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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 パンチェリーナの仕上がりは? 
5月も半ばを過ぎますとそろそろ走り梅雨の季節を迎えます。
そんなじっとり汗ばむこれからの日本の夏には、パンツ注目アイテムのひとつ。
セットアップはもちろんの事、スーツにもスペアパンツをもう一本とのご注文も多くなります。

そんなパンツシーズンを前にして、新たなデザインのバリュエーションに加わったのが今回ご紹介するパンチェリーナ仕様です。
そこで栄えある第1号として、先日Mさんから のご注文のパンチェリーナ仕様パンツが仕上がりましたので早速ご紹介します。
詳しいご注文のやりとりは前回のお客さまいらっしゃ〜いをご覧下さい。

その前にちょっとおさらいを... パンチェリーナとは?
>>> パンチェリーナというのはイタリア語で腹巻きの意味で、日本では狭義の意味では、天狗と呼ばれているパンツのウエストを内部から固定するために付いている持ち出し部分のことを指します。
ダブルブレストの上着の内側に付いている紐(ヒモ)と同じ理屈で、腹部をきっちりと固定するための仕組ですが、簡略された仕様は大抵の既製品にも付いていますね。アレです。
一方広義の意味としては、こういったちょっとこだわったフィッティング重視のパンツ全体のことを指します。
...と、パンチェリーナの説明はこれぐらいにしておいて、百聞は一見に如かず、早速仕上がりをご紹介いたします。
画像左が普通の天狗といわれる仕様、右側が今回のパンチェリーナです。
普通の仕様ではボタン1つ(しかもボタンを留めない人も多い)そしてこの部分がダブルになって下腹部をしっかり固定するのがこのパンチェリーナ。
腹巻きというのも何となく分かりますね。
そして、このパンチェリーナをきちんと装着しますとこのようになります。
Mさん、下着が見える危ないギリギリでの写真撮影にご協力いただきありがとうございました。(*^_^*)

ちなみに、ディテールの方はこんな感じです。
ボタンフライの前立て
>>> 画像は裏返した方が分かり易いので裏返してみました。
かつてはオーダーの際は必ず前立てはチャック(←言い方が古い)ですか?ボタンですか?と聞いたものですが、さすがに今はボタンとご指定の方に限りお付けしています。(オプション+1,050円です。)
使用後は必ず留め忘れないように、もっとも開け忘れはもっと厄介ですが...
バックループ
>>> 恐らくそう呼ぶのでしょうが、後ろ中央部にVカットを入れて、その部分にベルトループを付けると上部が留められないため、ループを下部のみ留めて浮かせています。
遊びのゆとりでしょうか?目的はわかりませんがベルトを締めてしまえば通常のループになります。
バックルチー
>>> こちらはお馴染みの仕様で、バックルが下がらないようにしています。
ゴメンナサイ、「画像なし」です。

フルステッチ
>>> サイドラインと折り返しのかぶら部分へも入っています。
(画像中、黄色の点線部分がかぶら部分のステッチです。珍しいものです。)

ループ下がり
>>> 普通パンツの一番上からループが付けられています、これはトップループと呼び既製品に多いタイプです。
対して、オーダーは昔からループ下がりと言って上から0.5〜1.0センチ下がっているのが一般的です。
これはベルトを締めた時に(特に太った方によくある)ベルトが上がりパンツの上へ飛び出さないように余裕を持たせるとの配慮からです。
(こちらは当たり前のことなので画像はナシです。ゴメンナサイ)

ダブル幅
>>> Mさんの場合は4.5cmと太めですが、一般的には4cmが主流です。
やはり4.5cmとなりますとMさんくらいのパンツ丈(股下76cm)がないと、収まりが悪くなりますので注意が必要です。

Vカット
>>>本来は腰にゆとりを持たせるための仕様ですが、今やウエスマン(帯の切り替えし)が付いているのが一般的なので、単なるデザインと化しています。
(ただ、これを付けると後日ウエストのサイズ直しの場合工賃が若干高くなりますのでご注意下さい。)

サイズ
>>> 全体のラインは今最も人気のあるラインで、裾幅は22cm、ヒザ幅は25cmの仕上がりです。
いわゆるちょっとヒップアップした美脚系パンツです。 22cmの裾幅自体はそんなに細くはありませんが、Mさんのウエストサイズ(90ウンcmです)とパンツの長さから見れば、かなり綺麗なシルエットに仕上がっていると思います。
この辺がさすがシルエット重視のパンチェリーナですね。
■□■ ちょっと一言・・・サイズ面での注意をアドバイス・・・ ■□■
よく雑誌などで衿幅が7cmのナロースタイルとか、裾口が20cmのスリムなラインとかの記事を目にしますね。
そのせいか、お客さまからご注文の際にも雑誌にこう載っていたから...といって時々サイズ(数値)の具体的な指定を頂きます。

ただし気を付けて頂きたいのは、どの体型の人にとってのサイズなのか?ということです。
雑誌等では数字先にありきで明記されていますが、身長180cmと165cmのサイズでは、例え同じデザインでもおのずとからその衿幅は違います。
ですから、本当は雑誌などでも、身長○○○cm位の中肉中背位の人ならここの部分は○cm位が良いなどと、本当は表示すべきです。

★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★
....というところで今回のパンチェリーナは、工場の努力とMさんの熱意も相まって無事仕上がりました。
なにしろMさんご注文以来二度に渡り、寸法の訂正や生地の確認にお越しいただくほど、このパンツには思い入れひとしおです。
考えてみればそうかも知れません、簡単なように見えてもこの仕様をイージーオーダーで承れるのは恐らく当社ぐらいかと思います。

完成した今でこそ言えますが、工場とのやりとりはTELやFAXで二度、三度に及び、オマケに見本のパンツまで送り、通常なら生地と仕様書を送ってあとは仕上がりを待つだけですが、今回だけは仕上がるまでの日数の長かったこと、長かったこと...
仕上がりの検品をしながら、よくぞ仕上がったものと思わず感激でした。

もちろん、Mさんご本人にも、仕様も見本のパンツ通り、試着した寸法もイメージ通り百点満点と喜んでいただきました。

ちなみにパンチェリーナ仕様で+3,150円、特殊ループは+1,050円(いずれも税込)で承ります。
ただちょっと日数は余計にみて下さい、現場はなにぶん手作業でコツコツやるもんですから。。。