服地の本場大阪谷町で生まれ、東京神田の生地屋街で育ち...はや

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お客様いらっしゃい

2016年3月25日更新

猛暑対策?

 

この時期は暖かくなったと思えば、一転寒の戻りがあったりと、秋冬物or春夏物、どちらを着れば良いか、なかなか悩ましいかと思いますが、私、南浦は既に春物only!
日中は良いのですが、朝晩は薄手のコートで調整しつつも、ぶるぶる震えながら通勤しております,,,,
今の時期は“DOUMEUIL AMADEUS365”くらいの生地感のスーツが丁度良いのですが、あいにく持ち合わせていないので、来シーズンは作ろう♪と春夏を飛び越えて早くも秋冬に気持ちが向いている大阪店ShopMaster_南浦です。

さて、今回は高級素材好き、しかし一年中スーツは必須のお仕事をされているKさんからのご相談。
こちらのKさん、営業職でいらっしゃるのですが、B to Bでは無く、B to Cである為、真夏であろうとスーツ&ネクタイは必須で、一度脱ぐと改めて着るのが嫌になるという理由で決して店内ではジャケットを脱がれることはありません。
で、今回“みなみさん、とにかく少しでも夏に涼しく着れるスーツが欲しいんです!!”と切なる願いを持ってお越しになられました。

一般的に夏対応で高級素材となりますと、Zegna“COOL EFECT”やREDA“ICE SENCE”などの太陽熱を反射(サンリフレクティング加工)することにより、スーツ内部の温度上昇を抑える機能性素材が最近では有名です。
ただこちらのファブリックはベースの糸が細番手であるが故に、生地の目が詰まって織り込まれており、且つドレープ感が強いので身体全体を柔らかく包み込むので、逆に暑く感じてしまうことがあります。

その他にはアンゴラ山羊の毛から作り出される“MOHAIR”(モヘア)も夏の高級素材と言えます。
このモヘアは繊維はウール(羊毛)に比べると太いので、ウールと混紡すると繊維との間に隙間が出来、通気性が良くなります。
また熱伝導率がウールよりも低い為、肌触りが冷たく感じるのはこれが理由であります。
ただこのモヘア、ウールよりも太く、弾力性が有るため、正直に言ってチクチクとする肌触りが苦手という方もいらっしゃいます。
実はKさんもこのモヘアの触感があまりお好きではありませんので、今回は上記2つの生地以外でとのご提案することとなりました。

そこで今回、南浦がKさんにご提案した素材が、“PORAL”(ポーラ)です。
英国では“FRESCO”(フレスコ)と呼びますが、全く同じ特性を持った生地です。
簡単にその特性をご説明致しますと、3本の糸を1本に纏め強くツイストを掛けた強撚梳毛糸(ポーラ糸)から作られる平織りの素材で、ザラッとした肌触り、粗い織り目が特徴で通気性、耐久性に優れております。
因みにこのポーラ糸の3本をそれぞれ異なる色目で織り込んだ生地を三つ杢と言います。
ただこのポーラも元の繊維が太ければ、非常に肉厚でそれこそ粗雑な風合いとなり、それこそ高級感とはかけ離れてしまうので、高級素材好きのKさんにご満足頂くことは出来ません。

LoroPiana “ZELANDER”

そこで私が選びましたのが、LoroPianaの“ZELANDER”(ジランダー)シリーズです。

元来、モヘアの様に肌触りがあまりよろしくないポーラ地を滑らかで、柔らかく、且つ肌触り良く仕上げるロロピアーナの紡績技術はこのジランダーシリーズを触ると非常によくお分かり頂けるかと思います。

それでは今回Kさんよりご注文頂きました内容を詳しくご案内させて頂きます。

生地:G3109(Loro Piana ZELANDER ネイビーピンストライプ)
G3109(Loro Piana ZELANDER ネイビーピンストライプ) G3109(Loro Piana ZELANDER ネイビーピンストライプ)

2枚目の画像を御覧頂ければ、ポーラ地の粗い織り目がよくお分かり頂けるかと思います。
この粗さでも内に着るシャツが透けることはございません。
またこちらのネイビー地は昨シーズンの物で、あいにく最後の1点となります,,,,すいません,,,
ただ色違いのチャコールグレーでしたら今シーズンご用意がございます(G6106)

【ジャケット】
基本デザイン シングル3B段返り+マニカカミーチャ仕様

Kさんからはきっちりとスーツを着こなしているが、個人相手の営業なのであまり堅苦しい印象は与えたく無い、且つ涼しい仕様で、とかなり贅沢?強引?な(笑)ご要望でございました。
となれば、肩パット、袖山を形成するタレ綿を排したマニカカミーチャ仕様しかないでしょう。
今回のジランダーは他のブランドのポーラ地から比べると非常にドレープ感があるので、マニカ仕様との相性もバッチリです。

裏仕様 半裏仕立(オプションプライス+5000円)

裏仕様は総裏、背抜、大見返し(アンコン)、半裏とございますが、これらの中で最も軽量で、涼しいのは今回Kさんにお選び頂いた半裏仕立となります。
背抜と半裏の違いは細腹(さいばら、脇腹部分のことです)部分の裏地の有無です。
この部分の裏地を排することにより、表生地一枚の面積が多くなるので、その分通気性が高くなります。
因みに大見返し(アンコン)も半裏と同じく通気性の高い仕様となりますが、見返し(内側部分)は表地が折り返しますので、その分前身頃の重量が裏地を使用する半裏より重くなってしまいます。
見た目の豪華さは大見返しの方が圧倒的に上ですが,,,,

ラペルデザイン セミノッチ

最近、大阪店ではセミノッチが何故かトレンドです,,,,おそらく私がイタリアンテイスト好きだからでしょう。
Kさんもかなり南浦スタイルに冒されてきたようです(笑)

袖仕様 重ね本切羽4B

イタリアンテイストは重ねですね。
ボタンはお任せ頂きましたので、仕上がるまでのお楽しみということで。

ベント サイドベンツ
裏地 ???

裏地もボタン同様、お任せとなりました、コンセプトは夏らしく“海”で、爽やかな色目を選んでみました。
もちろんここはボタンの色目とも合わせてまいります。

【パンツ】
前タック ノータック(三角持ち出し付き)

パンツの前立て部分に付くフラップ状の物を持ち出しといいます。
先の形状は英国は小丸、イタリアンは三角がお約束です。

サイドポケット ストレート
ピスポケット 両玉縁左右ボタン

左右共にお使いにならないのであれば、ボタン留にされることをお勧め致します。
その方が口が開かず、型崩れ防止にもなります。

裾仕様 ダブル折り返し(カブラ)巾4.5cm 糸留

カブラの留めは通常スナップ留めですが、カブラは糸留めの方がきれいに納まります。
またスナップ留めですと、クリーニング後のプレスによってスナップの跡形が残るので、これが気になるという方には糸留めがお勧めです。

【ベスト】

※今回は春夏物にも関わらず、ベスト付のスリーピースでオーダーを頂きました。
最近では秋冬物だけに留まらず、春夏物でもベスト付をお選びになられる方が多くなってまいりました。
確かに1つアイテムが増えるので夏は確実に暑くなりますが、春先でしたら5月のGW前まで、秋口ですと10月初旬頃に重宝することかと思います。

基本デザイン シングル5ボタン

3ボタン段返りのVゾーンの深さはシングル2Bを同様ですので、その深さに合わせたベストの前ボタンは5Bが基本です。
秋冬でしたらベストの存在感を高めて、6Bや6×5Bもアリですが、春夏でこのデザインだと暑苦しく感じるということで今回は5Bに決定致しました。

衿付きベストはオーダー感が高まるのでお勧めのデザインなんですが、今回は生地の長さが足らない為、泣く泣く衿無しの通常デザインとなりました。

背中部分 裏地(ジャケットと同様)

目にも鮮やかな色目を選びましたので、かなりインパクトのある仕上がりになるでしょう。

ざっと、今回はこのようなデザイン、仕様で行くこととなりました。
本格的に暑くなるのはまだ先ですが、来るべき季節に向けて1着ご新調をお考えの方、是非一度ご検討ください。
それでは次回のお客様ありがとうをお楽しみに

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