2025年8月8日更新
こんにちは。大阪店の西脇です。 猛暑日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。 私は8月に入りもう気分は完全に秋冬モードです。 少しずつ、秋冬の生地も入ってきております・・・! さて、最近「スーツにトレンドはなくなってきている」と、よく言われています。 そんな中、今回のコラムは、敢えて「ファッションの力、トレンドを取り入れる」をテーマにしていきます。 すべてを移り変わりの激しいトレンドに変えるのではなくて、「取り入れる」、 今回のコラムでは普段のスーツスタイルにトレンドを取り入れる具体的なアイデアをご紹介しておりますので、どうぞ最後までお付き合いください。
ちなみに、今年2025年のトレンドカラーはご存じでしょうか? 世界標準の色見本を扱うPANTONE社(本社アメリカ)が毎年トレンドカラーを発表していますが、今年は“モカムース“でした。
そして、2025AW(秋冬)のパリ・ミラノ・NYのランウェイを彩った数々のコレクション。 その中でひときわ注目を集めていたのは “ブラウン” でした。 モカムースの優しい色味に限らず、チョコレートブラウン、キャメル、ベージュ、テラコッタ・・・・さまざまなニュアンスのブラウンが新しいスタイルを表現しています。 サステナビリティへの意識の高まり、自然回帰、そして「自分らしさ」を大切にする生き方。ブラウンという色がもつ、大地のような包容力と温かみは、まさに時代が求めているものを表しているようです。
2025AW Collectionより
2025AWのトレンドカラーとして注目を集めるブラウン。 それは単なる流行色ではなく、新しい時代を象徴する色なのかもしれません。今季のトレンドキーワードは、「リラックス」「ナチュラル」「タイムレス」。ブラウンはこれらすべてを体現できます。 同じく注目されているバーガンディやオリーブグリーンとも相性がよく、様々な組み合わせによって深みのある秋らしい配色が叶いますね。 そしてブラウンのスーツはオンもオフもシーンを選ばない汎用性があります。 白シャツや同系色のインナーを合わせればビジネスシーンに、そして、Tシャツやスウェット、スニーカーと合わせれば一気にカジュアルな着こなしになります。 ブラウンの良さはまだあります。それは、どんな肌色にもなじむ色があるところです。様々な色のブラウンがありますので、それぞれの肌の色に合うブラウンがきっと見つかります。 トレンドはまずトレンドカラーを取り入れることが1番取り入れやすいです。そのトレンドカラーを取り入れるなら、この秋冬、 “ブラウン” が圧倒的におススメです。
雑誌 ELLE 9月号より
そして、2025AWのコレクションで目をひいたのが、テイラードスタイルです。 大きな肩幅、肩パットを入れたパワーショルダーのビッグシルエットのジャケットや、ウエストを絞った構築的なスタイル、パワフルな様々な現代の女性像が表現されています。 まさにオンオフ限らず、テイラードスタイルは、今トレンドの最前線であるのです。 現実的には身長がある程度ないと、ビッグシルエットなどはただルーズに見えがちで、取り入れるのは難しいです。 また、特にジャケットは、既製品で自分の肩幅や腕の長さに合ったものはなかなか見つかりません。 オーダーであれば、体形に合わせた上で、個性を出すシルエット、デザインでお仕立てすることが叶います。 ここで、まさにトレンドを取り入れたスーツをご注文くださったお客様のお仕上がり品のご紹介です。
今年のトレンドのブラウンカラーのWブレストのスーツ。 ブラウンを取り入れるだけで、“今っぽい”のですが、さらにポイントがあります。 こちらのスーツは、お仕事の時だけでなく、プライベートの時にもお召しになるということで、トレンドを取り入れたスタイルをご相談くださり、一緒にデザイン・シルエットを決めさせていただきました。
ポイント①構築的なシルエット
まず、ジャケットのウエストは通常のパターンよりかなり絞っていて、着丈は短めです。 そして、肩パットは入れて、腕の幅は細くしています。 最近は着心地を重視し、肩パットを抜く方も増えています。 しかし、あえて肩パッドを入れることで美しいシルエットを強調できます。 そして、パンツはセミワイドで、裾に向かって広がる微フレアなシルエットです。 全体的に構築的なシルエットを意識したデザインです。
ポイント②ラペルと釦位置
低めのゴージライン、太目のラペルで、クラシカルな印象に。 写真の赤いラインがゴージラインです。 ここのラインは実は時代によって、上がったり、下がったりしています。 通常のビジネススーツは現在、ゴージラインが高めのものが主流です。 ですが、2025AWのコレクションを見ると、ワイドシルエットのテイラードスタイルや、ジャケットは、全体的にゴージラインが低めなことがわかります。 そこで雰囲気を出すために、ゴージラインを通常のパターンよりあえて1cm下げました。 また、ラペルの幅もあえて太くしています。 さらにウエストとゴージラインのバランスを考えて、釦位置を少し高めに指定しています。 シルエットでトレンドを取り入れるなら、「構築的」、「ワイド目なシルエット」がおススメです。 そして、ゴージラインを少し下げるなど、クラシカルな表情をもたせることが今の時代の雰囲気です。
トレンドを取り入れることは、新しい時代の雰囲気をまとうことです。 トレンドをまとった人は、やはりどこか新鮮で、「今」を生きている、時代の波に乗っている、雰囲気がするものです。 ビジネスにおいて着るスーツは、自身のスタイルを変えないことが信頼につながるようなイメージもあるかもしれません。 でもトレンドを取り入れることで、「今の時代を掴んでいる人」、という印象をつけ、時代を味方にできると思うのです。 この秋冬、トレンドを取り入れたスーツで新しい自分を発見してみませんか。 今月末には揃う予定の秋冬生地の下見だけでも大歓迎です。 皆様のご来店を心よりお待ちしております。