秋のスタイリングは、タイドアップで決まり!
2022/08/30
朝晩の涼風、虫の音を体感すると僕の本能がメラメラ?
暑い夏にとても快適な着心地を提供してくれた合繊素材のセットアップにも飽きていた僕の本能は、やっぱりウールでした!

早速、この秋冬メンズドレススタイリングをセレクトショップへ探りに行くと、、、
ビームス、アローズ、シップスで、やっぱりスーツもジャケット&パンツでさえもウール素材の本格仕立てが数多く見受けられましたよ。

素材に多く見られたのがフランネル。シンプルな紺無地や白黒のグレンチェックなどでダークグレイ系のしっかりパットが入ったコンケープ調の本格仕立てのスーツやスリーピースを多くアピールしていました。

コロナ禍の外出制限が少しづつ緩和されたのと、在宅のカジュアルコーディネイトから外出には「きちんと感」のあるドレススタイルへ潮目が変わってきたのを感じます。

きちんと感では、上記のショップでコーディネイトされたスーツのVゾーンは、ピンホールタブカラーのシャツにしっかりタイドアップされていました。中でもカラーはエコなグリーン系のワントーン(ペールグリーンのロンドンストライプのシャツにグリーン使いのペーズリータイが特に好印象で、僕もこの秋はしっかりこの「きちんと感」のあるコーディネイトで颯爽と?ショップに立とうと思っています。

タイドアップの「きちんと感」と言えば、僕の苦い体験談があります。
まだコロナ禍など全くない10年程前までは、仕事を終えると週に2、3回は痛飲して帰宅するというルーチンでした。そして、帰宅途中の電車内でカバンを網棚に乗せたまま下車してしまうこと数回(1回や2回ではありませんでした、苦笑)、馬鹿をやっていました。

そんな時、ある日の日経新聞のコラムで、プロ野球選手、監督だった権藤氏の逸話に、酒席で乱れないための術に、必ずタイドアップして外さないと言う話でしてこれがジェントルマン権藤氏の鉄則だったんですね。

この日から(僕、即影響受ける方なので、笑)、飲んでもネクタイは外さない、しっかりタイドアップを貫いて(カッコいい?)みると、なんとそれからあの物忘れがピタッと止んだんです。余談でしたが、身に覚えのある諸兄は試す価値大ですよ!

写真上段:2022AWコレクション、お勧めはグリーン系ペイズリー柄!

写真下段:お気に入りの某セレクトショップ・タイドアップ・スタイリング


やっぱりエディは最高!
2022/07/18
この男に魅せられて何年だろう?
その男は、エディスリマン

彼が鮮烈な光を放ったのが20世紀末。それはイヴサンローランリヴゴーシュだった。
当時、老舗ブランドを蘇らせた点ではトムフォードのグッチと並び称せられた?が、トムのディレクション力とエディのクリエーション力はそもそも土俵が違うので比較にならない。

21世紀に入ると活動の場をディオールオムへ移すとそのクリエーション力は爆発的な支持を得て、これまた再生したがディオールオムもサンローランリヴゴーシュも、、、
あくまでエディだった。そう100%!

そしてサンローランパリのメンズレディスをディレクションした後、老舗メゾンのセリーヌのチーフデザイナーに就任して今に至る。

以上雑誌のクレジット風に紹介しましたが要は老舗ブランドの名前を冠してエディスリマンと言うブランドをクリエイトしていたと思うんですよ!

僕な好きなところは彼の「ロックな感性」、「少年性」そして「不良性」で、なんと言っても彼のクリエーションワールドはテディボーイのイメージそのもですよね。

気が早いけど先日行われた2023年春夏パリコレクションでは、テーラードスタイルもカジュアルスタイルもエディ全開のロックなコレクションで、シルエット、コーディネイトのミックスマッチ感が絶妙で今までの集大成を感じたコレクションでした!

ブランドネームは老舗メゾンだけど、今回もあくまで「エディスリマン」と言うコレクションでした。次回からもその革新性(凄いなぁ!)を留めることなく僕らを楽しませて欲しいものです!

写真上段:艶っぽいナイトルック(出典:FASHION PRESS)

写真下段:新鮮なミックス感(出典:FASHION PRESS)


手強い?ヤツ
2022/05/30
今春新たに仕入れたインポートシャツ生地の中に、お客さんから要望の多かったデニム素材をカンクリーニへ発注したところ、販売代理店の担当者から、、、

K社Y氏「玉岡さん、イタリアのデニムシャツ生地は色落ちしますよ!!!
玉岡「エ〜!イタリアの品質検査を通っているんじゃないの?」
K社Y氏「イタリアの品質基準は日本に比べたら緩いんですよ。」

以上のようなやり取りから、先ずは使用体験が必要とばかり、早速、僕と佐野君がそれぞれ違うデニム素材(全3種類あります)を特急で仕立ててみました。

待つこと1週間ほど、出来上がってきました。
とっても美しい藍色の発色と、優しいソフトな触感が僕好みでハートへ刺さりました。

元々僕は、デニムパンツは糊のバリバリに効いたノーウォッシュが好みだったので、初めての着用でも「色落ち上等」とばかりに、敢えて白のアンダーウェア(これは絶対NGです)にノーウォッシュで着たところ、見事?にアンダーウェアがインディゴブルーに染まり、肌も腕周りや首周りが青くなって何か病気の様になっちゃいました。

それで一度自宅の洗濯機で洗ってみたら、白のアンダーウェアにはまだまだ色が移りましたが、さすがに肌には擦らなければ付かなくなりました、ホッ!
それから洗うこと3度、ようやく色落ちが落ち着きました。

ノーウォッシュのデニムパンツに比べても相当手強かったです(佐野君は手洗いで、僕以上に手を焼いていました)。

しかし、、、
色落ちが落ち着いて改めて眺めると、この群青色と言いますか、紺碧色と言いますか、何とも言いえない(ボキャブラリー不足でスミマセン)、洗う前とまた違った青色に染まっているではないですか!

そして風合い。軽くソフトでしなやかな風合いはますます増して、着心地最高です!
ここまで来るのに約1か月、手強いヤツでした(実は、僕はノータッチで洗濯機と嫁さんに感謝)。

写真上段:手強いデニムシャツのウォッシュ後

写真下段:紺碧の空と群青の海イメージ(出典:鈴木英仁作品集より)


「セブン、百貨店売却の教訓」
2022/04/17
先日、日経新聞の社説に掲載された記事の表題が、今回のタイトル「セブン、百貨店売却の教訓」でした。

その百貨店とはそごうと西武のことで、予てよりメディアに上がっていた話題でして、買い手が付けば本決まりと言ったところか、はたまた買い手が付かない場合はどうなるのか?野次馬根性丸出しで記事に食い入ってしまいました。

一方で同じ日の別の紙面には、セブン&アイ・ホールディングスが過去最高益を計画しているという記事が掲載されたのに違和感を覚えながら、赤字続きの二つの百貨店の先行きを案ずるわけです。

この二つの百貨店はどちらも1990年前後に売上日本一になった実績を上げたものの、バブル崩壊後、過大な負債に耐えられず、確か法的または私的に整理される羽目になったと思います。

その後セブンイレブンやイトーヨーカドーを傘下に抱え、コンビニ運営で磨きのかかった経営管理手法を持つセブン&アイ・ホールディングスに買収されたものの、コンビニとは違った収益構造と客層を持つ百貨店事業には伝家の宝刀も効かず、買い手先を求めることになったようです。

そもそも百貨店の収益の柱は、高額ファッションと高額所得世帯で、バブル崩壊前にもてはやされた「一億総中流」がバブル崩壊と同時に崩れ去り、これらの客層を主対象に融資を受けて多店舗化していったそごう・西武はアッと言う間に落日を迎えることになったようです。

競合他社はどうかと言うと、、、
三越は伊勢丹と、大丸は松坂屋と手を組み、高島屋だけは引き続き唯我独尊で継続しているのも、富裕層を主顧客にしていたことがそごう・西武と勝敗をこれまでは分けたものの、インターネットやファストファッションなどの潮流を使い分け、貧富の2極化する消費者を読み間違えると経営に躓くことに、、、

今後もリアルショップの価値の低下に対し、ネットショップの価値が高まれば、デジタル化に遅れをとったものが敗者になるのかと危機感を感じます。
他人の心配より明日は我が身です。


トレンドチェンジ?
2022/02/13
90年代後半から主役に躍り出ていたタイトなフォルムが、レディスを初めとしたビッグシルエットへ変わりつつあります?
と言うよりスタイリングの選択肢が増えたと言う方が正解かも知れませんね!

メンズのテーラードファッションでは、タイトなノータックパンツからワンタックやツータックの、腰回りにユトリを持たせたシルエットがオーダーでもトレンドボリュームになりつつあります。

コロナ禍で在宅ワークの機会が増えたことに因り、スポーティーカジュアルなドローストリングパンツの人気が出たりしています。

レディスファッションではビッグシルエットを誇張した、ワイドパンツやトムブラウン張りのビッグジャケットで街を闊歩する女性が目に付くようになったと思いませんか?

スーパースリムなサンローランも良いけど、久々に復活した(もっともファッションは時計の振り子のように●や○に振れますけどね)ビッグシルエットは80年代MR JUNKOMEN’S BIGIを彷彿させます。

そこでYOSHIMURA&SONSでは2022-23AWシーズンに向けた新作コートの検討会を行いました(MODEL BY 佐野SHOPMASTER)。

アイテムはシングルベルテッドのシンプルなコートですが、フォルムは写真ではさほど大きく感じませんが(いや、感じるって?)、中々のルーズシルエットです。

如何ですか?

読者の皆さんには是非感想など、来店された際やメールでの投稿をお待ちしています。辛口(少しは甘口も、笑)でよろしくお願いします!

写真上段:自然なポージングの佐野SHOP MASTER

写真中段:後方45度の角度から。インパーテッドベントが後姿を締めてくれます。

写真下段:ほど良いタイト感とルーズ感のミックスフォルム。さすがエディ スリマン!


1年の計は元旦に在り
2022/01/01
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

昨年はブログ更新を随分と怠けてしまい、読者の中には心配して下さった方もいて本当にすみませんでした。
オーダー服屋の本業は忠実に勤め上げていますのでご安心を!
本年は改心?して、新鮮なネタを皆さんへお届けして行きますのでどうぞ楽しみにしていて下さいね。

さて、今年のトレンドカラーはといきなり始まりますが、黄色黒色です。
何故か?
と言いますと今年は寅年だから???(そばで「アホか」と言う声が聞こえます)これは冗談のような本気で、僕のセンサーがそう感じているだけですが、、、

昨年はいいところまで行ったのにリーグ優勝できなかった阪神タイガース。
ラグビー大学選手権準々決勝で惜しくも東海大に敗れたタイガージャージーの慶応。
何れもいつもいいところまで行くのにフィニッシュしないで僕のようなファンをヤキモキさせる虎にまつわるチームなんですが今年は優勝頼んまっせ!

少々脱線しましたが、本題のトレンドカラーですが、、、
実はイエローが、ファッション誌「ELLE」のトレンドカラーに入ってました。
2022年春夏コレクションではジルサンダーやクレージュが打ち出している少し明るめのイエローです(ELLE誌ではクリームイエローと言ってます、ナルホド)

他には、、、有りました!ブラック&ホワイト。
シャネルやバルマンで打ち出しているモノトーンスタイルに注目です。
他にはグリーン、オレンジとなかなか上級カラーでメンズコーディネイトには手強いカラーですが、カットソーや半袖シャツ、ハーフパンツなどでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
今日元旦はメチャメチャ寒いのですが、春夏色の話をしていると何故かホンワカしてきました。

それから元旦は1年の計を立てる日ですよね。
僕はと言いますと、、、
やっぱり健康管理ですね(一昨々年初めて入院を経験して思い知らされました)。
よく寝て、よく食べて、よく笑って、よく運動して。。。
そうだ、そうだ、勿論、仕事もブログも頑張りますよ!
それでは皆さん良い一年で有りますように!
今年もヨロシク願いします。

写真上段:あけましておめでとう!

写真中段:初日の出

写真下段:初富士山


Tさん、今シーズンの渾身の1着!
2021/11/23
今シーズンのTさん、FOX BROTHERSのフランネルがYOSHMURA&SONSのコレクションに加わるのを早くから聞きつけて、入荷前からワクワクドキドキしていたものでした。

生地が入荷すると早速ショップに来ては、大きな生地を手に取って撫でてみたり、肩にかけてみたり「いいね!いいね!」の連発でした。

ただそこから迷路に入ったようで、ネイビー、チャコール、ライトグレイ、ブラウン、ガンクラブチェック、グレンチェックの中から生地を決めて、アイテムを何にするか?
Tさん、珍しく悩みまくりましたね。

但し「ガンクラブチェックのスリーピースがいいな!」「グレンチェックのダブルもいいな!」いやいや「ライトグレイのクラシックな3つ釦スーツもいいな!」「ネイビーブレザーもいいな!」といろいろ悩むんですが、その姿はとっても楽しそうでした。

そうなんですよね!オーダースーツの醍醐味って。
生地はどれにしようか?それでもって何を作ろうか?あれこれ悩むのもオーダースーツの楽しみ方で、一層出来上がりが楽しみになるんですよ。

Tさん、結局何にしたかといいますと、、、
Tさんのファッションの原点、トラディショナルスタイルなネイビーブレザーにグレンチェックのパンツを合わせることに決定で〜す!拍手!

そしてディテールですが、、、
ネイビーブレザーはシングル3つ釦中掛けで決まりでしたが、まだオチが有りまして、メタルボタンは自分で探すからと一旦保留にして用意して来たのは、ナント、ダブル分のボタンセットになっているではないですか。ボタン屋で選んでいるうちに「このボタンに合うのはダブルだ!」ってことになったらしく、結局ネイビーブレザーはダブル6つ釦2つ掛けに。そしていつかは使いたいと思ってたらしいカモフラージュのバンダナをカラークロスや内ポケットの玉縁に使ってと持ち込んできたのでした。

パンツはクラシックに2インタックのベルトレス。尾錠はYOSHIMURA&SONSのお客様Aさん発案の写真の通りで、これとっても格好良いです!そしてボタンは佐野ショップマスターお薦めのくるみ釦にしたらなんとカワユイこと、クラシックテイストが際立ちました。

そんなこんなでFOX BROTHERSで作ったジャケットとパンツが写真の通りですが如何でしょうか。

写真上段:ネイビーブレザーとライトグレイグレンチェックパンツのコーデ

写真中段:カモフラのカラークロス

写真下段:際立つ尾錠とくるみ釦のマッチング


ZARAの切れ味
2021/10/24
アパレル売上世界一のZARAを追うユニクロは、オペレーションに「凄み」を効かせて着々とその座へ迫っています。
対するZARAを何と言い表そうかと考えた時、、、
それは「切れ」。スピード感は半端ないですね!

だって、、、
ベーシックファッションのユニクロに対しZARAが売っているのは賞味期限の短いトレンドファッションですよ。それをレディス、メンズ、キッズの売り場をグローバルに展開する。一つの売り場が300坪程もあり、その中を15坪前後(ビッグヴィジョンは一つの店が15坪から30坪程度)のユニットに分けてスそれぞれスタイル提案をして商品を素早く入れ替えて行くなんて、僕に取ったら神対応ですよ。

2週間前に迷って買わなかった商品を求めて再び行った時は後の祭り。そう、無いんです。だから嫁と話していることは「ZARAでは迷ったら買う」です。

何もZARAの宣伝しているわけでは無くて勉強してるんですが、課題が沢山あり過ぎて、ちょっとやそっとでは学びきれないんで困っています。

商品価格はユニクロより高いけど、百貨店クオリティのトレンドを半額以下で提供し、トレンド商品をほぼセルフで販売しているのに驚かされちゃいます。最近では無人店舗なんて言うのが実験的にポツポツ現れてお客さんに仕事?させますが、ZARAは店員はいるものの広い売り場に少数で「尋ねたら応える」のスタンスです。

では一方的に川上から発信されたトレンドファッションを供給しているのかと思ったら、商品を企画する本部スタッフは店舗スタッフの情報をよく聞いているそうです。店舗スタッフは観察力が求められるのと、鍵はフィッティングルームに有るそうで、お客さんが試着して購入した商品は記録に残りますが、試着して購入しなかった商品は単に売り場へ戻すのでは無くのお客さんが買わなかった原因をあれこれ想像し仮説にして活かしているようですよ。さすが!

試着後買われないで溜った商品を、ただ整理して売り場に戻しているだけでは無かったんですね。店舗スタッフから発信されるこれらの情報に、本部スタッフはよくよく耳を傾ける、これがZARAの「切れ味」に結びついているのだと確信しました。

「聞き上手」こそ成功の鍵だったんですね!
ベーシックファッションのユニクロとトレンドファッションのZARAとの一騎打ち、この先はいかに?

写真上段:コロナ禍でも好業績!いいなぁ!

写真中段:大黒柱のレディス

写真下段:脇役?のメンズ


ユニクロの凄みA
2021/09/20
前回は20世紀末、フリース800万枚売ってここにユニクロ有りと凄んだところで終わりましたが、、、

21世紀に入った2016年に、とうとう追いかけていた相手GAPの売上を追い抜いちゃったんです!そして今度はアパレル世界1位でZARAを主力ブランドとするスペインのインディテックスを視野に入れ、世界1位を目指して凄んでいるんですよ!広島のカジュアルショップが世界1位になろうとするなんて、本当に凄い!の一言に尽きますね。

そのビジネスモデルは、SPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)と言って、自ら企画(オリジナルブランど)し、製造(商社に頼らない)した商品を、自ら運営する(百貨店や専門店に頼らない)店舗で、消費者に直接販売する、自主自立したアパレル製造小売業です。

僕らオーダースーツ屋も企画、製造、小売を一貫して行っていますが、このコロナ禍になって苦戦を強いられています。さて、どこが違うのでしょうか?

先ずはユニクロの企業理念と思しき創業以来の3つの約束を見てみると、、、
@明るく整然として掃除の行き届いた売り場
A広告商品の品切れ防止
B3ヶ月以内の、理由を問わず返品・返金の受け入れ
@とAは商売の基本の基ですが、僕らの店舗、全ての広告で徹底されているかと言うと、、、正直なところまだまだです。そしてBですが、転売の出来ないオーダー品を扱う僕らにとってはNGです。
しかし、改めて考える余地も有りますね。この3か条、シンプルですが中々ハードルの高いお約束でそれを公言してきたところにユニクロの凄みと言いますか、覚悟を感じます。

次に「成功の鍵」が何なのか、推察してみました。
@品揃えの原点:誰でも着られるベーシックカジュアルを色柄、サイズ、価格で「徹底的な絞り込み」、その「賞味期限」を13週とした徹底管理。
A販売計画:シーズン概ね500品番を、SKU(前品番、全色、全サイズ)毎に週単位の販売計画を立案しPDCAを回す。
B人:店長を「商売人」に育てる。その一環として、新聞折り込みチラシ製作と品揃えの権限、そして責任を持たす。店長の先はスーパーバイザー。その先はブロックリーダー有り。

最後に本部の役割ですが、、、
@目指す所(今はZARAを追い抜く)を明確に伝え、共有、共感、共鳴、共創(一体感が大事です)を産み出す。
Aルール作り:商品の企画、製造、供給や店舗の商品陳列(VMD)など。
B人材育成:店長、スーパーバイザー(先輩社員が後輩社員を育成する循環)
以上、ユニクロが行っていることはとてもシンプルで道理に合ったことを徹底することでしたね。僕らも刺激を受けているだけでなく、同じ人間がやっていることなんだから出来るようになるまでやり続ける。これですかね?!

写真上段:いよいよスーツ本格参入か?(2021年9月17日付日経新聞より)

写真中段:至ってべーーシックな秋のテーラードカジュアルコーディネイト

写真下段:ユニクロアイテム(コート、カバーオール、マフラー)を上手に使ったカジュアルコーディネイト


ユニクロの凄み!
2021/08/28
僕が最初にこの店を見たのは、90年代の中頃でした。
丁度キャサリンハムネットのメンズ事業を拡大するため、信州地区の専門店を開拓していた頃で、長野市郊外の国道沿いに有ったその店は「ユニーククロージングウエアハウス」と書かれた大きめのガレージショップのような建物でした。

店内へ足を踏み入れると波打ったトタン板のような壁(だったと思う)が象徴的で印象が強く残っているが、品揃えはチャンピオンのスエットやリーのデニムが目立っていたものの至ってシンプルなジーンズショップでした。それが4半世紀後、ここまで成長拡大するとは思いもしませんでした。

なんでも現社長の柳井さんが、家業の洋品店を継いでカジュアルウエアショップを広島で開いたのが1984年の4月で、これがユニクロショップの始まり。それが今では2,300店舗余りに増え続け、未だ成長途上で収益性も高いと言うのは凄い!に尽きますよね。

それと言うのも柳井さんの手腕に負うところが間違いなく大きいと思います。
常に目標(当時はGAPに追いつき追い越せ)を掲げ(当たり前の様ですがそうでない中小企業は多いですよ)、それを達成するための戦略・戦術の基礎に投資して行ったことが、地味に凄いです。

ユニクロをスタートして5年後の89年には商品力固めの為、先ずは大阪に商品事務所を開設。そこで収集される商品情報と既存店舗の商品動向に関する情報を集約、解析するために翌年の90年には独自にコンピューターシステムを導入し、企画力や商品計画力の足腰を地道に鍛え上げていました。

ユニクロスタート10年後の94年には100店舗を達成すると(物件を手配するシステムなりプロの影が見えます)、今度はニューヨークにデザイン情報収集基地を設け、中国には工場を設けて着々と足腰を鍛え上げて行きます。

そして100店舗達成から3年余りで300店舗体制を築くと、今度はようやく東京に商品事務所を開設して全国制覇の「沸点」となった旧原宿店を98年末にオープンしそこで大爆発的ヒットとなったフリースを販売。初年度200万枚は凄いが翌年には800枚を売って圧倒的なベーシックカジュアルのスタンダードと成って行くのですが、1つのSKUで800万枚作るだけでも凄いのに売ってしまうとは、、、

写真上段:成長期の店舗と旧ロゴ(引用:クリエイティブ・コモンズ)

写真下段:旧原宿店(引用:日経XTECH)



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