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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 そろそろコートの出番かな? 
ひと雨毎に秋も深まるように感じられますが、さすがに紅葉前線はここ関西まではまだ間があるようです。
それでも10月の声を聞きますとコートのご注文も目立って増えてきていますが、その一番手として9月にご注文頂いたAさんのカシミアコートが仕上がってきました。
詳しくは前編のいらっしゃ〜いをご覧頂くとしてご注文の内容を簡単にまとめますと以下の通りです。
素材
・・・
ゼニア ピュアカシミヤ ジャケット地(生地:BL7200)
>>>「溶けそうに甘い」とはなかなか上手いと、自画自賛のサンプル帳の説明ですが、言葉ではうまく言い尽くせないほどの素材感!!
ちなみに、今年のゼニアのシーズンテーマは伝統と現代です。
伝統的な杉綾にトレンドの軽快感を組み合わせた逸材と、早くも大好評を頂いています。
ゼニアのカシミヤということで超掘り出し物で品切れになること必須ですがこの時期の店頭にはまだ在庫がありますので皆さんもご来店の機会には是非その手で感触をお確かめ下さい。(2004.10.10執筆)
基本デザイン
・・・
シングルチェスターコート
>>>ラグランタイプよりカッコ良さを優先するならこちらのタイプで決まりです。
生地が軽いためチェスターの重厚感が出ないのが玉に瑕ですが関西圏のコートならこれで十分。
こだわりその1
・・・
上衿をスエードの別生地に
>>>カントリーっぽい雰囲気も漂う、当店ではお馴染みの仕様です。

こだわりその2
・・・
コートのどこかにグリーン色(自然の色)を取り入れる
>>>こういうこだわりは初めてですが、案外オシャレの上級者テクかも。

こだわりその3 ・・・腰ポケット&コート丈
>>>チェンジハッキングでアクセントをつけ、コート丈も長からず短からずの軽快な7分丈(97センチ)です。
・・・と、ゼニアのコートの出来上がりをご紹介しましたが皆さんいかがでしたでしょうか?
まだコートを着られるにはちょっと早い時節ですがこれからコートをとお考えの方はこだわりの数々をぜひご参考にしてみて下さい。

そ・こ・で、コートのご注文をお受けするにあたって、もっとも多く寄せられる疑問やご相談を今回取り上げてみることにしました。

【 コート丈 】
今回のポイントは仕様もさることながら、俗に7分丈といわれるコート丈です。
近頃雑誌などで4分の3丈とも言いかえられている、結構昔から使われている7分丈とはどれくらいのサイズを指すのでしょうか?
そこで近頃の標準的なコートの長さを表にまとめてみました。(いずれもあくまで目安ですが...)
身長 ショート ロング
160(S) 75cm 〜100cm
165(M) 85cm 100〜105cm
170(L) 90cm 105〜110cm
175(LL) 95cm 110〜115cm
かつてのロングのズラッと長いタイプはさすがに陰を潜め、今やヒザ頭前後を中心としたスソさばきも楽な長さが最もポピュラーとなりました。
ただ、既製品は在庫リスクの為、今や長く大きく作られていますので必ずしもこの限りではありません。

そこで7分丈へ戻って、7分丈とは具体的にどれぐらいの長さか?という疑問を、私なりに以下のように検証してみました。

<私自身で検証すると>
身長に対しての7分の長さ?
>>>私の身長が170センチと言うことは170×0.7で119cm...これでは超ロングです。

通常のコート丈の7分?
>>>これだと74cmで立派なショートです。

総丈(首の付け根のグリグリ〜踵までの丈)の7分?
>>>この定義だと102cmコレが一番近いか?

ひょっとして和装から来たサイズ?呉服で使われる言葉か?
>>>この辺りはまったく未知の世界で何とも言えないです。(ごめんなさい...)

...というところで、7分丈の基準はもうひとつはっきりしませんが見た目としてやや短いかなというサイズが7分丈であろうというファジーな結論です。スイマセン。
(ましてや4分の3丈となるとまったく意味がわかりません。)


【 肩幅 】
チェスタータイプのシルエットに影響を与えるもうひとつ重要なポイントは肩幅です。
かつてはスーツの肩幅プラス3cmが標準でしたが今のスーツシルエットではスーツの肩幅プラス1〜2cmがトレンドです。

【 カシミアの目付 】
目付とは繊維の専門用語で、生地1平方メートル当たりの重さの単位のことを指し、グラム単位で表示されます。
紳士物で約450〜500g、婦人物で約400〜430gが目安です。
一般に婦人物は目付を軽くして綺麗なラインがより出るようにやわらかく織ります。
それに対して、紳士物のカシミアはキッチリと目付を重くして重厚な雰囲気に仕上げます。
おまけに紳士物は裏地や芯地などしっかりと付けますので、より重くなります。
このため、かつては紳士物のカシミアコートは重さでナンボと言われたものでカシミア=軽いという印象は紳士物ではあまりありませんでした。
ただ、近年は重たいというのはあまりセールスポイントにはならず、軽くて柔らかいのが好まれる傾向で、紳士物でも今回のような目付350g程度の素材も扱われるようになりました。
これから既製品のカシミアコートを買われる場合販売員さんに『これ目付はいくらくらい?』と尋ねるのも、ちょっと通ぶった知識とお勧めします。

【 お手入れ 】
生地がソフトで柔らかいと言うことは、それを主食とする虫にとっても魅力的です。
一方で、クリーニングのやり過ぎはその値打ちの光沢を半減させますのでクリーニングは季節で一回程度に済ました方がBetterです。
それよりも日常のブラッシングを虫対策としてもお勧めします。
意外に手間かも知れないですが、使用後は必ず念入りにブラッシングする事で虫の大好物の食べカスやホコリを除去できます。
簡単に一生物と言う言葉は使いたくないのですが、手入れさえ怠らなければベーシックなこのタイプは結構長くご使用に耐えます。
(ただしサイズが変わればこの限りではありませんが...)

★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★
今回のAさんのコートですが似たようなタイプのコートがないかと色々と文献を当たって見たところありました
このタイプのコートはカバートコートと呼ばれているそうです。
上衿に別布を付け、短めのチェスターコート、チェンジポケットも付いて、おまけに丈は短めと文字通りそのままでした。

知らぬは私だけは恥ずかしいですが、耳慣れぬ言葉と言うことにはまちがいないと思います。
そこで皆さんこれからは、カバートコートとご注文よろしくお願いします。
そして、Aさんに仕上がりのメールをお入れし、お引き取りの際に写真を撮らせてもらおうと期待していたところ、『どうやら台風が大阪直撃の模様なのでこの週末は行けそうにありません』というご返事が帰ってきました。(トホホ。。。(; ;)

今年はいつまで台風で悩まされることやら。。。これでは原稿のアップには間に合わないと画像は当社の社員が先に着て撮らせて頂くということで、Aさんにもご了解を頂きました。
当然ながら、↑の画像がもうひとつサイズが合ってないのは、ご愛敬とお許しください。
ようやく季節もコートに追いついてきたようです。
どうぞAさん末永くこのコートをご愛用ください。

〜 おまけ 〜
ご参考までにコートの基本的なデザインのイラストを掲載します。
皆さんもそろそろ冬のご準備をご検討されてはいかがですか?