服地の本場大阪谷町で生まれ、東京神田の生地屋街で育ち...はや

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オーダースーツのヨシムラ >> お客様いらっしゃ~い >> 蘇るヴィンテージデザイン

お客様いらっしゃ~い

2017年9月27日更新

蘇るヴィンテージデザイン

もうすっかり涼しくなり、本格的に秋を感じる今日この頃ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
秋といえば、「芸術の秋」、 「食欲の秋」、 「スポーツの秋」など、○○の秋とはよく言いうもので、そこにもう一つ個人的に加えたいのは
「ファッションの秋」(衣替え)です。
涼しくなると着れる洋服の幅が広がりファッションを楽しめる季節になるので嬉しい限りです。

ちなみに、急に涼しくなったり、寒くなるとご注文が増え売り上げが伸びるのもお店的には嬉しい限りだったり....だからもっと涼しいを通り越して早く寒くなれーと最近祈っております。(笑)

そんな良いことがいっぱいの(個人的に!?)秋ですが、これからの衣替えを前に、とっても印象的なオーダーを頂きましたので今回ご紹介させていただきます。

始まりは1通のメールからでした。

オーダースーツのヨシムラ 様
はじめまして。

当方、Sと申します。
スーツのオーダーの件でお伺いしたいことがあります。
ヨシムラ様で以前手掛けていた“エドワード7世”風のスーツ
http://www.vightex.com/thanks/2007/07_09/index.html
を作っていただきたいと思っております。
そのスーツと併せてベストも作りたいと思っており、大体いくらぐらいになるのかをお見積りお願いできますか?

_________________________
お見積り依頼
エドワード7世風スーツ 1着
エドワード7世風スーツに合わせたベスト 1着
_________________________

ご回答よろしくお願い致します。

エドワード7世風スーツ?!
しかもなんと10年前の「お客様いらっしゃ~い」をご覧になってお問い合わせ頂いてるなんて、驚きを通り越して、皆さんにヨシムラのWEBサイトが愛されているんだな~と感動しました。
これからも皆さんにいつまでも楽しんでいただけるようなWEBサイトを目指し日々頑張ろうと気合が入りました。

そんな私自身の事はさておき、しっかり準備をしてお返事をせねばとお客様いらっしゃ~いの当時の原稿を読み返します。
まず最初に「エドワード7世」から調べることに、以前のお客様いらっしゃ~いにも説明がありますが、どんな人かと言うと、

■エドワード7世■

1901年~1910年のイギリス国王で、皇太子時代からファッションリーダーとして名をはせており、若いころからファッションに傾倒し世界で最も服を持っている男という称号を得た事もあるお方。
その影響は現代にも通じていて、ディレクターズスーツはエドワード7世の発案とされていて、これはそれ以前にはあくまで室内着、あるいはカジュアルに近い服装とされていた3つ揃いのスーツを、フロックコート・モーニングコートに次ぐ礼装として調えたものであり、エドワード7世自身が着用することで礼服としての地位が示された。
さらに、グレンチェック模様の服を皇太子時代から好んで着用したために、この模様には「プリンス オブ ウェールズ」という呼び名があり、今でもそう呼ばれています。

調べれば調べるほど面白く魅力的な方だったんだと、歴史の勉強をしつつ、これをどう今回のスーツに落とし込んでいこうか、以前のいらっしゃ~いの記事にある仕様は問題なくイージーオーダーでも対応できるな....問題は生地。

メールを頂いた時期が、早い方だと衣替えを始める方もいらっしゃいますし、
記事にあるような麻100%の生地は、残念ながらご用意ができないし、夏生地だとこれからは着られないしなぁ~どうしたものかと。
良し!とにかく、精一杯探して提案してみようと佐野がお送りしたメールがこちらです。

S様

こんにちは。
オーダースーツのヨシムラ(佐野)です。
本日は、秋の訪れを感じさせる涼しい風が吹いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
この度は、当社ホームページをご覧になってお問合せいただき、ありがとうございます。

さて、Sさんは、エドワード7世風のスーツをご検討ですね。ありがとうございます。

まず生地ですが、ホームページでご紹介しております、オルメザーノの麻100%の生地ですが、同じ物のお取り扱いは現在ありません。
これからの着ていただく季節を考えると、ウール100%の秋冬物での、お仕立てがお勧めですがいかがでしょうか?

もしお探しの生地が黒無地でしたら、オススメ生地の特徴とお見積り、写真を添付致しますので、よろしければご確認ください。

・葛利毛織(日本)
「ションヘル織機」という低速織機で織り上げた昔ながらの目付のしっかりとした風合いの生地、そして、やはり「MADE IN JAPAN」クォリティー。
生地にコシが欲しい、丈夫な生地が良いならばこちらがお勧めです。

・ロロピアーナ(イタリア)
生地の特徴は、「しなやか」、「艶やか」、「柔らかい」このようなワードを彷彿させる素材です。生地が非常に肌触りの良い柔らかさで、着心地も抜群です。イタリア生地の柔らかく軽い着心地をお求めならお勧めです。

・エルメネジルド・ゼニア エレクタ―(イタリア)
先程ご紹介したロロピアーナと原産国ですが、前者に比べハリとコシが有り、重厚感のある生地です。艶も勿論ありますが、艶々しているのではなく、重厚感のある艶が生地の特徴です。
(*お見積りは省略させて頂きます)

上記にご案内させていただきましたが、これ以外にも勿論生地は豊富にご用意しております。
よろしければ、当社の秋冬新作生地のサンプル帳を2週間無料でお貸し出ししております。
下記にURLをご用意しましたので、よろしければご請求ください。
<新作秋冬物サンプル帳ご請求画面>
http://www.vightex.com/order_n/index.html
以上ご案内させていただきました。
長文になりましたが、ご確認をお願いします。

どうかな~、気に入ってもらえるかなぁ~、メールでご相談を受けてお答えする時は、
店頭で直接お話しするのと違い、どんな風に反応してくれるかのレスポンスが直ぐに分からないので、なぜか緊張します(汗)

すると早速S様から返信が、

佐野 様

お世話になっております。Sです。
早速のご返答ありがとうございます。

生地の件ですが当方暑がりなので冬場でも涼しげな生地が良いです。
また、風合いに関してですが麻生地のような古風な風合いが出来れば良いです。

ただ、そこら辺はメールでのやり取りでは難しいと思いますので今週の日曜日にお伺いしようと思っております。
日曜日は営業しておりますでしょうか?
よろしくお願い致します。

なるほど、冬でも着られる涼し気な生地、そして古風な風合いをお求めなら、あれしかない。
ということで、佐野がご用意した生地がこちら。

生地
G9046 葛利毛織4PLY 黒無地 WOOL 100%
G9046 葛利毛織4PLY 黒無地 WOOL 100% 古風な風合いといえば、葛利毛織が雰囲気もあって最適かとこの生地を選択しました。
ベーシックな黒無地でありながら少し杢調のある生地感もポイントです。
4PLYの生地でハリ、コシがしっかりとあり、目付もへヴィーで春夏の生地ですが、
これなら長いシーズンご着用頂ける。きっとご希望の生地に近いはず!

提案する生地も決まり後は、再度準備とエドワード7世について勉強をすること、
どういう提案をしようかなとあれやこれやと考えている時もまた楽しい時間です。
決戦は日曜日。(金曜じゃありません。)そこに向けて準備していきます。

そして、いよいよご来店日当日。
お互い初めましてなので、どういった方なのか緊張の瞬間と楽しみな瞬間両方を味わいつつ待っているとついに自動ドアが開きます。

「いらっしゃいませ!初めまして。」

と元気よくお迎えするとS様は何やら大きな荷物を手に持ってご来店されました。
挨拶を済ませひとまず席について頂きお荷物をお預かりすると、そこから出てきたのは、
なんと、「フロックコート」じゃありませんか。
さすが、エドワード7世風スーツをお求めのお方です、準備に抜かりがありません。

そして私もしっかりと準備をしてきた成果を発揮する時です。
早速生地をお持ちしプレゼン開始!S様の反応やいかに?すると、、、
「いい感じですね~。ヴィンテージ感があって雰囲気がいいし、この生地感なら冬も行けそうですね。よし。生地はこれに決めます。」
S様から最高のお言葉を頂けました。
「ヨシ!」と心の中でガッツポーズを決めてホッとしたのもつかの間、そう、ここからが重要です。

それは、仕様とサイジング、これが大きなポイントになってきます。
今回特に「エドワード7世」がキーワードになっていますし、一筋縄ではいきません。
S様と真剣に話し合いオーダーシートに落とし込んでいきます。
そして何よりもこの時間がやっぱり一番楽しい!!!

S様と2人でこれもいいよねぇ~、こっちはどうかな?とお話しをしていく内に打ち解けていき、話が脱線したり....
自然と笑顔も増えていきます。

今回は「エドワード7世」をキーワードに、現代風のテイストを入れ、ただのヴィンテージではないスーツをサイジングも含めデザインしました。

それでは、今回のデザインをご紹介いたします。

デザイン
ジャケット
基本デザイン

シングル4ツ釦
(初めて見る方も多いかと思います!インパクト大です)

衿型

ノッチドラペル

ベンツ

サイドベンツ

腰ポケット

ハッキング+チェンジポケット

肩周り

セットバックショルダー
(当時はビルドアップが多いかと思われますがここは現代風にアレンジ!)

ボタン

くるみ釦

スラックス
タック

2タック(インタック)

脇ポケット

ナナメ

ピスポケット

左右釦止め、左フラップ付き

ウェスマン(腰帯)

ハ巾4.5cm 持ち出し釦2個 ベルトレス仕様

左右脇尾錠付き

サスペンダー釦付
(ヴィンテージスタイルといえば、ベルトレス。帯巾を広げ個性的に)

時計ポケット付き

懐中時計を入れる為のデザインです。こちらもヴィンテージならでは。

ベスト
シングル衿付き

7ツ釦6掛け
(上着が4ツ釦なので、合わせるためにボタンが多くなりました。通常は6ツ釦5掛けです)

胸ポケット付き

上着を脱いだ時に、チーフを入れたり、メガネを入れてみたり等アレンジが効きます。

マークがついているところが、注目ポイントです。

ざっと書き出してみましたが、釦間の感覚や、細かいサイジングのポイントなど満載でここでは書ききれない濃い内容になりまして、これは出来上がりを楽しみにお待ちいただきたいと思います。

次回はS様に実際に着て完成系をご紹介させて頂きますのでこうご期待です!

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