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オーダースーツのヨシムラ
お客様!ありがとう!
 腕を前に出しやすいスーツ完成です! 
秋雨前線と共にようやく涼しくなってきましたが皆さんお元気ですか?
ネットを通じて全国あちこちにメールをしていますと色んな声が聞こえますが、北海道辺りはもう涼しいを通り越して冬支度のようです。

さて、
そんな季節の変わり目ですが今月の『お客様いらっしゃ〜い・ありがとう』は季節に関係ない話題として、バイオリニストのお客様からご相談いただいた『腕を前に出しやすいスーツ』をご紹介します。

お客様はバイオリニストというちょっと普通の人には縁遠い方からのご相談ですが、「腕を前に出す」という点で言えば日頃パソコン仕事などが多くて腕を前に出しやすい方や、日頃から既製品では肩が当たり肩が凝るという人にとっては目から鱗ですので是非ご覧くださいね。

それではおさらいから... (詳細は前編のお客様いらっしゃ〜いをご覧ください。)。
□ バイオリニストのスーツとは・・・何が特徴? □
今回のお客様がどんな所に特徴があったかというとこんな所でした。

1. 腕を上げた姿勢が多い
・・・腕が上げる姿勢が多いとどうしても疲れますよね。どうすればこれを軽減できるか...

>> 対処方法
そこで対処としては腕のアームホールを小さくして袖と胴体が独立するようにしました。
(アームが大きいと腕を上げた時、胴体が一緒になって持ち上がり重く感じます。)

2.手を前に出す姿勢が多い
・・・主人公のSさんにバイオリンを持つ格好をしてもらいました。
随分手を前に出しますよね... この場合どうすれば良いのでしょうか?

>> 対処方法
そこで、腕を前に出した状態をニュートラルな状態にしようということで『強めの前肩補正』と腕を前に出すとき背中の生地が不足しますので、『背中側の生地にゆとりを持たせる』ようにしました。(背巾出し

3.手を前後に振る姿勢が多い
・・・画像は動きませんが、実際にバイオリンを弾くときには弦を動かすわけですから手が前後に動きます。
この場合楽な姿勢は...

>> 対処方法
これもアームホールに関係しますが、アームホールの前後の幅はゆとりを持たせることでした。
つまり1.によってアームホールの上下を狭くして、3.ではアームホールの幅を狭くさせないこと。
これで対処することにしました。
こんな感じにそれぞれの特徴を見極め今回お仕立てしたスーツですが、さてどんなスーツになったのでしょうか?

まずは全体像からご紹介...

どうでしょうか?
う〜ん、普通のスーツですね...(黒無地で仕立てたスーツですから当たり前か?)

これでは分かりませんので、それではご試着いただきましょう!!
...と言ったものの、、、実はSさんはちょっと遠いところにお住まいでご注文の際にはご来店いただいたのですが、ご試着にはお越しいただけませんでした。

そこで、キチンと出来ているか検品を兼ねて山橋君に試着して貰いましたので、以下では左側にご注文時にSさんに着て頂いた見本服(正体)の画像を(Before & AfterのBefore)、右側に仕上がったスーツを山橋君が着用した画像(After)を掲載します。
比較しながらご覧下さい。

それではポイントをかいつまみながらご紹介・・・

◇ 腕を上げっぱなしの姿勢が多い ◇
比較してみてアームホールが見本服より小さいのがお分かりになりますでしょうか?
(角度が微妙に違うため分かりづらく申し訳ありません。 (-_-;)
アームホールの違いはほんの少しでも意外とこれで軽く感じるものですよ。
また袖山(肩先)のとんがった所が少し落ち着いているのがお分かりになりますでしょうか?(左画像の肩先黄色○印が右画像では少し収まっている

◇ 手を前に出す姿勢 ◇
・・・山橋君にちょっと手を前に出して貰いました。
腕を前に出すと、肩の前方が当たり、二の腕近辺に引っ張られる事によるシワが斜めに入りますが、それも従前と比べると落ち着いているようです。
どうやら強めの前肩補正のお陰のようです。

また、腕を前に出したときの背中側の生地のゆとり量もかなり改善され、つっぱるようなシワが軽減しました。
左の画像と比べると背巾のゆとり量が一目瞭然ですね。

ご参考までに、通常の立ち姿になってもらうと....ちょっとだけ背巾にゆとりがあり過ぎるのが分かりますか?
あっち立てればこっち立たずで微妙な所ですが通常の立ち姿でも許容範囲に収まったと言えると思います。

◇ 手を前後に振ることに対しては・・・ ◇
・・・こちらもちょっと分かりにくいですが、アームホールの左右は狭めていないので左右の動きには悪影響が出ないように心掛けました。

いかがでしょうか?
今回はバイオリンを弾くから...という目的に合わせてお仕立てしましたが、この事は肩が前に向いた体型の人(前肩体型)の方には朗報ですし、また仕事で上着を着ながらパソコンをする人も方を前に出した状態で仕事をするという点では全く同様のことが言えると思います。

さて
こうして仕上げたSさんのスーツですがご都合から配送でお渡しすることになりましたがその後ご感想メールを頂きましたので皆さんにご紹介します。

06.09.17 件名:礼服 ありがとうございました。
オーダースーツのヨシムラ様

先日礼服が届き、実際に使用いたしました。非常に使いやすく、満足しております。
礼服を着ている状態では、ほんの少し両肩が窮屈(引っ張られている感じ)かな…と感じますが、ヴァイオリンを構える姿勢になると窮屈さが消えて重さを感じなくなります。

これは、本当に驚きました
感覚としては、礼服なしのワイシャツのままで演奏をしている感じです。
生地が夏用の薄手であることも一因と思いますが、礼服を着ていることによる違和感はほとんどないです。

また、『礼服を着ている状態では、ほんの少し両肩が窮屈(引っ張られている感じ)かな…と感じます』と書きましたが、私自身は全く気になりません(採寸の時に「窮屈さ云々…」とのお話がありましたので、あえてコメントいたしました)。

以下は私見ですが、実際、私のような悩みを感じている方は少なくないと思います。
私の周りの男性弦楽奏者のほとんどは礼服に窮屈さを感じていて「前ボタンを開けて演奏する」「一回り大きい礼服にする」などの対策をしているようです。
私自身は、窮屈でも「こんなものかな…」と思い、ジャストサイズで前ボタンを閉めて演奏してきました。
既成服(約10年前に大手メーカーで購入したダブルの春・秋用)と比較しても仕方がないですが、このような服があることをもっと早く知れば良かったと思います。
個人それぞれだと思いますが、私は5〜6万で自分の体型+カスタムをしていただけるならば、決して高くはないと思っています。

今後は、この礼服と共に演奏活動を続けてまいります。
良い買い物をさせていただいたと感謝いたします。(埼玉県 S)

ふ〜っ、これで一件落着。
色々と手だてを施してもやはりお客様の感想メールにかなう物はありませんね。
今回もどうやらご満足いただけたようでホッと一安心しました。

それでは次回は秋冬物からのお客様などをご紹介したいと思います。
お楽しみに〜 (^_^)/~