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 コートにもこだわりが (大阪編)
「釣瓶(つるべ)落としの秋の夕暮れ」とはよく言ったもので、午後の窓際にふと目をやりますと、とっぷりと暮れ行く夕闇が晩秋の訪れを告げています。

そこで、これからは暖かい鍋の季節....ではなくて暖かいコートの季節。
暖冬の予想とは言え、エルニーニョは気まぐれのようで、温暖な冬から突如として一昨年のような厳冬にとのケースもあるとの事、どちら様もご用心下さい。

前振りが長くて恐縮ですが、そんな季節に備えて各店頭には暖か〜いカシミアからしっかりと織り込まれたフラノツィードまでと冬物もズズッと勢揃い、皆さんのご来店をお待ちしています。
...と、ここまで言えばお分かりかと思いますが、今回ご紹介のお客様はそんなコートシーズンに先駆けてご注文頂いたYさんのオーダーです。

そこでまずはYさんのプロフィールのご紹介なんですが、九州にお住まいのお客様で、実は8月にもスーツをご注文いただいたばかりで、今回のご注文にあたりその上着を着用して遠路遙々ご来店頂きました。

その上着を見ればYさんの人となりと言うか、こだわりの一端を垣間見られるかと思いますので、コートに先立ちご紹介してみます。

□Yさんのスーツ□
生地は?
G6131 ロロピアーナのライトグレー無地(春物)
>>> シーズン始めの春先からこの色目は、トレンドの流れから大注目でした。
とは言え2年前なら見向きもされなかった色目ですね。
予想されていたとは言え、ここ数年の黒一辺倒の流れを一気に突き崩し、この色目が台頭してきました。
来年の春夏ではトレンドではなくベーシックな色目としてお馴染みになるでしょうね。
いやはや流行とは恐ろしいものです

デザインは?
衿はハイゴージピークラペルで7センチ幅
シルエットはスリムかつショート
デザインはハッキング強(±3センチ)ポケットが印象的です。
その他パンツはノンプレス等々、素材に合わせるかのような、押さえるところは押さえた取り合わせで、Yさんのこだわりの一端がおわかり頂けるかと思います。
この秋冬もこのショート&スリムな流れは続いていますので、このスタイルぜひ参考になさって下さい。

というところで、こんなYさんからそろそろ時期なのでと、今度はコートのご相談を頂きました。

具体的なYさんのご希望は・・・
色はブラック
素材はウールでも、カシミヤはチョット...
デザインは考えている物がある
との事で、ご来店の際にまず生地を色々とご覧頂いたのですが、中でもロロピアーナ社ドスキン地のブラックが目に留まったご様子です。

こちらは在庫が稀少なため、サンプル帳には掲載してないのですが、各店店頭にはこのような掘り出し品が揃っています。
ただ、遠地の方には手に取ってご覧頂けませんので、スイマセン。

「ドスキン地」はメリノ種の羊毛を使い、表面は光沢感の強いビーバー仕上げを施したもの。
ドスキン(=牝鹿)の由来はその肌触りと見た目から来ているように、軽くしなやかで、カシミアほどは光沢感はなく、また高価ではありませんが質感に優れ、耐久性にも富み、コートやジャケットとしても最適な素材です。

その後「こんなデザインはできますか?」と送られてきたのが画像のようなコートです。
全体は至ってシンプルなチェスターコートですが、フムフムよく見ると随所にこだわりが...

コートというよりはジャケットのロング版、とでも言えそうなフィットしたスリムなライン
肩幅や袖幅はあくまで狭く、ビルドアップされた袖付け
なかでも印象的なのはフリルの付いたヘチマ衿風のデザイン
ヘチマ衿
>>> タキシードの場合は拝絹を付けて、あるいはガウンなどでもお馴染みの衿の形です。
見た目で、長い衿をヘチマに見立てそう呼ばれますが、英語ではショールカラーとよばれます。
ちなみにこちらはタキシードですが、この衿がヘチマ衿です。

その後、九州へ戻られたYさんとTELにて打ち合わせを重ねまして、画像を基に決まった詳細をご紹介をしますと。。。

■ ベースのスタイルはチェスターフィールドタイプ

■ サイズはスリムだが画像ほどのシルエットだと、下にジャケットを着るのが難しいようなので、もう少し緩めで。
コートの場合スタイリッシュなエッジの効いたラインとは言え、メンズの場合はスーツの上から羽織ると言う前提がありますので、スーツより大きく作らないとと言う、アタマの痛い制約があります。

■ フロントはブチヌキ

■ 腰ポケットはフタなし スッキリと!

■ 袖口は3ツボタンの本切羽

■ コート丈は手持ちのコートから計って97センチ

...とあらかたは決まりましたが、
肝心の衿をなんとかあのテイストを再現して欲しい...との事。
コートの衿の形は概ね下記のようなデザインに集約されます。
私もこの道ウン10年、コートの衿をヘチマ衿にとのご希望は初めてです。
ただYさんもこの衿のこだわりだけはなんとしても!とのご希望ですので、早速工場へ相談がてら問い合わせました。
もちろん工場も初めてとの事で、最初はウ〜ンとビックリしていましたが、やって出来ない事は無いのでと、周囲のフリルは無しの条件で、快諾してくれました。

これで難問も解決、スーツに負けないようなスタイリッシュなコートの仕上がりになりそうで、私も楽しみにして次回にぜひご紹介させて頂きます。

オーダー担当 清水より一言・ ・ ・

ドスキン地は毛並みも艶やかで、手軽に高級感を味わえますので、紺ブレなどにもよく応用されます。
ただ、本来のアメリカ系のスポーツぽい紺ブレと違い、ノーブルな雰囲気のヨーロッパ調の紺ブレに仕上がりますので、ボトムにはフラノのズボンなどと合わせる紳士的なスタイルがお勧めです。

今回は素材と相まってオーソドックスなチェスタータイプになりますので、コートと軽く呼ぶのではなく、ぜひオーバーコートと呼んで欲しい一品となりそうです。
Yさんどうぞ楽しみにお待ち下さい。

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素材は言うまでもなく折り紙付き、ビジネスにフォーマルにと、使い勝手のあるブラックですので、こちらも併せてご覧下さい。
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