素材ですがその起毛感と質感は文字では表現しづらい物です。
サンプル帳がお手元にある人は是非触ってみてください。
目立たない生地ですがこういうのが本当に良い生地というのですよ。

基本デザイン >>> ラグラン袖バルカラー 
・・・ラグラン袖とは袖が肩から繋がっているデザインのコートのことです。
画像では黄色い点線で肩のラインが見えるようにしています。
女性的なデザインである反面、流行に左右されない定番のデザインです。
画像は私のラグランスリーブ セミステンカラーコートです。(ちなみに知る人ぞ知る世界三大メーカーの1つピアツェンザ製です。)

前立て >>> 比翼
・・・ボタンが隠れているタイプ。画像のコートはその逆で通称「ブチヌキ」といってボタンが表に出ているタイプです。

腰ポケット >>> ナナメ
・・・一般にチェスターコートは地面に水平なスーツと同じポケット、ラグラン袖はナナメに付けたハコポケットです。(私のも同じ)

 >>> タブ
・・・一般にチェスターコートはスーツライクなデザインですので袖は「ボタン付き」。
  一方、ラグランはタブです。

ステッチ >>> ミシンステッチ
・・・こういったカジュアル色の強い色柄にはミシンステッチの相性が良いです。 逆に私のコートはフォーマル感重視のため目立たないピックステッチです。

裏仕立て >>> 総裏&キルティング
ご参考:裏地をキルティングにした場合+3,000円、キルティングを脱着可能なライナーにした場合は+7,000円です。

コート丈 >>> 107センチ
身長が175センチを越えるWさんにはこの位の丈で膝下位です。
丈は長いと暖かいですが動きづらい、短いと寒いので結構デリケートな部分です。
でも今年のトレンドとしてはショート丈、3/4丈が人気です!

ということで、寒〜い北海道のWさんのコートは只今縫製作業中です。
出来上がりは11月下旬完成予定ですので来月の更新で仕上がり写真とご感想を掲載したいと思います。
良い感想だといいな!

最後に当社でお仕立できるデザインパターンの一覧と本文に全く関係ないのですが最近お仕立した『真っ白なコート』を掲載します。
イラストの方は見づらいかも知れませんがお許し下さい。
簡単に言うと、ラグラン袖タイプ、チェスターコートのタイプ、両者の中間的なボックスタイプの付け袖のコートです。

これから寒い冬を迎えるに当たりコートもようやく動き始めました!是非皆さん検討してみて下さいね。