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オーダースーツのヨシムラ
お客様!いらっしゃ〜い!
 (大阪編)ファッションの楽しみ方 
立春を過ぎたとはいえ、春まだ遠きを思わせるような今日この頃ですが、それでも春の息吹はそこかしこに感じられます。
我々の商売から言えば、ここに来て目立ったご注文としてレディースの方でお受験用や入学式用のスーツ、そしてまたメンズではウエディング関連、新郎や列席者の方などがその代表です。
春は胸弾む出会いの季節であると同時に惜別の思い断ちがたい、別れ行く巣立ち行く季節でもありますね。

そこで、今回は巣立ちゆく教え子のために精一杯の気持ちをスーツに託した某高校教員のOさんとご友人の結婚式を心から祝福しようとするKさんのお二人をご紹介したいと思います。

それでは初めに高校教員のOさんから頂いたメールをご紹介します。
05.01.23 件名:ちょっと突然ですが
突然ですが、私は高校で教員をしており、現在3年生の担任です。
この春の卒業式に普通の礼服ではなくてちょっと変わった?感じのものを着てみたいと思いメールを送らせていただきました。
黒の無地で丈の少し長めで脇のラインが絞り気味の上着に、すそが細めのパンツみたいな・・・
もしお願いするなら予算はどれぐらいで、納期はどれぐらいになるでしょうか?(卒業式は3月1日です)
ちなみに体型は身長173センチ体重86キロ。剣道をしていたので胸囲は大きいです。
ウエストは90ぐらいだと思います。
突然のメールで申し訳ありませんがよろしくお願いします。(大阪 O))
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
なるほど卒業式の為にありきたりの礼服ではなく、こだわりの衣装をとお考えのようですね。
高校時代の卒業式となると、私の場合は夢幻のごとく昔の話ですが、思い出してみれば当時の先生方の服装はどの学校も黒の礼服に白いネクタイと相場は決まっていましたね。
恐らくそのあたりは今でもさほど変わっていないのでは無いかと思いますが、何か卒業にあたり心に残るようなパフォーマンスをとお考えなのかも知れないです。
文面を拝見する限りでは、恐らくこんな感じの上着をお考えなのではないか...考え、今回は最近新たにメール担当に加わった一野に次のように返信させました。(う〜ん、私も偉くなった?)
01.1.23 お問い合わせありがとうございました。
Oさん
こんにちは、オーダースーツのヨシムラ(一野)です。
週末は寒いながらも良いお天気に恵まれましたがいかがお過ごしですか?

さて、昨日は礼服についてご連絡をありがとうございました。
Oさんは、卒業式用に礼服をお考えのようですね。
ここ数週間は先生からのお問い合わせも含め、卒業される生徒さんからも結構多くお問い合わせいただくのですが、いよいよ そういうシーズンなんですよね。
何でも、Oさんは少し変わった感じの礼服をイメージされているとのこと。
丈が長めのジャケットいうことで、こちらは結婚式の新郎によく見かけるようなコート風の上着でしょうか?(いわゆるフロックコートのことでしょうか?)
画像はピーク襟にオッドベストとバリバリのフォーマル仕様ですが、着丈の長さはイメージに近いかと思います。

また、パンツの裾も細めがご希望とのことですが、こちらは今トレンドのスリムなパンツのシルエットが良いかと思います。いかがでしょうか。

以上、ご質問の2点につきましては別段お仕立てには問題ございませんのでどうぞご安心下さい。

また、肝心の納期ですが、ご着用日が3月1日ですので仕上がり日を余裕を持った2月25日と想定しますとご注文は2月の第1週目あたりがベストですがいかがでしょうか?

なお、価格については税込で45,000円〜69,800円位です。(オプション除く)
生地につきましては、礼服用のサンプルの他に秋冬用のサンプルにも略礼式用の黒地や紺地もございますので、もしご検討いただけるようでしたらこちらよりサンプル帳をご請求下さい。

以上、簡単ですが取り急ぎご案内させていただきました。
それでは、よろしくお願いいたします。

オーダースーツのヨシムラ 株式会社吉村商会
大阪店MAIL担当 一 野 秀 行

★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
よしよし、一野、頑張っとるな〜、気張っていけよ〜
...などとキーボードを叩くのが遅いことを言い訳にメール返信を押しつけてしまいましたが、私の本職は実際にお客様が来られた際の対応。
こっちは自分がしっかりやらねば...

そして、ご案内通りの2月の第1週にOさんご来店になられました。
メールの自己紹介のとおり剣道をやられているとの事で、胸襟の発達が凄い体型です。
胸襟の発達と言えば前回のマッチョなお客様(別のOさん)を彷彿させますが、こちらのOさんは日本古来?のがっちり形です。
早速生地のご相談とデザインの打ち合わせに入りました。
私: なぜ普通の礼服ではなく、こだわりの礼服にしようと思われたのですか?
Oさん: 普通の礼服は職業柄持っていますが、実は今年初めて3年生を受け持ち、その担任した生徒を初めて送り出すんです、ですからそれにちなんで何か生徒の思い出に残る卒業式にしたいのです。
私: なるほど式に対する思い入れを、それにこだわった服装で表したいとの事ですね...

そこで まず生地はというと、こちらは一般的な礼服地で良いとの事でそれほど問題にならず、こだわりはやはりデザイン面でのご相談でした。
Oさんのおっしゃるにはイメージとしては、昔私が学生時代着ていた「中ラン」です。
つまり割と細身で、上着丈も長く、パンツは裾へ行くに従ってすぼまる感じ

そして最終的には次のように決まりました。

○生地 BF306 CYBERBLACK
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ハイテク技術によりウール地のなかでも最も深みのある黒を表現しています。スリーシーズン用ですが、屋内での冠婚葬祭にはフルシーズン対応です。
○上着
上着丈:
87センチ(Oさんは小柄なため、通常でしたら74センチ位なので、今回のこの丈はヒザ上までの長さです)
ボタン: くるみボタン(表地と同じ生地でボタンを作ります、この場合ですと黒です)
衿: 通常のノッチよりはドレッシーなピーク襟をオススメしました。
裏地: ワインレッドがお好きとのことでキュプラのワインカラー(Z494-2)
その他: 腰ポケットはハッキング、ラインは「中ラン」イメージの全体にスリム。
○パンツ
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ウエストは剣道で腰を帯でギュッと締めるクセがついているので実際のウエスト寸法(96センチ)より、4センチ余り少なく仕上げて欲しいとの事です。
太めの方って結構締め上げる癖をお持ちの方多いですよね...ウエスト測りにくいデス
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シルエットは尻回りはユッタリ、下へゆくほどスリムに、なるほど一言でいえばあのボンタン仕様です。(ボンタン仕様てなに?と言う方はこちらをご覧下さい)
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
ご注文を通じてOさんと色々お話しできましたが、今でこそ教職の身のOさんですが、かつてはヤンチャな青春時代を過ごされていたようです。
それだけに、何かと扱いの難しい生徒さんに対してより愛情もひとしおで、今回初めての担任として手がけた生徒達を送り出すにあたって是非なにか思い出に残る式を挙げたいとの事でした。
デザイン自体はさほど珍しいものではないのですが、今回は門出を祝う衣装としていつも以上に思いを込めてお作りさせて頂きたいと思います。
Oさん、どうぞ出来上がりを楽しみにしていて下さいね〜。



そして続きましてのご登場は、ご友人の結婚式に当たり自分の祝福の気持ちをスーツに表そうとされたKさん。
Kさんはこんなご相談から始まります。
04.12.15 件名:営業日
ヨシムラさん
この度、タキシードを作成することになり(サイトはよく見ていましたが、頼むのは初めてです。)大阪在住のため大阪店にて採寸をお願いしようかと考えているのですが、年末年始の営業はどのようになっているのでしょうか?
特に年明け後の8日の土曜日を考えているのですが、その日は営業していますか?
(クリスマスまで海外出張中なのでそれ以前の週末は行けそうにありません。)
着用予定日が2月19日でそれほど余裕が無さそうなので早めに頼んでおきたいのでよろしくご返答下さい。)
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
Kさんは実はOさんのご注文よりも前からご相談を頂いておりましたが、こちらの方は同じお祝いの場用のスーツでもフロックコートライクではなくタキシードのご相談です。

・・・と、当初このようなメールでしたので普通のタキシードがご希望かと思い、Kさんがご来店された際には、『タキシードたるものかくかくじかじかで・・・』とばかりご説明差し上げたのですが、どうもこれが芳しくない
Kさんのご要望に合わなさそうなのです。
そこでもう少し掘り下げてKさんからお話をお聞きするとどうやら『タキシードとは言えオーダーらしく他では見られないようなこだわりのスタイルにして欲しい!』とのことでした。
そこで違和感のない範囲で、こだわりを最大限に出そうと言うことで次のようなスタイルでご注文頂きました。

○G7012 SUPER100S ハニーテックス
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ウールに5%カシミアを混紡し、手触りのマイルド感と温かみを表現した素材感。
それではちょっと違うタキシードのちょっと違う点をまとめましたのでご覧下さい。
○生地は黒ではなくミッドナイトブルー
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タキシードの生地で一番ありがちな色はもちろん黒なのですが、今回はご希望でミッドナイトブルー。
黒に最も近い濃紺で、黒のスーツと比較しない限りなかなか色の違いは分からない程黒の近い濃紺です。
ちなみに蛇足ですが映画007でジェームスボンドが着ているタキシードは大抵このミッドナイトブルーです。
○ベスト付き
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こちらも本来のタキシードではカマーバンドを締めて...となりますが、ベストも違和感なく映りますね。
○台場付き
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通常のスーツの場合、オーダースーツにお台場付きは圧倒的ですが、タキシードに限っては襟にゴワゴワした拝絹を使いますので、それを見返し部分にまで使うと着心地が悪化するため普通はお台場を付けしません。
ですから一般的なタキシードと比べるとお台場付きは凄く珍しい仕様で恐らく本邦初でしょう。
○袖が本開き
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普通はくるみボタンはボタンが丸く、大きいため本切羽にはしませんが、今や市民権を得た袖仕様が今回はついにタキシードにまで及びました。
★☆★大阪SHOPMASTERより一言・・・★☆★
そういえば、この秋冬の注目ファッションアイテムとして、ドレスダウンしたタキシードライクなスタイルが人気でしたね。

スーツでもピークラペルや1ツボタン、あるいはラペルに拝絹使用のタキシードタイプのジャケットに、パンツにはカジュアルなジーンズなどを合わせ、ミスマッチを逆手に取ったスタイルは痛快そのものです。
そういえば画像のような、ベルベットを使ったタキシードライクジャケットもWebでご紹介しましたっけ。

今回は、そこまでは外してないのですが、Kさんのタキシードも折角のオーダーなので当たり前じゃつまらないの精神があふれています。

我が国ではアフター6の正式洋礼装はタキシードとばかりに決まっているようですが、本場の欧米では今やタキシードスタイルはよほどオフィシャルな場のみで、それを象徴するかのようにTVで見かける華やかな映画の授賞式など昔と違いタキシードを着ているのは日本人ばかりで、それ以外は普通のダークスーツ(といってもゼニアかロロピアーナでしょうが、)姿が圧倒的でした。

案外洋服に対し、一番かたくなに保守的なのは日本人かも知れないですね。
例え礼服であろうと本場のあちらではなんでもありかも知れません。
(そもそもタキシードたるものは...とばかり正論ぶっているお店は我田引水も甚だしく、今回のお客さまを是非参考にして欲しいものですね。)

今回のご注文で得た教訓は >>>
ファッションを楽しむ、ファッションで楽しむ、いずれも理屈などいらないということでしょうか。
皆さんもどうぞあまり堅苦しくお考えにならないよう・・・