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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 型抜きの仕上がりはどこまで出来た? 
夏真っ盛りのこの頃ですが皆さんいかがお過ごしですか?
連日暑くて暑くて辛いですね〜、夏バテなどされていませんか?

さて
そんな暑い時期は誰しもスーツ(上着)などは着たくない!!...と思われるかと思い、今月は季節性に関係ない話題で盛り上げている当サイトですが、今回は先月ご注文いただいたミリタリージャケットから型紙を取ってお仕立てした型抜きジャケットをご紹介します。

前編はこちらに掲載中ですが、簡単にお話の流れをご案内しますとこんなオーダーでした。
お客様は・・・
神奈川県にお住まいのKさん
ご注文は・・・ 昔、沖縄旅行でミリタリーショップに立ち寄った時購入したミリタリージャケットをリニューアルさせたい。
(どうやら本格的ミリタリーは堅くて重くて着づらいようです。)
ご相談は・・・ ミリタリージャケットとは軍服です。
それ故従来のスーツ(ジャケット)の延長線の企画から大きく外れるため私共のイージーオーダーでどこまで出来るか非常に難点が多く、次の点が問題になりました。
・変わったフロントカット
・変わった襟型
・軍服らしい肩章
・変わった袖先の作り
・モーニングのような腰の切り返し
そこで...ご注文を頂く際には、その場で回答できず見本服をお預かりした上で、工場と協議し、最終的には見本服からそっくり型を抜く(型紙を作る)方法でお仕立てすることに決定しました。
 〜 ちょっと一言・・・型抜きについての考え 〜

型抜きというのはある種の知的所有権のコピーですからお店としてはあまり積極的にやるべき仕事ではないのかも知れませんが、
今回は軍服では着心地が堅いということ、
海外製品で代替品をKさんもお求めになることができない事 
...等々の事情を勘案してお仕立てすることにいたしました。

今の時代こういった事も意識しないといけないと思い、一言コメントいたしました。

閑話休題、
それでは、どんなジャケットが仕上がったでしょうか?
画像をBefore (左)& After(右)形式でご覧下さい。

■ まずは全体像から ■
Before
After

いかがでしょうか?ご覧になって。
外見的なポイントは見本服となった軍服はやはり軍服と言うことでいかにもといった色目ですが、仕上がった物はベージュ系でやや優しい色目ですね。
これだったら軍服そのものとは思えないでしょう。(この辺が型抜き=コピー)といってもオリジナルと違う所です。

そして全体像から見えるディテールも、比較すると良く分かりますが

 襟型もオリジナル通り
 腰の切り返しもバッチリ
 特徴的だったフロントボタンの間隔も全く同じですね。
 腰ポケットの形もほぼオリジナル通り!

いかがでしょうか?これならOKでしょう。
実は私も仕上がるまで少々心配していましたが、想像以上に上手く仕上がりましたのでホッと胸をなで下ろしました。

■ 続いて、難しいとされたディテールの方は? ■
次にミリタリーならではのディテールですが、それぞれこんな感じになりました。

肩章は・・・
肩章はトレンチコートなどにもよくありますが、これもミリタリーならではのアイテムの一つです。
さてそれはどんな感じに...

Before
After

いかがですか?
Kさんがオリジナルのボタンを別途ご用意下さったため雰囲気がより近くなりましたがバッチリですね。

フロントカットや襟の立ち上がり部分は?
当初のご相談の中で一番難しそう・・・(イージーオーダーでは絶対無理)とお話ししていたのがこのフロントカット。
画像左側のBefore(赤丸印部)をご覧いただくと良く分かりますが、襟の返りの部分は段々になっていますし、裾の方は逆を向いていますよね。
これは通常の仕立てではありえないことです。
Before
After

でも、何故ミリタリーではこんな風にしたんですかね?
社内で幾つか考えてみました。

<< 襟の段々について >>
スーツでは襟の立ち上がりでどう柔らかさや色気を出すか意識しますが、軍服の場合は実用重視。
ナヨナヨしたものよりガチッと止まった方が良いと考えられたのではないでしょうか?

<< 逆向きのフロントカット >>
これも勝手な仮説ですが、フロントカットが丸いと動きやすいという点はありますが、防寒上はマイナスですよね。
軍服の場合、やはり防寒面を意識して雨風が入らないようフロントの重なりを大きくしたのではないでしょうか?(以上、勝手な意見で根拠はありません!)

袖先は・・・
袖先の当て布?こちらはご体型等には関係ない部分ですから、正に型紙通りです。
生地の色が違うだけで色違いのようです。

Before
After

いかがでしたでしょうか?
オリジナルとそっくりどころかホント、生地の色が違うだけ...そんな状態まで高めることができました。
高いオプション料を頂いた私も、これならKさんに自信を持ってお納めできます。

さて、
以上はKさんがご来店になられる前に記録かたがた撮った画像でしたが、当のKさんのご試着はどうだったのでしょうか?

7月末にご来店いただいた際にパチリと写真を撮らせていただきましたのでそちらもご紹介しましょう。

□ Kさんご登場 □
Kさんもミリタリージャケットを着ているせいか?それともカメラ撮影のためか若干堅くなっていらっしゃいますが、結構良い感じです。
これなら初秋〜冬場にかけて、カジュアルジャケットorコート代わりとして気軽に着れるロングジャケットになりそうですね。

Web画像ではお顔を出来るだけ出さないようにしているため読者の皆さんには分からないかと思いますがKさんもとても良い笑顔でご試着いただけました。

Kさんありがとうございます!(*^_^*)

ところで、お納めして暫く経ってからKさんからこんなメールを頂きました。

06.08.10 件名:ホームページ見ました。
こんばんわ 
ミリタリージャケットを作ってもらったKです。

ホームページみました.なかなかリアルに応対が再現されていて,おもしろかったです。
   
>>>いえいえ、こちらこそお恥ずかしい...恐縮です。

もう少し涼しくなったら,スーツ共々,活躍すると思います。
今回は,いろいろ対応していただきありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。
予算ができたらハリスツイードのジャケットを作ってみたいと思っています。
★☆★ 東京SHOPMASTERより一言・・・ ★☆★

Kさん、今シーズンは何かとありがとうございました。
お仕立てしたジャケットは都会でもアウトドアーでもどちらにも対応できますので是非活用してくださいね。
また、もう秋冬のこともお考えのようで、秋冬はハリスですか〜、良いですね〜。 秋冬ではハリスでちょっと変わった企画でもやりたい!と考えていますから楽しみにしていて下さい。(←こちらはちょっと読者向けの宣伝デス)

ありがとうございました。