靴磨きの妙!
2020/10/28
生来の無精者として人生過ごしてきた僕が「靴磨き」に目覚めたのが?年前(実は覚えてないアホな僕でした)。

娘からプレゼントされた靴磨きセット(写真上段のカンカンに入った奴で持つべきは娘です?)と、、、
YOSIMURA&SONSのお客さんで「靴奉行」として僕が尊敬しているYさん(ジョンロブを主におそらく3桁は持っていてしっかりメインテナンスをしているんです)に触発され「靴磨き」をしっかりするようになりました。

「靴磨き」が丸の内辺りの新興靴磨き屋さんにスポットライトが当てられトレンドになっているのは知っていたのですが、改めてYOSHIMUURA&SONSのお客さんの足元に視線をやるようになるとなかなかの強者(師匠!)が揃っていたんです。

靴を磨くなんて独り者の時は母に、所帯持ってからは嫁に「やって貰おう」なんて不届きな考えでいたのですが、師匠たちを見ていると(靴だけでなく外も内も光っているんです)そんな自分が恥ずかしく思えてしょうがありませんでした(反省)。

元々服は大好きでしたが、そもそも段広甲高な典型的日本人?の僕の足に合う靴がなかなか無くてスニーカー好きの革靴嫌いでした。スニーカーには凝っていたのですが、革靴は概ねリーガルが暫く履くと足が痛くなくなるんで無頓着にそればかりでした。

この仕事をしていて知った宮城工業にパターンオーダー靴を作ってもらってからは、フィット感良く今度はそればかりになりましたが、あるときアウトレットで買ったコールハーンがなんとピッタリくるでは無いですか。それを体験してようやくパターンオーダー靴では作れなかったローファーを手に入れました(嬉!)。

振りかえると大学時代、この不精な僕がラグビースパイクだけはこまめに磨いていました。それはすごくスピリットに影響したんですね。そう、気合が入るんです。
今は毎日ブラッシングして最低でも週に一度は早朝に出勤した未だ誰も来ていない店で磨き終わった靴を並べて悦に入っています(えっ、気持ち悪い?)。やっぱり気持ちが洗われますね!

今更ですが、ファッションは足元からとはよく言ったもので靴奉行達に恥じないように、遅まきながら外も内もしっかり磨いてピカピカになるよう頑張ろうと思う僕でした。

写真上段:孝行娘の贈り物第1弾

写真上段:同じく第2弾。第3弾が楽しみ(エッ、もう無いの?)


僕の中の少年
2020/10/07
僕の大好きな夏が終わっちゃいました!
夏は今回のタイトル「僕の中の少年(山下達郎さんのアルバムタイトルです)」から連想してもらえると思いますが、1年で1番少年に戻れる季節で、いつまでも少年の純真な気持ち(何をいまさら言ってんだって)呼び起こしくれるんです。
1人称には「私」「俺」そして「僕」とありますが、少年は「僕」が一番の気分ですね。

ノスタルジックって言うんですか、皆さんにもきっと思い出がいっぱいあるでしょう。
僕の小学生の夏休みと言えば、朝から小学校の校庭でラジオ体操、そして午前中は宿題(はためておいて漫画かテレビ)、午後はまたまた学校のプール教室へ、終わると正門前の駄菓子屋でかき氷、そして学校のプールでは飽き足らず近所の公営プールでおさらい、締めに夜遊び(と言っても可愛いもんです)。と言う具合にアッと言う間にセミの鳴き声から虫の鳴き声に変わって夏休みが終わってしまうと、あぁ、残念!

そして秋ですが、、、
実は、秋も大好きなんです(節操が無い?)。秋と言えば真っ先にファッションの秋ですね、次は食欲の秋(最近少し小食になりました)、3番目はスポーツの秋(押忍、空手道だ!)、そして読書の秋(頑張って1週間に1冊目標?)、最後は芸術の秋ですが、これが僕の秋には一番「無い」かな?

ただしポップミュージックは大好きで、先述の山下達郎さんのアルバムは車運転している時良く聞いています。その縁があって、山下さんのアルバム「FOR YOU」のジャケットを飾るイラストも大好きになりました。とても僕の中の少年を呼び起こしてくれるような画風で、即魅了されました。

このイラストを描いているのは鈴木英人さんと言って、「FOR YOU」の発売当時(90年ごろ?)は雑誌「FMステーション」(だったと思います)や「POPEYE」の表紙を飾っていて、表紙の絵につられて雑誌を買った微かな記憶が有ります(今より物覚えは良かったんです)。

鈴木さんのイラストは、赤や黄色に緑に青と言った原色系のハッキリした色使いが特徴ですが、これがストレートな気分に有っててグッと魅了されるんです!
今年の年末、横浜そごうで鈴木さんのイラスト展が催されますが、今からとっても楽しみです。

写真上段:海を見つめる少年に思わず感情移入

写真中段:憎い横浜ナンバー

写真下段:「FOR YOU」のアルバムジャケット、GOOD!


テナントもデベロッパーも大変だぁ!
2020/09/27
今世紀に入って、百貨店や百貨店アパレルが衰退して行く傍ら、隆盛を誇っていた駅ビルやファッションビルなど大手デベロッパーも今回のコロナ禍を機に、テナント共々大変だぁ!という状況です。

何が大変かって言いますと???
そもそもデベロッパーに入居する最大の魅力は、集客力です。これに加え百貨店とのコスト比較で、百貨店の高い分率(売り上げに対して40%前後)に対しある程度固定化した総合賃料負担率が20%弱のデベロッパーへ「しがらみ」の無いテナントが流れるのは自然でした。

しかしここ8年間弱続いたアベノミクスの下、デフレの中でもインフレを続けてきたデベロッパーから、高コストにコロナ禍も加わってテナントのリストラによる撤退が始まっています。

何が高コストかと言いますと???
1番は家賃です。最低保証賃料+歩合がデベロッパーの大勢で、そもそも路面店と比較して高い最低保証賃料に加え、デベロッパー側から強いられる歩合によって最低保証賃料にさらに上乗せされ、折角売り上げを増やしても路面店の固定賃料のように全てプラスの利益にはならないコスト構造です(ガクッ)。

2番目は人件費です。大概のデバロッパーが朝10時前後から夜の9時過ぎまでテナントの自由裁量は無く営業を行っています。その為、交替制で店舗を運営するので人員が無駄に多く必要になってしまうのです。

3番目は賃借条件です。これは少し専門的になりますが、定期借家条件と言って、概ね3年から5年でデベロッパー側の意志で契約終了出来る条件なのです。この為、店舗施設に投資した金額も当然その期間内に回収できないと損失が大きくなると言う構造で、このコストはかなり大きいです。

他にも売上金の回収が有りますが、現金支払いよりクレジット支払いが増えている昨今、回収期間の差が縮まって来ているのですが、それでもコスト高です。

出来れば人通りある立地に路面店を出店したいのですが、ここはコーヒーチェーンなど飲食店との競合や良い場所は家賃も高く、中々これ!という立地を探すのに時間と労力が要ります。

ビジネスシーンでは在宅が増えて、ファッションがよそ行きのお洒落から普段着のお洒落へ変わる中、オーダーウエアもカジュアルで低価格なものの提供に迫れています。品揃えも店舗も発想転換の今、ですね。

写真上段:上りエスカレーター付近が好立地(写真は本文と関係ありません)

写真中段:ブックストアーはオーダースーツ屋と相性良し(写真は本文と関係ありません)

写真下段:シャツショップもオーダースーツ屋と相性良し(写真は本文と関係ありません)


四方良し?
2020/09/16
昔からよく聞かされた「三方良し」、いい響きですね!
ご存知、江戸時代から明治時代に活躍した近江商人が大切にした「商売の心得」が、、、
買い手よし、売り手よし、世間よし、という「三方良し」でした。
まぁこれは、お客さんが喜ぶことして信用を得て、貯まった儲けで世の中に役立つことをする、でした。

皆さん「儲け」という漢字を見て下さい。信じる者と書きますがこれを増やすことが商売の心得ですね。

それではタイトルの「四方良し」って何?
これ勝手に作らせてもらいました。意味は売り手を二つに割ると部下と上司になりますから、お客さん良し、上司良し、部下良し、社会良し。ちょっと苦しいですか(汗)。

実は先日、YOSHIMURA&SONSに二人の新人が入って来て、連日、上司の播磨さんが二人の部下、中堅どころの築地君と新卒の河本君を一所懸命指導しています。上司の使命はただ二つ、結果を出すことと部下を育てること、です。

僕らの商売はオーダー品を販売してお客さんから対価を頂くのですが、その対価には商品と接客というサービスが含まれていて、お値段以上(どこかで聞いた?)の価値が提供出来て初めて社会に還元出来るんです。新人がそうしたサービスを提供できるようになるために上司は献身的に指導する必要があるし、部下はこれに対し敬意を払わなければなりません。

時には厳しい言葉もぶつけたり、ぶつけられたりしますが、昔はこれを「愛のムチ」として美化していましたが最近は「パワハラ」で訴えられることも有るらしいので(YOSHIMURA&SONSではありませんからご心配なく)、体育会系の僕としては昔が良かったです(笑)。

そんな訳ですが(どんな訳?)、二人の新人、皆さんにも愛のムチでご指導の程よろしくお願いします(逆ですね)。

写真上段:左から播磨パパ、河本末っ子、築地お兄ちゃん

写真中段:二人をビシビシ教育する播磨パパ

写真下段:「こうやるんだよ。」と優しく教える築地兄ちゃんと「うん」と教わる河本末っ子


注目!2020-21AWコレクションよりU
2020/08/27
前回の「注目!コレクション」、いかがでした?
好評につき?続編をお届けしますね。
前回のセリーヌやグッチにエルメス、みんなワンルックしか紹介出来ませんでしたが、、、

ジャケットをキーアイテムにした単品コーディネイトの妙を伝えたかったんです。
勿論、紹介したルックは極一部ですから、今の時代インターネットで是非調べてみてください。

今回は前回に紹介しきれなかったコレクションブランド情報を3つほど。。。
あくまでジャケットキーアイテムとしたワンルックづつです。

先ずはプラダ。90’Sのアーカイブかと思いきや、ブランドオーナーのデザイナー、ミウッチャ・プラダらしいひねりが加えられている?といった印象です。

ジャケットはオーバーサイズ風に着まわせるようなサイズもディテールもビッグパターン。クローズ気味のフロントカットが今の時代新鮮です。コレクションのシューズではポインテッドトゥが隆盛の中、レアなスクエアトゥが90年代のプラダを知る僕としては懐かしくもこれまた新鮮でした。

一方で次回9月のコレクションでは、ラフ・シモンズが加わるという事で楽しみな二人の共同コレクションになりそうですね。

次はギャルソンファミリーのコムデギャルソン・ジュンヤ・ワタナベ・マンからです。
僕の大好きなトラッドテイストを醸し出してくれた今回のコレクション。ふんだんにツイード素材を使用したコーディネイトや、エルボーパッチやバックデザインなどジュンヤらしいこなしで見せてくれた楽しいコレクションでした。さすがギャルソンファミリーの孝行息子はエイジレスに受ける稀有なデザイナーだと思います。

最後は御大、コムデギャルソン・オムです。
もう何回目のコレクション?かと数えてみると、、、なんと78回の快挙?多けりゃいいもんじゃないですが、すべてが本当に「飽きさせない」コレクションなのが素晴らしいです!その神髄は毎回がらりと変わるパターンでパタンナーさんや工場さんの苦労も大変なもんだと思いますが、そこは「価値観」共有されている強みで企業はこうでなくちゃ!って僕がどや顔したくなります。

今回のコレクションはヴィンテージ風ファブリックでパッチワーク風切替しの効いたギャルソンらしいと言えばらしい、コーディネイト。参考になります!
デザインの基本ソースすなわちクラシック、ワーク、ミリタリー、スポーツ、デニムが見え隠れするコレクションでした。

写真上段:プラダ2020-21AWコレクションより(出典:ファッションプレス)

写真中段:コムデギャルソン・ジュンヤ・ワタナベ・マン2020-21AWコレクションより(出典:ファッションプレス)

写真下段:コムデギャルソン・オム2020-21-AWコレクションより(出典:ファッションプレス)


注目!2020-21AWコレクションより
2020/08/19
夏休みも終わり(涙)、さぁ秋本番、、、と思いきや?
連日猛暑のうだるような空気感。長かった梅雨のせいで、蝉達は今が夏本番とばかりミーンミーンに濁点が付いた様な音量で鳴きまくっています。
もう降参だから早く涼しくなってくれ、という心境の毎日です。

しかし、、、
YOSHIMURA&SONSの店頭には、連日秋冬物の生地が続々と入荷して、棚に積み上がって行っています。
オリジナルあり、ベーシックあり、ヴィンテージあり(販売は期間限定になります)、そしてトレンドです。

さて、そのトレンドですが、、、
今シーズンは特に力を入れたのが「単品コーディネイト」と言うことで上下着回しの効くセットアップスーツやジャケット&パンツスタイルです。
詳しくは、YOSHIMURA&SONSのホームページ上SPECIAL COLLECTIONで紹介しますので楽しみにしてください。

但しトレンドと言っても店頭に並ぶのは材料になる生地達なので、どう料理するかは僕たちの腕前?次第と言ったところですか。
そこで、、、僕が注目している‘’メニュー‘’があるので、是非参考にして頂けると良いなぁ、と思います。

先ずは20年来僕の大好きなデザイナー、エディ・スリマン。今シーズンも「セリーヌ」で変わらぬロックスピリットが健在です。上段の写真は、ベルベットを材料にしたリーファージャケット風ダブルのロングジャケットで、羽織り物としてもアウターにも着回しの効くロックジャケットです。他にも、タキシードジャケットやナポレンジャケットなどクラシカルなアイテムを豹柄だったりと見事にエディナイズしたコーディネイトを展開しています。

次はグッチ。あのトム・フォードが率いてた頃とは「キッパリ」違ったコレクションになっています。と言うのも、トム・フォードが胸マッチョで剥き出し、パンツぴっちりタイトの肉体派系だったのに比べ、今のアレッサンドロ・ミケーレは、ご本人髭もじゃのヒッピー男爵風ですが、デザインはかなり柔軟で、マスキュリン系、フェミニン系、知的系、ワル系、セクシー系、ナード系等々なんでもこなす属性マルチ展開な気に成るデザイナーさんです。
今シーズンも「男とは?」で、アッと驚かされたコレクションを展開してますよ!!!

本日最後はエルメス。今シーズンのエルメスは、ナデージュが作り出すジェントルマンとは?品格とは?と言ったテーマを訴えかけながら女性デザイナーならではの「引き出し」を見せてくれました。セリーヌやグッチのコレクションと比べ、ホッとするような空気感を感じさせてくれました。

写真上段:2020-21AWセリーヌのワンルックス

写真中段:2020-21AWグッチのワンルックス

写真下段:2020-21AWエルメスのワンルックス
(以上出典:ファッションプレス)


挑戦!!!
2020/07/24
6月初旬、YOSHIMURA&SONSの新装開店に駆け付けてくれたK氏。
K氏はドイツに本拠を置く、世界最大の総合化学メーカーの日本法人副社長(偉いんだろうなぁ)だけど、とってもざっくばらんなジェントルマンで、店に来てはフランクに話を聞かせてくれるお客さん。僕はついつい話に聞き入って長居させてしまいます(笑)。

今回はなんでも既製品のシャツで、とても気に入っているけど古くなって着れそうもないから、、、
K氏「玉岡さん、今日はこんなの作れないかなぁ?と思って持って着たシャツ見てくれる?」
私「勿論に良いですよ。どんなシャツなんですか?」
K氏「これなんですけど、特に胸ポケットの使用がとても気に入っているんですよ!」
私「うちの胸ポケットのデザインレパートリーには無い仕様ですね、ん〜。」
ちょっと考え込んでしまいました。。。

YOSHIMURA&SONSのオーダーシャツでは胸ポケットのデザインを10種類近く有って、それらは全てアウトパッチポケットで外側に縫い付けているものですが、K氏が持ち込んできたシャツの胸ポケットは、、、
何とスーツ上着の胸ポケット同様に袋が内側についている構造の仕様でした。更にポケットの縁取りを別布に替えてある仕様でなかなか凝った作りなんです。

工場のことを考えるとさすがに即答は控え、、、
私「Kさん、工場と相談しますから少し時間を下さい。」
K氏「了解です。作れるようだったらすぐ生地選びに来ますからよろしくお願いします。」

翌朝、グループ工場へ預かった見本シャツに製作依頼書を付けて工場長宛てに送ったところ、後日快諾の返答が来ました(良かった!)。

早速K氏へメールで知らせると大喜びの返信が有って数日後、生地を選びにやって来て出来上がったのが写真で紹介している3枚のシャツです。どうです?フラットにデザインされた胸ポケットとクレリックな縁取り。フォーマル感とスポーティ感が相まった絶妙な仕上がりです。

こうやってお客さんから頂いた「お題」(今回はK氏より)に、直ぐには応えられなくても「チャレンジ」するのが店舗と工場が一気通貫で繋がるヨシムラグループの良いところで、お客さん良し、工場良し、店舗良し、の三方良しですね。

またまた「提案ネタ」がひとつ増えて、他のお客さんにも喜んでもらえます。
Kさん、ダンケ シェーン。

写真上段:午年生まれに因んで付けたワンポイントネーム(実は僕も午年、一回り上ですが)

写真中段:控えめな所に付けたイニシャル。粋です。

写真下段:ポケットの縁取りに使った別生地。実は写真中段のもの。


T氏今シーズンのキレキレな1着は?
2020/07/08
YOSHIMURA&SONSがニューオープンして1ヶ月半程になりますが、一目新しい店を見ようと開店時に来てくれたお客さんのオーダーが、今、続々と仕上がって来ました。

「うわっ!今日も多いなぁ。」と納品に来てくれた浪速運送さん(アパレル製品を専門に運んでくれる運送屋さんです)がトラックから降ろしてくれた「仕上がり品」の多さを見て、ハリマさんとトミちゃんが感嘆の声を上げてます。

その中でひときわ目立ったのが、T氏のオーダーしたセットアップスーツでした。それは白×黒のギンガムチェック上下に裏が「おおっ!」、なんと色鮮やかなフラミンゴがグリーンをバックにダンスしてますよ。

コロナの影響で少々気持ちが落ち込むようなとき、これを見たら一発で明るくなれますね、なんて勝手に思っている僕でした。

いざ検品をしてみると、それはなかなかギミックが詰まっていて、ジャケットには「総裏」でグリーンをバックにピンクのフラミンゴが踊っていて、そこにダマスクの如くグリーンの糸色でT氏のネームが入っていました。しかも「ドイツ文字」で。

セットアップパンツの腰回りはほど良い「ユル感」を持たせて、昨今、佐野店長がYOSHIMURA&SONSのお客さんへ流行らせた「BOXプリーツ+1」は中々の美しさです。そして腰回りのアクセントに「ウォッチポケット」が効いてます。

次に、セットアップ(組み立てる)と言うだけあって、1.5着目のパンツはセットアップジャケットにコーディネイトしたデニム生地にしっかりクリース入れてスラックス仕様に仕立てていました。腰回りはベルトレス、エルポケット&ノータックでシャープなモッズ調に仕上がっています。〆に、品よく「ハンドメイド風総ステッチ」が入れてありました(心憎いですね)。

以上、加齢とともに攻める(攻め過ぎですか?)T氏渾身の1.5着でした。

写真上段:白黒ギンガムチェックのセットアップジャケット(モワレ、スミマセン)

写真中段:デニムスラックスとのコーディネイト

写真下段:白黒ギンガムチェックのセットアップパンツ(コットンかと思いきや、実はフェイクな機能素材エバレットでした)


百貨店マフィア
2020/06/22
とうとう大手百貨店アパレルメーカーのレナウンが倒産しちゃいましたね。
とうとうと言ったのは、随分前から噂はあったのでそれほど驚きはしなかったのですが、逆に驚きは「良くここまでもったなぁ!」と言うのが僕の正直な気持ちです。

実は僕の就職活動で第一志望にしていたのが「レナウン」でした。
大学時代は学問よりラグビー一筋に打ち込んだお蔭で、首より下は盤石だったのですが首より上(特に脳みそ)は出来が悪かったので、ファッションが好きだったことも有り、体育会系なら比較的入りやすい(と言われた)アパレルへ推薦を貰って採用試験へ臨んだのですがあっけなく撃沈。それから紳士服メーカーを経て今に至っています。

社会人なりたて(80年代)の僕は営業マンとして意気揚揚に、主戦場の百貨店へ乗り込んだのですが(バカの怖いものなしでした、笑)、すぐに「ガーン!」と洗礼を受けたものでした。

当時、百貨店の紳士服売り場はレナウン(ダーバン)やオンワードが思い切り幅を利かせて、良い場所は優先して取るわ、売り場も広く沢山とるわ、商談場所の事務所では若い営業マンが大きな顔して百貨店の部長クラスと堂々と(企業力で)交渉?していて、なかなか業界3位以下にはチャンスが巡って来ませんでした。

そんな訳で、当時百貨店の紳士服始め、婦人服、子供服の売り場はレナウンやオンワードに牛耳られていましたから、特に力の弱い地方百貨店は売り場を構成するのに大手百貨店アパレルに抜けられると困るので、ほぼ言いなりでした。そんな力任せの大手アパレルメーカーを揶揄して、業界では「百貨店マフィア」と呼んでいました。

余談ですが、メンズアパレルメーカーで構成する業界団体が有るんですけど、そこでも重職はダーバンやオンワードに席取りされ、現理事長はレナウンの元会長ですが、「良く引き受けたものだなぁ。」と訝しく思います。

百貨店とアパレルメーカーのもたれ合い?もいつまで続くかは概ね想像できましたが、欧米では大都市でも百貨店はせいぜい一つ二つで、後は量販店、専門大店がセグメントを分けて商売しています。これに比較して日本は多過ぎ。

栄枯盛衰は決して他人ごとでは無く、現在のコロナ禍でも多くの企業や商売人に言えることですが、自主自立、独立自尊が何よりです。
レナウンは民事再生法申請から一ヶ月以上たった今でもスポンサーが見つかって無いようで、僕としては振られた彼女?の行く末が気に成るところです。

写真上段、中段、下段:池袋の百貨店では早くもレナウンブランドが半額。当然ですね。


平静
2020/06/10
YOSHIMURA&SONSニューショップの開店セレモニーフェアが終わり、平静の営業がスタートしました。

期間中はお陰様でコロナにもめげずに沢山の、沢山の顔にお会いすることが出来て、本当に嬉しかったです。

開店前の店作りも楽しかったですが、やっぱり僕らお客さんと接している時が一番、ハッピーだと改めて感じた次第です。

何よりこの店舗の店作り、沢山のお客さんに喜んでもらおうといろいろな仕掛けを施しました。

中でも来て貰った人達に一番のサプライズだったのは、店頭閑地のフィッティングミラー

要はヨシムラが昔から得意にしていた、店の外へ立ち鏡を持ち出して、生地を体に当てて見て貰うという、そのスペースをファサードの自動ドア横に設けた扉を開けると、大きな大きな鏡が現れて自然の外光でフィッティングが出来るという仕掛けなんです(換気バッチリ)。手前味噌ながら一見の価値、一回の使用価値あり!ですよ。

二つ目は、YOSHIMURA&SONSのロゴマーク「YR」を入れたパーテーションになっているステンドグラス(写真上段)。
店内に足を踏み入れて最初に皆さんをお迎えするモニュメントです。これからの長い時を経て枯れずに味が出る(だろう)仕掛けです。

三つ目は、存在感抜群の大型クローゼット(写真中段)。これはヨシムラの理念のひとつ「お渡しの時の顧客の笑顔」の考えから来ているのですが、オーダー品の仕上がりに満足してもらった時に頂くお客さんの「笑顔」の助けになるかなぁ?と用意したクローゼットは、受け取りに来店されるまでオーダー品を大切保管して置く箱です。

四つ目は、フローリング(写真下段)。沢山のお客さんの足跡がのこる床は自然な木材によるフローリングしかないとの考えから、美しさも狙ってヘリンボーン柄とストレート柄の複合デザインにしてみました。時を経るほど味が出てくるこのフローリング。10年、20年、、、○○年先が楽しみです。

まだまだ他にもギミックが詰まった店に、こんな時勢ですが予約してもらって、是非お越し下さい。



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