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梅雨のスーツケア~クリースラインを死守~


こんにちは。
大阪店の大崎です。
今年は近畿地方で21日も早く梅雨入り、来週はまた雨模様。
ただ今週(6/7執筆)の最高気温は30度近い日が続くそうで、早くも氷菓子の気分です。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
よく食品に“高温多湿な場所を避けて保存してください”と表示がしてありますが、できれば私も高温多湿な場所にいてたくないないなぁ.....なんて。
スーツを着る際は暑すぎず寒すぎずの気温が一番だと改めて思う今日この頃です。
また湿度が高いと水分補給を忘れがちになるので、皆さんもどうぞ体調には気を付けてくださいね。

さて、今回のテーマは「梅雨のスーツケア」

今日はやっとお気に入りのスーツが着れたー!
と、思っていたのに天気予報にない突然の大雨に見舞われてスーツがボトボトに..。
特にパンツは濡れると足にぴたーっと張り付いて気持ち悪いし、クリースラインは消えるしで最悪...という経験は誰もがあるのではないでしょうか(汗)
しかし、自宅へ帰ってそのままクローゼットにしまったりケアを怠ると、水分を含んだ重さで型崩れをおこしたり、風合いが変わったり、匂いやカビの原因になってしまいます。
そこで、今の時期に役に立つ雨の日のお手入れ方法とその対策を、ご紹介させて頂きたいと思いますので、お手隙の際にでもご覧いただければ幸いです。

梅雨のケア

まず、帰宅して一番に行いたいことは“スーツに含まれた水分をいち早く取り除くこと”。
ジャケットとパンツ(もしくはスカート)は別々のハンガーに吊るし、この後にご紹介する手順でケアをしてみてください。

①タオルドライ

肩に厚みのあるハンガーにバスタオルをかけて、その上にジャケットを羽織らせ内側にこもる汗などの水分を除去する。
もう1枚のタオルはスーツに押し当てるようにして水分を吸わせる。

②ポケットものを出してブラッシング

物を入れたままだと型崩れの原因になるため取り出しておく。
泥はねがある場合、軽く表面の泥を落とすような感じでブラッシングを。
そして完全に乾ききってから再度ブラッシングを行う。

③風通しのいい場所で陰干し

濡れている時はウエスト部分をクリップでつまみ、膝下にも空気が流れるようにして乾燥させること。

④スチームアイロンで消臭

雨が乾いたスーツはイヤな臭いを放つことが....
「高温多湿」な環境で雑菌が繁殖し服自体が臭くなっている状態のため、スチームアイロンの蒸気を当てて殺菌と消臭 を。

※スチームアイロンがない場合・・・
入浴後のお風呂場に30分程吊るしておき、あえてスーツに水分を吸わせる。
その後風通しの良い場所で陰干しすると、水分と一緒に匂いも発散してくれる。

パンツのクリースライン(センタープレス)が消えたらどうする?

スーツが乾いたと思ってみてみると、消えてしまったパンツの折り目。
皆さんはその時、どのようにされていますか?
色々と工夫はされているかと思いますが、クリースラインはパンツの命!
“2週間に1回はクリーニングに出している”
“毎日アイロンがけ、もしくはズボンプレッサーで保るようにしている”
どちらも正解ではありますが、それぞれの方法を行うにあたって知っていただきたいことがあります。

まずは、ドライクリーニング。クリーニングに出せばクリースラインは元通りになって皮脂や油汚れも落とせます(しかし汗は落ちない)。
油分だけ抜いてしまうドライクリーニングを頻繁にすると、ウール(羊毛)本来の油分も抜けてしまい“劣化の元”となってしまいます。

次にアイロンがけやズボンプレッサーは、日々のメンテナンスとしては◎(マメにできる人は素晴らしいです)。
ただし、自分で綺麗な折り目を作るのには慣れが必要ですよね。
クリースラインがずれて二重線になる、熱によって生地にテカリが出てしまった等。
時間と労力を掛けてせっかく付けた折り目も、時間の経過と共に弱くなったり、急な雨に降られて濡れると消えてしまいます。

《疑問点》

なぜクリースラインは消えてしまうのでしょうか。

プレス仕上げの原理

スーツの醸し出す風格や清潔感、シャープでドレッシーな雰囲気や立体感を表す意味でパンツのクリースラインは欠かせません。
なので基本的にカジュアルパンツ以外の仕上げにはプレスを行います。
繊維には「公定水分率」といって、温度20度、湿度65%の時の環境下で繊維が吸湿する水分量を公式に定めた値があり、水分を含むと分子はほどけてバラバラになります。
その公定水分率以上の水分(スチーム)を与え、アイロンので水分を飛ばすことで強制的に繊維をコントロールしライン(皺)を入れるということです。(⇒水素結合)

※この表の通りコットンやポリエステルは、ウールに比べて水分を含みにくいため(分子が崩れにくい)ウールの混紡率が高くないとシロセット加工はできないということになります。

クリースラインが消える理由

水素結合は一定量の水に濡れることで 結合がリセットされるところが弱点
ウールは元々水に弱い繊維な上、皺や歪みを戻そうとする性質があります。
乾燥することで再び結合されますが、それは折り目がない状態での結合であって、乾いた後に折り目が無くなっているのはそのためです。

※シャツに皺が・・・
コットンは歪みを戻す力が弱いため、普通に着ているだけでも皺が入りやすいですよね。
洗濯の際、生地が水分を含み分子がほどけた状態で干してしまい、元の位置ではないズレた位置で再び結合(=ズレて固定される)することが皺の原因
干す前に一度アイロンがけして整えてあげるのがポイントですよ!
シロセット加工

最後にこれを話すと催促っぽくて嫌ですが.....お勧めさせてください。

まずシロセット加工とは、オーストラリアのオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)によって開発された特許技術で、加工剤の主成分は医薬品や食品にも使用される天然アミノ酸である「システイン」を用いており、ウール繊維に噴霧し蒸気プレスをすることでウール分子間の結合を半永久的に再配列するものです。
参照:全国シロセット加工業協同組合ホームページ

※簡単にいうと・・・
髪のパーマメントのようにウェーブやストレートの状態で癖をつける記憶させること。
シロセット加工も専用の薬品で生地をやわらかくしてからプレスすることで、長期的に折り目を維持することが可能になります。
ウール本来の機能性や着心地・色・柄には影響が少なく、70度の熱湯に30分浸しても消えないとされています。
雨でパンツが濡れて皺が出来たとしてもハンガーに吊るして自然乾燥させればOK。
折り目は元通りという優れものです。

このシロセット加工は、
『折り目のないパンツを履いている』=『スーツのお手入れさえできないだらしない人』
と、見られたくない皆さんにとっても“心強い味方”になってくれるはずです!
ヨシムラでは、上記のシロセット加工を¥1,100にて承ります(お安いです)。

ただ、クリースライン(見た目)だけでなく、スーツ(素材)の持ちも考えるとやっぱり大事にしたいのが毎日のブラッシング”。
スーツは何もしなくても日々傷み続けるもの。
クリーニングや特殊加工によって更に傷んでいきます。
高級でもリーズナブルであっても関係なく、数分のブラッシングでホコリを落として風通しを良くし、繊維のほつれを抑えられることでスーツの長持ちに繋げられます。
まだまだ続く嫌~な梅雨が明けると、ジリジリと太陽が照りつける本格的な夏が到来。
日々のお手入れを大切に、気分も上がるスーツで乗り切ってまいりましょう♪
それではまた、次回もお楽しみに。