お客様 ありがとう!!:シングルジャケットのご注文です・完

1月も半ばを過ぎ、皆さまお忙しく過ごされていると思いますがいかがですか?
今年は、年始から忙しなく時間が過ぎあっという間に1ヶ月も終わろうとしております。

さてさて、間が空いてしまいましたが、Kさんのフルオーダージャケット(ロロピアーナ/紺無地)が出来上がって参りましたのでご紹介致します。
出来上がり品は諸事情でお見せする事が出来ないのですが、仮縫い風景を激写致しましたのでご容赦下さい。

今回仕立てのポイントを大きく分けると以下の2つになります。
仮縫い風景1
仮縫い風景2
【半胴】
随分お痩せになられたという事で、今回は思い切ってお腹周りをしっかり絞ってみました。
    (背から腰にかけてのシルエットがとてもキレイです♪)
釦を掛けた際軽い引きジワが出来る程絞っておりますが、そこは大人の余裕、程良いゆとり感を残して、あくまでも”軽い程度”に残しているのが心憎いです!

【軽さと見た目】
「ジャケット然としたカッチリさを残しつつ、軽い着心地を重視したい。」 
承ったリクエスト、これが簡単そうに見えて実に根の深い問題。
”見た目の美しさと機能性は相反する”のは服飾業界の命題ですが、今回は神田の片隅で密かにこの命題に挑戦した思いです。
物理的に軽くするのであれば、1・軽い生地 2・生地使用量を減らす 3・パッド等内蔵物を減らす=シャツ風ジャケットをご想像されるかと思いますが、こちらは”ジャケット然としたカッチリさ”とは相反してしまいます。
”ジャケット然としたカッチリさ”を表現するためには、表に見えなくても肩パッドと毛芯は最重要項目です。
そこで今回は、アームホールと肩幅の調整を密に行った後、パッドと毛芯を薄く削ぐという結論に達しました。

特に着心地に顕著な肩パッドをご紹介致しますと、通常肩周りをしっかり(カッチリ)見せたいというご要望に対しては、

これぐらいの綿を詰めたパッドを
ご用意するのですが、今回は芯を残しつつ
ここまで薄くしてみました。
2つ並ぶと違いが顕著ですね
パッドを薄くすることにより、厚みが無くなる分柔軟性と軽さが増しますので、着心地の軽さは勿論、肩周りの運動量も大分増えて参ります。
只、今回はあえて芯を残しておりますので、柔らかで軽い着心地の中にも”ジャケット然としたカッチリさ”を残せるはず!とお仕立てを開始致しました所、これが生地の質感と相まって・・・大成功!
お墨付きを頂いた軽い着心地、重心が下に下がる様なドロップライン、ロロピアーナ特有の綺麗なドレープ感は正に小慣れた伊達男でした。

出来上がり品をお見せ出来ないのが心苦しいですが、栄えあるご役職の方ですので社交場でお見かけする事もあるかとは思います(もしかしたらあなたの上司かも?)。
そこで紺色のジャケットを着ていたのであれば、それは人知れず命題に立ち向かったスーパーマンジャケットです。
最後もひっそりと終わらせた方が良いのかもしれませんね。
Kさん、またのお越しをお待ちしております!