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オーダースーツのヨシムラ
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 暑い最中にハリスツィード
Harris  原稿を書いているのは6月下旬。
梅雨の季節ではありますが、晴れればとても蒸し暑い今日この頃です。
おまけに私の常駐する東京店は先日1Fのクーラーが壊れるし・・・
なんてボヤきながら私が今何をしているかというと・・・
秋冬物商品の仕入 』の真っ最中です!

そこで今回はこの秋冬の中でもちょっと異色を放つ新商品『ハリスツィード(リンク先はハリスのHPです。)を皆さんにご紹介しましょう?
え?こんな原稿は『秋口にアップしろ?!』
おっしゃる通りごもっともなのですが、この時期ネタが枯渇する時期でもありますのでお許し下さい。

さてさて、
皆さんツィードと言えばどんな生地だかイメージがつきますよね。
そうです。ツィードというのはざっくりとした織り方でちょっとカントリー風の生地。
スーツ向けというよりはジャケットに向いている生地のことです。
専門的に言いますと、スーツは梳毛(そもう)といってSUPER●●'sに代表されるような長くて柔らかくそして細い毛でできた糸を使用するのが殆どですが、ツィードは紡毛(ぼうもう)糸といって粗雑で短い羊毛を使用した毛を使用するため、肉の厚い生地になります。
このためツィードは肉が厚くざっくりとしているのが特徴で、それ故素朴なカントリー風のイメージになるのです。

 こんなツィードの代表格が今回ご紹介する『 ハリスツィード 』です。
どうしてこれが代表格というと、「ハリス」はツィードの発祥した英国スコットランドで発祥し、技術が進んだ昨今でも相も変わらず昔ながらの手織で生地を織っている、そして出来上がった物も今風の完成度の高い物では決してなく、むしろ野暮ったさや無駄が多い。
そんな昔気質のツィードメーカーだからこそハリスが代表格なのです。
☆★☆ちょっと一言・・・織機について☆★☆
 生地を織る機械これを『織機』といいますが、この織機で織られる生地は近代化と共に効率化が進み今では世界標準の企画として2種類あります。
1つは通称シングル幅と呼ばれる物で、生地の幅が110センチ位でブラウスやシャツなど用の薄い生地に使われることが多いものです。
そして、もう1つが通称ダブル幅といわれる物で約150センチ位の幅がある生地で、こちらは主としてスーツやコートなどのアウター向けです。
(ダブルというのは150センチで棒にしていると場所をとるので普通は半分にたたんで板に巻くためシングルの倍でダブルなのです。)

どうしてそれぞれ企画が違うかというと、それぞれには(シャツやスーツなど)用途が違うため、カッティング時に使う生地の無駄をなくしていくうちにいつの間にか生地幅の企画が世界標準で2つに集約していったという訳です。

が!こんなに世界標準となり便利になったにも関わらず当のハリスといえば75センチ幅という昔ながらのサイズで織っていて、このことは今となってはある意味で手織で生地を織っている証拠なのです。

さて、こんな悪く言えば野暮ったいハリスがここ1〜2年注目され始めました。
一部のセレクトショップでは昨冬当たりから投入され、野暮ったさやカントリーさが逆に新鮮に見えて大好評で人気が高まってきています。
思い起こせば前回大ブームとなったのは かれこれ25年位前でしょうか?
その時の写真を掲載してみましょう!!
この可愛いモデルは
・・・いやいや、恥ずかしいな〜。幼気なこの私(写真右)です。
これは皇居のお堀端千鳥が淵でとった写真です。
私も生地屋のせがれですので、実はこれはフルオーダー。
兄弟揃ってのハリスツィードです。
(ちなみに現在の当社では子供服のオーダーはお受けできません。(T_T)
でも、あの当時はハリスのチクチクする肌触りが子供心に嫌で大嫌いでした。
親の心子知らずですね。ハハハ(^_^;))そして、

こんなハリスを当社ではこの秋、次の9マークを検討し最終的には5マークを仕入れました。
印が仕入決定商品、×印が途中でボツとなった物です。
黒の無地
黒の無地は定番中の定番渋い!
カーキ色の無地
柔らか感のあるカーキ色、イメージはスコットランドの荒涼とした大地
ヘリンボーン
これまた定番のヘリンボーンコートにしても格好良し!
キャメル色の地にグリーンや焦げ茶の小格子柄
チェック柄では一番ハリスらしい柄です。
モスグリーン地に深緑とレンガ色の小格子柄
チェック柄では一番ハリスらしい柄です。
×茶色地にワインやグリーンの小格子柄
スミマセン!ボツ送りです!
×上の画像の色違い(グレー地)
気に入っていたのですが...これまたボツに!
×深緑の無地
良い色なのですが社内検討の結果ボツに!
×グレー地にブルーのチェック柄
これまたボツとなりました!

画像をご覧になって皆さんどうお思いになられましたか?
ご感想などは是非掲示板へお書き込み下さい!

ところで、
ハリスを仕立てるときのデザインですが、こんなのはいかがでしょうか?
シングル3つボタンジャケット
胸と腰のポケットはアウトポケット・・・カジュアルジャケットの王道!
お好みでしたら肘や肩にケミカルスウェードの肘当てつき
・・・本革ですとクリーニング不可になるためオススメしません。
袖はアウトドアでも使い勝手の良い本切羽
ボタンは革ボタン※かナットボタン
※革ボタンは別途ご相談下さい。
裏地は柄物裏地で・・・こちらご参照

なお、この商品は生地の入荷が8月末頃を予定しております。
このため生地の現物をお見せできるのは秋冬物カタログのご用意が出来てからになりますのでそれまでの間は店舗でも生地の現物をお見せすることが出来ません。
何卒ご容赦下さい。
現物が入り、見本服が出来上がりましたらもう一度新着情報に掲載予定ですので続編もどうぞお楽しみに〜!
☆★☆ おまけ・・・ご注文第1号! ☆★☆
・・・梅雨の蒸し暑い最中、ドイツからわざわざハリスジャケットご注文のためご来店いただいたデュッセルドルフのYさんご注文ありがとうございました。(6/24)
仕入部用の小さなサンプルだけを見てオーダーを決めていただき恐縮です。
出来上がりは上述の通り、生地の入荷が8月末ですので9月末頃になりますが、どうぞ楽しみにしていて下さい。
出来上がったら画像をWebに掲載させてくださいね。