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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!

 某社とコラボ !?
6月も半ばを過ぎ、そろそろ梅雨のシーズンに突入かと思われますが、ここのところ30度超える日が多く感じられます。
何でも今年はラニーニャ現象と呼ばれる現象が起きているようですよ。
以前から馴染みのエルニーニョ現象の反対の現象を引き起こすのがラニーニャ現象と言われておりまして、現象は、空梅雨、猛暑、渇水で冬はとても寒くなるのが特徴と言われております。

今年の冬は、コートの活躍するシーズンになるやも知れませんね。
因みにエルニーニョはスペイン語で男の子、ラニーニャは女の子の意味ですが、少し泣き虫な女の子が望ましいところです。(^^;)

さて、そんな日に日に暑さ高まる中、当社でも 熱いご注文がありましたので、ご紹介したいと思います。
先ずは時は遡ること、5月の連休前、、、ファーストコンタクトは電話でした。

■ お 電 話 ■
「オーダースーツを作りたいのですが、今から行っても良いですか?」とのこと。
当社ではメールの事前のご相談は元より、HPをご覧頂いて直ぐにご来店下さるケースは良く有ります。
「勿論喜んでお待ちしております!」と答え、ご来店をお待ちすることになりました。

暫くすると、お電話くださったお客様らしき方が来店なさいました。

■ ご 来 店 ■
お客様: 先程電話したAですが、スーツ作りに来ました。
北  : ありがとうございます、では最初にサンプル帳のご案内を各々然々....etc
 とイントロデュースしておりますと、Aさんが、
Aさん: 実は、私のスーツではなくて、撮影用のスーツが作りたいのです。
撮影用のスーツ???
これは、詳しくお話をお伺いしなくてはなりません。
何でもAさんのご職業は広告代理店で、当社にお越しになった理由は、クライアント企業の広告宣伝部のデザイナーから、広告コンセプトに沿うイメージとしてスーツが必要なので用意して来い!との命令で当社に駆け込んで来たというお話です。

企業広告というと広告代理店に依頼して、丸投げの所もあると聞きますが、企業が自前で広告デザイナーを擁しイメージ及びブランド管理を徹底させているところがAさんのお話から窺えます。
と言うことは、ひょっとして超大手企業なのでは!?とドキドキしておりました。

特に上記のような、具体的なコンセプトがある場合、私自身がそのイメージを共有してご提案する必要がありますので、どのような会社でキーとなるコンセプトは何かと質問いたしましたところ....

■ ご 相 談 ■
Aさん: ××××社の****(とある電化製品)でオーダーメード要素のある製品を打ち出す為、そのイメージとマッチングしたツールとして、オーダースーツを探してヨシムラさんのところに来ました。
北  : なるほど、オーダーメード=オーダースーツ...(暫し思考を止めて・・・)
ウン???えっ!!!、××××社ってあの××××ですかっ!!??
思わず声が大きくなってしまいました。
ある程度、予想していたとは言えAさんの話もそこそこにクライアント企業の名前を聞いて...驚いたのです。

その名は、世界的に有名なコングロマリット的企業(※1)でしたので、異業界コラボレートすることになるとは露にも思わず、只々ビックリです。
世の中、何かどこで繋がるか分かりませんね。

東京店スタッフ北より一言(※1)・ ・ ・
因みに××××社は皆さんご存知のメーカーですが、自社のブランド力を他の所で宣伝に使われるのには、かなりナーバスのようでメーカー名はNGでした。
Aさんの広告代理店でも、××××社と取引ありました等々自社ホームページに掲載するのにも厳しく指導を出す程なのでブランド管理が徹底しております。

■ 話は続き・・・ ■
そういうことで、思っても見なかった依頼が入り、更に話を詰めます。

コンセプトは先の通りオーダーメードですので、スーツからオーダーメードらしさを出す為にはどうしたら良い考えるに、答えは簡潔でした。
それは、画像のような仮縫い状態が一番オーダーメードらしさが醸し出されるという答えです。

しばしば某大型オーダースーツ店が新聞などで仮縫い状態の画像を宣伝用に使用しているところからも、オーダーメードらしさには仮縫い状態が市場に対してアピール効果が高いのが分かります。
オーダースーツの本質は、オーダーしたご本人にピッタリと合っていることが1番ですが、外から見ても大多数の方がオーダーメードであると判別するのは難しいことからもオーダー=仮縫い状態と言えます。

そこで、加えて質問いたしますと、、、

■ 質 問 ■
北  : お話をお伺いいたしまして、まとめますと仮縫い状態をお作りすれば宜しいのでしょうか?
Aさん: ええ、そうなのですが、実はモデルに着させて撮りたいと考えております。
撮影は上半身のみなので、上着のみ仮縫いの状態でOKですが、モデルを左半身ナナメに立ち、手に電化製品を持って写りますので左半分の肩から袖は完成していると良いのですが、可能でしょうか?
納期は5月中旬に撮影のスケジュールに間に合わせたいのですが...
と、ここでサンプル画像をカバンから取り出し見せて下さいました。
このような構図です。

画像は、これまた諸般の事情により、お見せ出来ませんので私の拙い絵でご容赦下さい。


ふむふむ、なるほど、、、確かにオーダーメードというフレーズが画像より、浮かび上がって来そうです。
しかしながら、私自身は暫く考え込んでしまいました。
と言いますのは、当初仮縫いだけでしたら、1週間〜10日で出来ますので、比較的余裕でしたが、半完成品であっても間に合うかどうか微妙なところであったからです。

Aさん、曰く当社以外も回ったが色好い返事を貰えなかったということで、お顔には悲壮感すら漂い初めております、、、私も一緒に悩み、暫し押し黙ること数秒、ビビビッ(古っ)とアイディアが湧いてきました。

通常仮縫いは、仮縫い専門業者にアウトワーカーに依頼しておりますが、納期などの融通は利きませんので、そこに出していたら、とても間に合いません。
そこで、私が考えたのは型紙から仮縫いから仕上げまで『丸縫い(※2)』しか方法がないと言うことです。


東京店スタッフ北より一言(※2)・ ・ ・
丸縫いとは一人の職人がハザシや芯据えといった仮縫い状態に仕立て、更には本縫いの肩入れや袖付け等々を丸々一人で縫い上げることを言います。
メリットとしては、力の入れ具合が本職人のリズムで行いますので、仕立てた時に全体として温度、つまり縫いの力の掛け方があっているというところです。
例えば、これが身頃なら身頃を縫い上げる人、肩なら肩だけ縫う人という分業制ですと常にカッチリ肩を作るのを信条としている人と身頃を柔らかく作るのを信条としている人との間で、微妙な作りの温度差が出ます。

それが、丸縫いの場合は自分でくせ取りや縫製を行うので、甘く縫製して糸と生地との力の掛かり具合を調整したりも出来、その結果馴染みが早いスーツが出来上がるのです。

ただし、丸縫いが至上であるというものでもなく、靴がその製法よりも木型で履き心地が決まるように、スーツもまたフィッターが補正する型紙ありきですし、何よりもその辺りの微妙な仕上がり具合を突き詰めるのには?なところです。
そして、その結果、街のテーラーさんでは20万円を超える縫製料となってしまうのです、、、
良きにしろ悪しきにしろ、この辺りはオーダーする個々人の費用対効果で考えることと言えるでしょう。

以上の納期、工程、完成イメージを考慮すると既にこの時ある人物の顔浮かんでおりました、、、それは当社フルオーダー工場である、三久服装に先日入社した職人歴50年の高橋さん(※3)の顔です。

東京店スタッフ北より一言(※3)・ ・ ・
ご経歴は、スーツ業界歴50年と一寸、半世紀をスーツと共に生きてきた大先輩です。
元々は某国屋の工場で縫製から企画から営業から生産管理、技術指導など数々渡り歩いてあらゆる現場に精通した型紙から縫製から何から何まで出来る人です。
機会がありましたら、近日画像付でご紹介します。

しかし、還暦を過ぎた大先輩をコキ使って申し訳ないなぁと気が引けます。

何れにしても詳しい納期は、本日工場が休みの為、今日のところは宿題ということでAさんには後日改めてご相談にお越し頂くことになりました。

ふ〜っ、、、納期に間に合うかどうか心配です。
大企業はスケジュールがビッシリ決まっていると聞きますので、1日の遅れが広告に携わる全ての人に連動して遅れていきますので、ここまで納期にシビアなオーダーは今までも数えるぐらいです。

果たしてどうなるか、気になる某社とのコラボレーションの行方は・・・・勿論(?)次回にご紹介いたします...

どうぞお楽しみに !!