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レディースジャケットのディテール


こんにちは。大阪店の西脇です。
9月に入りました。
レディースでもスーツのご注文以外のカジュアルアイテムやジャケット、スラックス単品でのご注文が増えてまいりました。
今回のレディースコラムではジャケットの主要なディテールについて、改めてご紹介いたします。
秋冬が立ち上がりましたが、季節感が強く出る生地ではなく、自分だけがわかる静かな違い、仕上がりの雰囲気を左右するディテールにも目を向けてみてください。
全体のシルエットも大切ですが、1つ1つのディテールも丁寧にこだわっていくことで、印象が大きく変わります。
ジャケパンフェアも開催されますので、この記事が少しでもジャケットのお仕立ての参考になれば幸いです。

1.フロントカットの印象の違い(ラウンド・スクエア)

この2つのジャケットの前のフロントカット(裾のカット)の形状の違いをご覧ください。左のピンクのジャケットの方はラウンドカット、右のブラウンの方はスクエアカットです。どちらも大阪店のお客様、M様のジャケットのお仕上がり品です。
右側のブラウンのジャケットの方の着丈を2cm長くして、ウエストを僅かに絞っていますが、基本的なサイズは同じです。前のカットの違いで、右側のスクエアカットの方が少しシャープな雰囲気になっていることがわかります。

ノーカラージャケット(シャネルジャケット)は、以下のラウンドと角、2つのカットからお選びいただけます。

やはり、この2つのジャケットを見ても、裾のカットの違いで雰囲気がかなり変わりますね。

2.ラペルの印象の違い

続きまして、テーラードジャケットの衿の形です。

一般的なノッチ衿でも少しレディースのパターンによって違いがございます。
左側ラペルの下部分は直線的、右側は少し曲線的になっております。
こちらも、どちらも大阪店のお客様Y様のスーツのお仕上がり品のため、サイズは同じです。
右側の曲線的なラペルの雰囲気の方が僅かに柔らかい印象になっています。

その他、ノッチ衿のカドが少し丸くなっている、名前の通り、クローバーの葉のようなクローバー衿もお選びいただけます。クローバー衿の場合、ラペルの下の部分は直線的になります。

3.腰ポケット(平行、ハッキング)

腰のポケットは裾と平行につける、または斜め(ハッキング)につけることができます。
斜め(ハッキング)の場合、その角度もお選びいただけます。

平行

ハッキング1.0cm

ハッキング1.5cm

正面からの画像だと少しわかりづらいのですが、真ん中の画像が傾斜1cm、右側の画像が1.5cmの傾斜です。

デザインだけでなく、腰ポケットを斜めにつけることで、よりウエストが絞られて見える効果がありますので、レディースの既製品のスーツでも多いデザインです。

最大3cmの傾斜をつけることが可能です。
また、お写真のように、フラップのないポケットをお付けすることも可能です。


ハッキング 3.0cm

4.ステッチ(ピックステッチの位置、ミシンステッチ)

YOSHIMURA&SONSのオプションで驚かれることの多いのが、ピックステッチ(別名、AMFステッチ)が無料ということ。
このステッチはラペルや縁に沿って走る、ごく小さな縫い目。もとは手縫いで、表地と芯地を留め、縁の形を保つための「構造」の一針でした。飾りに見えて、実は服の芯を静かに支えています。
名前の「AMF」は、縫製機械のメーカー名に由来します。この手縫いステッチを模す機械を1930年に開発したのが、American Machine and Foundry——略してAMF。その機械は非常に遅く、とても長い時間がかかります。

ここで、少しAMF社についてご紹介します。
American Machine and Foundryは1900年前後にブルックリンで創業。
自動タバコ製造機、製パン機械、そして縫製機械づくりから始まった会社です。
その後どうなったか——第二次大戦後に自動ボウリング設備を作り、1952年のAMFピンスポッター(自動ピン立て機)でボウリングをアメリカ最大級の娯楽に押し上げました。
あのボウリングのピンを並べる機械を作った会社が、ラペルにあの繊細な点を落とす機械も作っていたのです。

AMFの機械は今や骨董品で、倒産処分でしか出てこないといわれています。「遅い・高い・稀少」——これがこのAMFステッチの価値の裏づけになっており、多くのテーラーでは有料オプションとしています。

遠目にはほとんど気づかれず、レディースの既製品ではこのステッチは入っていないことが多いです。
ラペルのコバ(0.2cm)に入れたり、少し内側(0.5cm)のところに入れたり、入れる位置を変えるだけでも表情が変わります。

ステッチなし

ピックステッチ コバ

ピックステッチ 0.5cm

また、厚めの生地、ラペルを強調したいとき、よりカジュアルな雰囲気にしたいときはミシンステッチをお入れすることも可能です。


ミシンステッチ 0.5cm

ステッチを入れる、入れないはお好みもありますが、テーラードジャケットの場合は入れることをおススメしています。ステッチがあることでラペルの形を綺麗に保ちながら表情が出ること、またその稀少性(特にレディース)のためです。

ぜひ、お仕立ての際はステッチまで拘ってみてください。

5.最後に

今回ご紹介しましたディテールの他に、ラペルの巾、ゴージの高さ、釦の位置、釦や裏地の種類、ポケット位置などまだディテールで深掘りできるところはまだたくさんございます。
理想のイメージをお聞きしながら、1つ1つご提案させていただきます。

そして今から始まるジャケパンフェアでもフォーカスされております、メンズの仕立てのコンフォート(コンフィ)ジャケットについて。
レディースの方も芯や肩パッドを極力抜いた軽量仕立てのコンフォート(コンフィ)ジャケットのお仕立ては可能です。
ただ、もともとレディースの芯は薄く、軽いものが使われておりますため、実は大きく「重さ」は変わりません。レディースらしい立体感、シルエットを綺麗に出したい場合はレディースパターンでお仕立てされるのがおススメです。

ぜひこの秋はジャケットをお仕立てください。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。


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