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オーダースーツのヨシムラ
お客様！ありがとう！
アナウンサーの紺ブレ　
まだまだ暑い日が続きますが皆さんいかがお過ごしですか？
お盆と言うことで民族大移動、あちらこちらへ出掛け、あまりスーツを着ない時期かも知れませんね。

今月は、あまりスーツに縁がないこの時期ではありますが、先月お客さまいらっしゃ〜いでご紹介した某ＴＶ局でアナウンサーをされているＫさんから頂いた紺ブレのご紹介をいたしたいと思います。
紺ブレは、今年の春夏から結構注目を集めていますし、帰省などカジュアルとフォーマルの兼用を意識する時期には使い勝手の良いアイテムですのでぜひご覧下さい。

さて.... Ｋアナ場合どんな目的で紺ブレをお探しだったかというと、それはオーダーシートパターン表の備考欄に記載されていました。
04.07.01　オーダーシートパターン表
（オーダーシートパターン表から抜粋）

4.生地番号: Ｇ６１４７ >>>ロロピアーナの紺無地です。とても光沢感のあるデリケートな素材です。
5.基本デザイン: シングル3つボタン
17.オプション: メタルボタン
18.連絡事項:
● 今回はブレザーを仕立てたいと思っています。上着のみですが、セールの料金は適用されますか？
● ブレザーの用途は、
「通常の使用とともに、緊急報道などの使用を考慮に入れる（激しい動き、汚れなどに多少強いもの）
「ズボンは動きやすいチノパンがメイン。時々グレーズボンも履く」
指定した生地が不向きであれば、別の生地で仕立てたいと思います。
● 生地の色は黒に近い紺を希望します。
● ボタンはブレザーでよく見る金ピカモノよりも、周辺が金で中央が黒とか、銀色のボタンなど、ちょっと押さえたモノを希望
● 裏地の色は、ブルー以外だと何色がいいでしょうか？派手目なくらいでもいいです。

★☆★東京SHOPMASTERから一言･･･★☆★
＠セール初日からご注文有り難うございます！
ご注文内容については･･･う〜ん、アナウンサーの仕事だと色々と難しい問題があるんですね。
そこで早速、次の内容でお答えしました。（本稿は「お客さまありがとう」ですので多少省略します。）

○ブレザーはとても良い選択
カジュアルにもビジネスにも着廻し･使い勝手の良さが良いです。
でも、次の理由でメタルボタンはあまりお勧めできません。
1. 生地が高級素材（＝デリケート）なのでメタルボタンの重量に生地が耐えられない可能性がある。
2. 意外とこういった時水牛ボタンの鼈甲色はコントラストが利いてなかなかお洒落。

○デザイン的には･･･３×１（段返りは？）
紺ブレというとアメリカントラッドのイメージが多いので３×２でもいいですが段返りがベーシックで良いのではないでしょうか？

○腰のポケットは･･･アウトポケットなどはいかが？
紺ブレ→着廻しの良さ→カジュアルも意識となると、腰のポケットはやはりアウトポケットがお勧めですね。
胸までアウトポケットにするとカジュアル感が出過ぎるので腰ポケットだけアウトにした２パッチなんかがお勧めです。

･･･と、このようにご提案していったのですが、これには私なりの根拠がありました。
というのは↑のご提案のほぼ全てが実は私が昨冬にしたてた紺ブレそのものなのです。

この辺はＫアナとは年齢的にも近く性格的にも近い(??)ためご提案しやすかったのですが、私の紺ブレはこんな感じでした。
（素材はこの冬も継続投入する伊ロロピアーナ社のドスキンです。）
いかがですか〜!?
画像は真夏の暑い中冬物着用で撮影しましたので私の日焼けと冬物紺ブレがとてもミスマッチですが、鼈甲色の水牛ボタンが濃紺の色にとても良いコントラストを生み出し、また腰のアウトポケットがカジュアル感を引き出しているでしょう。
でも真面目にしていると生地に光沢感があるためフォーマル感も出るので私自身凄く気に入っています｡

この辺は普段でしたらお客さまにご提案するためデジカメ画像などをお送りするのですが、Ｋアナは、仕事柄良く東京へ来られるということを聞いていましたので、東京に来られるスケジュールはないか伺ってみると、近い内にお越しになるとのこと。 それでは、百聞は一見に如かず、次回の出張時に最終判断して下さい。
ということになり、最後には直接ご覧頂きＯＫとなりました。

そして、その出来上がりはこちら↓
さすがにご試着にはタイミングが合わずお越しいただけなかったのでボディーに着せて撮影しました。
真ん中の画像などは襟のプレスを少し甘くしたので綺麗なロール感が出ていますね。
これをメタルボタンでやってしまうとボタンの重量でこうは綺麗にシルエットが出ませんね｡｡｡
以上がＫアナの紺ブレ仕上がりです。
ボディーに着せても良い感じに出来たので、早速意気揚々と仕上がりのご案内をして、商品を送り届けると次のようなご感想が｡｡｡
04.08.02　紺ブレの件で
（前略）
前に作って頂いたスーツと比べると、若干胸のあたりのサイズが大きい様なのですが、サイズ的にはいいのでしょうか？
紺ブレを着てみると、脇の下、胸側が、前のスーツと比べると少しあまりぎみ？の様な気がします。
その部分に、縦に布が余った様なシワがはいるのです。
ただ、サイズに関しては、今の自分のサイズにぴったりあったスーツを着たことが、これまでほとんどありませんでしたから、直しが必要なのかどうか、はっきりしたことが言えません。

実は、これは先日決めたことなのですが、これから１〜２ヶ月に一度程度、プライベートの習い事で、東京に通う予定です。
次は8月21日に行く予定ですので、その際にサイズなど確認をお願いすることができればとも思っています。

私の体の体型が、オーダーでも難しい体型なのかな・・とも思っています。
むずかしい注文ばかりで、ご迷惑をおかけします。
★☆★東京SHOPMASTERから一言･･･★☆★
Ｋさん、申し訳ありませんでした｡｡｡
何分遠地ですので直接この目でチェックできないのが心苦しいのですが、↑で朱書きした部分について考えられることは次の通りです。

◆ 縫製誤差 ◆
オーダーの場合は５ミリ程度の縫製誤差が出ることがありますがこれは一般に許容範囲としています。（Ｋさんはリピーターですので原則的には採寸ミスはありえません。）

◆ 素材特性 ◆
素材を言い訳にしたくありませんが、ロロピアーナの生地は非常に柔らかくデリケートです。
加えて濃紺という色は生地の凹凸によるドレープが目立つ反面、シワもまた目立ちやすい素材です。
もちろんスーツは動くことを前提に仕立てているため、適度なゆとりを作り出すために出来るシワはやむを得ないものです。
しかしこれが適度なシワなのか、不自然なシワなのかは好みの問題や素材の特性によってシワの目立ち具合が違うととても微妙な問題になります。

Ｋさんには以上のご案内し、最終的には東京へお越し頂く際に見せて貰うことになりました。

折角うまく行っていただけに私としてはちょっとガッカリなコメントでした×××。

オーダーと言っても１着完璧な物が出来たからと言ってその先全てパーフェクトということもなくホントこれを仕事にしているとその奥の深さに戸惑うことがあります。
私達プロが日々そうなのですから読者の皆さんにとってはなおさらですよね。
これからも頑張ります！

★☆★ おまけ★☆★
ところでＫアナからおまけを頂いています。
それは｡｡｡なんと前回お仕立てしたスーツにアナを開けたとのこと。
アナウンサーがアナですから洒落にもならないのですが、（寒っ！）どんな状況かというと､､､画像の通り。
場所は、ちょうど上着の背中中央部分の一番下。画像では見えにくいですがカキザキのような状態になっています。
そしてＫさんは随分ショックだったんでしょう。こんなメールを頂きました。
04.07.30　ちょっと大変なことに･･･
殆ど毎日のようにメールをおくりまして、申し訳ありません。
実は、ちょっとショックな事がありました。
今週、早朝ニュース担当で出勤の際、寝ぼけて、スーツのベントの辺りを、突起に引っかけてしまい、思い切り穴を開けてしまいました。

英アーサーハリソンのＧ６００２のストライプスーツです。
大変気にいっていただけに、かなりショックです。
見えない部分なら修理も可能かもしれませんが、丁度、ベント下部と裏地のあたりの境目で、ちょっと微妙です。
もし生地があるなら、上着のみ注文をしようと考えています。
在庫の確認をお願いできればと存じます。
また、お値段がいくらになるのか、教えていただければと存じます。
とりあえず、ご連絡をお待ちしています。
★☆★東京SHOPMASTERから一言･･･★☆★
アナウンサーという職種は想像以上に早起きしなくてはいけないようですね。（何でも５時に出勤だとか...）

Ｋさんへはその後、穴を開けてしまった上着が届き、先に掲載した画像の通りの状況が分かりましたので、作り直しは不要、お直し（カケハギ）で十分ということでご返答し、こちらの方は紺ブレのチェック時にお渡しできるよう只今お直し中です。

それにしても、メールの書き方からして、Ｋさんもさすがに焦ったようですね｡｡｡(^^;)

今回はリピーターなのに仕上がりが、今１つうまく行かなかったり、あるいはうまく仕上がって気に入って貰えたスーツがカケハギになったりとさんざんな結果でした。
それだけにＫさんとの関係が良好なままでいられていることが私にとっては大きな救いです。

さぁ〜、気を取り直してしっかり仕事をしよう。
それではＫさんお盆明けのご来店お待ち申し上げます！