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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 レトロなスーツが出来ました。 

 しばらくは紫陽花の季節ですが、読者の皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
さて、先月Webでご紹介した宮城県と山形県にそれぞれお住まいのYさん、Tさんのリネンのスーツがようやくでき上がりました。
お二人ともそれぞれが目指す目的が違っての麻(リネン)スーツですがとてもお洒落に完成しましたので是非お二人の目的と合わせてご覧下さい。
1着目山形県東置賜郡のTさん
ご覧頂く時のご参考までに...
Tさんはご自身が小さかった頃(昭和の初め頃)のイメージで
麻のスーツ+パナマ帽+白黒のコンビ靴でコーディネートしたいといったご希望。
それゆえ、3つ揃えでビシッと決めたいというニーズが強かったです。

 どうですか〜、よく見ると襟のステッチをダブルステッチにしてちょっと目立たせたり、パンツも飾り尾錠を付けたりしてお洒落ですね。
またスーツの表側はビシッと決めても裏側はチェックの柄物裏地を使ったりしてキュートです。

そんなTさんはこの麻スーツをお手持ちのパナマ帽&コンビの靴に合わせると伺っていましたので出来上がった時(遠地ですからご試着にお越し頂けなかったため)
『ご自宅で帽子と靴をコーディネートした写真or画像を読者の皆さんのためにもお送りできないか?』
...とお願いしたのですが、あいにく靴を修理中とのことでダメになりました。
私としては、とても残念だったのですが、それならそれで自分なりにTさんのお持ちのコンビの靴、パナマ帽を想像して画像を撮ってみました。

こんな靴や帽子に合わせてみたら良いんじゃないかな?
(画像は私の家の近所、調布パルコ内 スタジオ40さんにご協力を頂きました。有り難うございます。)

う〜ん、これでコーディネートしたらハマりますね。ギャング気取りでカッコイイ!
ところで、今ちょっとご紹介したパナマ帽ですがよくゴルファーやミュージシャンが被ることがあっても普段私達にはあまり目にしないアイテムですよね。
でもこの帽子、文明開化の明治から昭和初期頃までは誰もが当たり前のように帽子を被っていたんですよ。

当時(大正・昭和初期)は『紳士はシャッポ(帽子)だけは忘れるな!』と言われていたほどですから・・・

またWebを探してみましたらこんなサイトもありました。
なかなか参考になりますので是非ご覧下さい。
http://www.hatandcap.or.jp/hat100j/05.html

なるほどね〜!文明開化か。
考えても見ればTさんが小さい頃は、どこ行っても建物は低いから日陰なんかないでしょうし、もちろんエアコンとか車なんて普及していない時代ですので、夏に帽子を被らなければ、日射病になっちゃいますね。
だから英国の影響を受けて帽子を被る習慣が出来たのも うなずけます。

それが、戦後アメリカ文化の影響を受けてからは、徐々にハットレス・カジュアル(帽子を被らない)になったのですね。

話は変わりますが、私事ですがパナマ帽といえばキューバ音楽を紹介した映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を連想してしまいます。(レンタル屋さんにも置いてあると思います。)
パナマ帽を被ったコンパイ・セグンド(ミュージシャン)の風貌と音楽性には脱帽です。

閑話休題、今度は靴の話に戻します。
Tさんは、足元は『白黒のコンビの靴』を合わせるとのことでした。
>>>これまた歴史的にも奥が深〜いこだわりです。
 1920年代の銀座では、モボ(モダンボーイ)が白と黒のコンビの靴に白い帽子をかぶり、古い映画のフランクシナトラ、フレッドアステア、はてはジーン・ケリーに影響された身なりで銀座の街を歩いたそうです。
>>>戦前の日本に、これほどまでに華やかでお洒落な人々がいたとは驚きでしょ。

麻のスーツに、パナマ帽、コンビのシューズ。
・・・Tさんにとって、遠い日のお父様の姿を偲ぶことが出来たのでしょうか?

さて次は
2着目 宮城県石巻市Yさん
です!
Yさんはどんな目的(こだわり)でご注文されたかというと・・・
>>>'60年代映画「バークにまかせろ!」「0011ナポレオン・ソロ」などの影響を受け、 
>>>コンポラスタイルに憧れ、
>>>その後VAN、REGALなどIVYの影響を強く受けた・・・
そんな世代の麻スーツ。
もちろん強い男を演出すべく、Vゾーンを深くして胸を強調・・・そんなこだわりです。

出来上がりは前回もご紹介していますが再掲しますとこんな雰囲気です。
最新のゴージラインよりは少々低く感じますが、前にもご案内しましたがこのYさんの襟型は特注。
当社で大切に型紙を保管しています。
さて、
Yさんからご感想メール(...ではなくて)直筆お手紙FAXを頂きました。
画像にすると見づらいので以下打ち直しました。どうぞご覧下さい。

03.05.16 件名:荒井さん
こんにちは
先日は、麻のスーツ有難うございました。
仕上がりはいつものように大変気に入っております。
ただ、ホームページに小生のスーツが掲載されるのは、少々気恥ずかしいところですね。
>>>いえいえこちらこそ。ご協力いただきまして有難うございます!By Arai)

さて、今回の麻のスーツには、以前から気に入っているイッセイミヤケのグリーン系の綿のネクタイが合うと思っています。靴はリーガルのスリッポン

今度の夏に上京した際に麻のスーツをもう一着と思っております。
麻の紺、昨年のオリーブ、又は少し濃い目のベージュ、それとも綿のベージュ等々迷っているところです。

ところで、1960年代後半はアイビー全盛で、VANのジャケットが大人気だったのですよ。
同時に、一部ではコンポラスーツの支持者も少なからず、NEW YORKERなどのメーカーでも作っておりました。
REGALの靴が登場したのも1960年代後半だったと記憶しています。
宮城県石巻市 Y

★☆★接客担当荒井より一言・・・★☆★
Yさん、何と!次も麻のスーツもお考えですか!
同じ洋服を何着も>>>私も将来はこんなセリフを言えるようになりたいものです。
本当、Yさんはアイビー世代ですね。
ファッションの流れにも、本流、亜流とあるようでとても面白いです。

ところで、当店でトラッドいえば、当社のガキ大将司茂氏です!
実際にその時代を生きていますので何を言っても信憑性があります。
機会があれば、詳しく分析してHP上でご紹介したいと思っております。どうぞお楽しみに!
最後に・・・
今回は山形県にお住まいのTさんからは、お父さんを偲んでのご注文。
大正〜昭和初期のモボ・モガという戦前の華やかな日本の姿を。
宮城県のYさんからは、アメリカのスパイ映画の主人公のようなスーツを通して、コンポラファッション〜60年代のIVYファッションを。

みちのく(東北)の紳士お二人より、それぞれ思い入れが込められた「麻スーツ」のご注文を頂きました。
対応いたしました私としては、自分の知らない過去の時代を垣間見ることが出来て大変勉強になりました。有り難うございました。


★☆★おまけ★☆★
この夏は、電力不足節電省エネのせいか『コットン素材』や涼しい『麻素材』の引き合いがいつになく多いです。
このようなややカジュアルなご注文の方がよく言われるキーワードがありまして・・・
それが
アンコン仕立て』(通称大見返し) 『ノーパッド』 『芯ナシ※』 です。
※麻素材に芯ナシはお薦めしません。
当店ではいずれも対応可能ですので、こういったニーズの方はご注文時にどうぞお気軽にお申し付け下さい。 軽くてお洒落ですし、何よりもカジュアル感UP間違いなしです。 画像は東京SHOPMASTERの大見返しの麻スーツです。