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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!

 秋冬物スーツのご注文です



朝晩の気温も下がり、ふと涼しげな風が吹くとを感じてしまいますね。
とは言いつつも日中は気温も高く、街角でもジャケットを着ている方はまだ少なく、シャツ姿の方が多いようです。
これから、気温の移り変わりが激しくなってくると思いますので、体調には気をつけていきたいですね。

そんな秋が始まったばかりではございますが、先月末の新作秋冬サンプル帳完成にともない、店内も賑わってまいりましたので、今回は若い方のご注文をご紹介いたします。

リクルートの方やフレッシュマンの方等はどうしても既製品で済ませようという方が多く、なかなかオーダースーツという考えが出てこないのが現状です。

ではどうして若い方でもオーダースーツを仕立てる人がいるのかというと、拘りのある方や、スーツが好きな方ももちろんいらっしゃいますが、一番の理由は、親がオーダーしているから、だと思います。

よく、20代前半の方がお店にいらっしゃったときにオーダースーツを仕立てようと思った理由を聞くのですが、その理由で多いのが父親がいつもオーダーしているから、または父親が当社でオーダーしているから紹介されたという声を耳にします。

なかなか敷居を感じて、踏み込めない時、そっと背中を押してくれる人がいるということ。
これは、その人の経験した事のない複数あるうちの一つのドアを開けて、視野を広げさせてくれるもので、今後その経験から様々なつながりをもたらせてくれるのだと思います。
羨ましいですね。
先導する人が近くにいることは、とても大きな財産なのかもしれません。

さて、少し話が逸れてしまいましたが、今回ご紹介するのは若くて活気のあるSさんです。
お父様が当店でずっとオーダーをされており、今年の始めにご子息のSさんをご紹介されたのが始まりですが、今回は黒地をベースにさりげないストライプが入った生地をご希望でした。

さりげないストライプ、、、といっても色々種類があり、人によってその「さりげなさ」の違いもあります。
こういう時は、地の色が黒ということで、そのSさんにとってのストライプの「さりげなさ」の主観を探ることから始めるのが一番!と思い、ヘリンボーンなどの織り柄物から、自分で感じるさりげないストライプ、そして自分で感じる強めのストライプと一度見てもらうことに。

私:「この辺りはいかがでしょう?」
3点ほど生地を絞り机の上に。
Sさん:「あ、これいいですね。」
と、私が思っていたさりげないストライプの生地を気に入って頂けたご様子。
私:「では、これに似た生地他にも持ってきますね。」 黒地ということ、そしてストライプのさりげなさ具合が確認できたことから、ここからはスムーズな流れになります。

このような事から生地が絞られ、生地の特徴を説明し
最終的に「んじゃ、これでお願いします」と爽やかな笑顔で決まりました。
■ 生地 ■
G4030
(オリジナル/国産/黒×シルバーストライプ)


生地の特徴は比較的ストライプが狭めのピッチで入っており、ストライプのピッチが狭いほど、シンプルな印象を与えてくれます。
この生地はストライプの間にシャドーストライプを入れることにより、立体的な仕上がりになるため、とても仕立て映えのするスーツになります。
しっかりとした印象を与えたい方は、年齢問わず、このような濃いめの色味をお選び頂くと、とても効果的です。

さて、生地が決まれば、次はデザイン決め。
ここでは、お客さんがデザイナーになる瞬間です。
前回のスーツを基準に好みのスタイル、デザインを決めたのがこちら!!

■ デザイン ■
<上衣>
 フロント シングル2つボタン
 ゴージ
ハイゴージ
 肩パット
薄目
 ベント
サイドベンツ
 フロントカット カッタウェイ
 袖ボタン
4つボタン重ね本切羽
 裏地 Z530-F06(抹茶色)
<下衣>
 タック ノータック
 脇ポケット ナナメ
 ピスポケット 両玉左ボタン止め
 裾口 シングル・モーニングカット
 備考 折り目加工

今回は、生地がしっかりした印象を与える濃い色目の生地でご注文でしたので、すこし雰囲気をやわらかくということで、イタリアンなディティールをお選び頂きました。
押しすぎず、引きすぎずといったトータルバランスですね。
裏地に抹茶のような色味を持ってくるところもおもしろいです。

デザインが決まれば、あとは大事な採寸ですが、前回のサイズをとても気に入って頂けたようで、全く同じで良いというお言葉を頂きました。

私:「この前お仕立て頂いたスーツを着て、何か反応ありました?」
と、聞いてみると
Sさん:「若いのに、着慣れてるね」
と言われているそうです。

なんとも暖かい気持ちになった残暑残る9月のとある一日でした。

父から子へと受け継がれるものは、だんだん少なくなってきていると思いますが、そんな中でもスーツを共通点に親子の関係を深められる手助けに少しでもなれれば、仕立屋冥利につきというものです。
出来上がりのお受け取りはご来店と伺っておりますので、是非着用写真を掲載できればと思います。

Sさん、仕上がりを楽しみにしていてください!