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お客様ありがとう

2016年5月23日更新

猛暑対応スーツ完成!

ゴールデンウイークも終わり、日中の気温が30°Cに近くなってきますと、いよいよ夏が近づいてきた感がしてきますね。
まだ空気が乾いているので風が心地良く感じられますが、日射しはもう既に夏ですね。
今年の夏は暑くなるらしいので、今から気が重い大阪店ShopMaster_南浦です。

さて、今回は暑くなる時期を見越して少しでも快適に着られるスーツを所望されたKさんのスリーピースが仕上がってまいりましたので、そちらをご紹介したいと思います。
ご注文頂いたのはまだ肌寒さの残る3月の中旬過ぎ。
只今非常に工場が混み合っていることに加え、ゴールデンウィーク、それにボタンと裏地の手配に時間が掛かり、このタイミングでのご紹介となりました。
大変長らくお待たせしてごめんなさい、Kさん。
しかしタイミング良く暑くなってきましたので、結果オーライということでお許しください(苦笑)

それでは今回のご注文のポイントを画像と共にご紹介してまいりたいと思います。

デザイン
Point1:シングル3B段返り&マニカカミーチャ(シャツ袖仕様)
コンシューマー向け営業を生業とされているKさんですからクールビズなんてものは全く関係無く、もちろん真夏でもジャケット&ネクタイは必須とのこと。
ただ個人向けであるが故に堅苦しさだけではダメで、どこかに柔らかい印象を与えるデザインを、とのリクエストでしたので、ご提案させて頂いたのが3B段返りとマニカカミーチャ仕様です。
主に単品ジャケットやアメリカントラッドに良く見られる段返りはベーシックなシングル2Bや3B中掛けと比べますと、幾分カジュアル寄りのデザインとなり、且つ肩パッド及びタレ綿を排したシャツ袖仕様と組み合わせることで、柔和な印象を程良く与えられる仕上がりとなります。

(画像のネクタイは今シーズン南浦一押しのZN6-1022です)
シングル3B段返り&マニカカミーチャ(シャツ袖仕様)
Point2:半裏仕立
裏仕立には大きく分けて総裏、背抜、半裏、アンコンの4つがございます。
総裏は読んで字の如く裏側前面に裏地を貼り付ける仕様、背抜は後ろ身頃の肩周りの部分だけを残し、そこから下の裏地を取り除いた仕様、半裏は背抜から更に細腹(脇腹部分)の裏地を排した仕様、アンコンは半裏の見返し(内ポケット周り)部分を裏地の代わりに表地に変更した仕様となります。
最も暖かく保温性の高い仕様はもちろん総裏で、最も軽量で通気性に優れ涼しいのは半裏です。
アンコンも通気性の面では優れておりますが、見返し部分は表地になることにより重量がますので、とにかく軽く涼しいジャケットをお求めでしたら半裏がオススメです。
ただ半裏はアームホールの下側から腰ポケットまでの部分が丸見えになり、パイピングで始末をしなければならない為、その分作業工程が多く掛かります。
よく背抜は無料なのになぜ半裏はオプション+5000円も掛かるの?と質問されることがあるのですが、それはこういった理由からであります。
半裏仕立
Point3:裏地&ボタン
基本Kさんはネイビースーツしかお召しになられません。
それはネイビーが最も品がある様に、そして見る者に清涼感を与える色目であると良くお分かりになられているからに他なりません。
これは個人営業をなさる上でとても大切なことであると思います。,br> ボタンはスーツの印象を決定付ける上でとても大事なアイテムでありますし、裏地の色目も人に見せる見せないに関わらず、着る本人が上記のように感じる為に決して軽視することは出来ないと私は考えます。
少し仰々しい言い回しになりましたが、要はこの2つのアイテムは生地やデザインの特性を更に引き立たせ、尚かつ着る側のモチベーションに大きく関係するということであります。
今回、Kさんよりお任せ頂いて私がchoiceしたボタンはブルーの高瀬貝、裏地はスカイブルーのキュプラとポリエステル交織タフタ※です。
裏地&ボタン
~タフタとは?~

平織生地のことで、経糸と緯糸を交互に織った非常に簡単な組織で、薄くて丈夫であるため夏用生地には良く用いられます。
タフタの仲間にはトロピカルやブロードなどがあり、これらはみなさんも一度は耳にされたことがあるかと思います。

着心地だけでなく、見た目にも涼しく感じられるように寒色でまとめてみました。
まだKさんには見せておりませんので、お気に召すかいささか心配ではありますが、お付き合いも長いですし、南浦ファンでもいらっしゃるので(笑)おそらく大丈夫でしょう。

Point4:透け感
最後に今回のスーツをご紹介する上での最大のポイントがポーラ(フレスコ)生地の特性である透け感(優れた通気性)であります。
夏場はスーツの内側に留まっている体温で暖められた空気をいかに早く、効率良く逃がせるかが涼しく着れるポイントであり、冬場はその空気をいかに逃がさないようにするかが重要になってきます。
よくお客様より“秋冬用の生地と春夏用の生地とでは一体何が違うのですか?”と尋ねられますが、一番大きな違いは上記のポイントに因る生地の織り込み方(打ち込み)です。
ロロピアーナを例にとりますと、まず秋冬物の“Four Season Super130's”は目付(1m当たりの重量)が260g、春夏物の“Super130's”は240gとその差20gとなりますが、同時に触り比べても、おそらくそれほど大きな違いはお感じになられないでしょう。
ただこの2つの生地を並べて透かして見た場合、光の透過具合は大きく異なります。
透け感
従っていくら薄手の秋冬物生地であっても一年中着ることが出来ないのは、しっかりと空気を逃がさないように打ち込まれているので、ジャケットよりパンツが暑くて履いていられないからです。
春夏物はその逆ですね、パンツの通気性が良すぎて冬において寒く感じるからであります。

以上が今回Kさんより頂きました猛暑対応スーツの概要となります。
これから暑さが本格化していく中、ジャケット&ネクタイ必須の方、是非ご参考にして頂ければ嬉しく思います。

PS:私と同じ位暑がりのKさんの春夏でもベストをオーダーする心意気、大好きです!

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