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本当に良いスーツとは?!


11月に入り早いもので2022年もあと1ヶ月半ほどに。
『えっ?そんな、、、ちょっと待ってよ!!!早いよ~。。。』といつものように焦る自分がいるのですが、time won't wait.. 時間は待ってはくれず。そりゃそうですよね。
人間誰にでも平等にあるものって《時間》だと思うのですが、その大切さに気付いているのに上手く使えない。。。できれば誰か、もう1時間でもいいから分けて。とないものねだりをこの原稿を書きながら思っています。(汗)
もう二度目の成人式を迎えてしまったいい大人がいう言葉ではないですね。

『いい大人。』そう、読者の皆さん今回のテーマはまさにこの言葉がピッタリな内容です。

いい大人の定義って言うと色々とありすぎて、なかなか『コレだ!』と答えられないな、、、(だからダメですね。。。)と感じるのですが、こんな私から1つ答えるとするならば、しっかりと『基本』を知っていることかなと思います。

基本があるから応用がきく。まあなんでもそうでしょうが、何事もまずは基本を知ること。
さて、そんな基本を知る大人の皆さんに質問です。

『良いスーツってどんなスーツでしょうか?』

いいブランドのスーツ? それとも、価格が高いスーツ? はたまた、最高級の生地で作られたスーツ?? 色々と人それぞれ答えがあるかと思いますが、私がお答えするならば、 それは、、、、『体に合ったスーツ』これこそが最高に《良いスーツ》だと断言します。

いくら高級有名ブランドや、とびきり最高峰のインポート生地でできたスーツだったとしても、結局は着る人に合っている(フィットしている)スーツじゃなければ、それは良いスーツとは言えませんよね。ただ単に値段だけ高い。それでいいのでしょうか。

一番重要な要素って、着るその人の『体』はもちろんのこと、使用するシーンや用途にフィットしたスーツこそが本当にいいスーツなんだと私は思います。
生地が安価だったとしても全然いいんです。きちんと体に合っていればそれだけで、
『格好良く』そして価格を超えた、最高級のスーツになるのです。

価格が高いから、逆に安いから、いいブランドだから、ではなく、体に合ったスーツを着る、そして着こなすことができれば、それはきっと最高峰の1着です。

そこで、今一度『基本』を大切に最高の1着を仕立てるために、スーツの着こなし講座を開催しちゃおう!!!と考えこのページを作成しました。

なぜ?そんなことを?と疑問に感じる読者の方もいるかと思いますが、今回のテーマ、『大人』=新成人=成人の日 という事で、新しく大人の仲間入りをする方に向けて、スーツの基本を勉強し、良いスーツを格好よく着こなして大人の階段を上って行ってほしいなと。

ど派手なスーツや奇抜な色柄などが目につきますが、そんなスーツ(言葉が悪いですね。すみません。)その場限りで着なくなりますよね。まあそれも思い出としてはいいかもしれません。ですが、派手な色柄や奇抜さそんなものに頼らなくても、何度も言いますが、あなたにジャストフィットしたスーツがあれば、それだけでカッコイイんですよ。

基本を知ること。それが大人への第一歩。

成人の定義が変わり18歳から成人となった今の時代。スーツを着る年齢が早くなり色々と戸惑われることもあるかと思いますが、是非ご家族でこのページを見てスーツについてご家族で語って頂ければと思います。

さてここからは、二度目の成人の日を迎えてしまった私ではもう遠い昔過ぎて(汗)成人の日を迎える人には刺さらない(それはまずいですが。。。)新成人の皆さんに年齢も近いフレッシュな、YOSHIMURA&SONSのホープ《河本》に成人式での失敗と、そこから得られた教訓をリアルに講師として語ってもらいましょう。

それでは、河本くんどうぞ!!!

◇ YOSHIMURA&SONS東京店 河本の成人の日スーツ ◇

皆さんこんにちは。東京店の河本です。

早速ですが、まずは私の成人式での苦い思い出からお話させて頂こうと思います。

私自身、初めてスーツをオーダーしたのは成人式の時です。大阪・堺筋〇町のとあるオーダースーツ屋で仕立てました。

そこは、特に私が色々調べたとかではなく、私の知人の紹介で知った個人テーラーのようなところだったのですが、今思うと色々変なことが多くて、、、

まず、初めてのオーダーということもあり緊張しながら、(自称)テーラーの待つオフィスへ向かうと、そこで待っていたのは、真っ黒に焼いた肌に半袖半パンの(30歳手前)男
オーダー屋というとスーツorジャケットを着た紳士的な店員さんが出迎えてくれると想像していた私は、真っ黒なお兄さんが目に入った瞬間サーファーの集うお店だと勘違いしてしまい、「すんません、間違えました。」と一度退出してしまいました。
ですが、住所・部屋番号は間違っていなかったため、恐る恐るもう一度その部屋へ入ると、
「ここオーダースーツ屋やで~」とのご挨拶が。本来であればこの段階でちょっとヤバいかも、と気づくべきですが、なんせオーダー初心者なもんですから「こーゆースタイルなんや。」と思うだけでした。

まぁここまではまだいいとして、ヤバいのはここからです。
席についてまず行ったのが生地決め。本来生地決めというのは、お客様のご要望をしっかりヒアリングし、話し合いながら決めていきます。
しかし、(自称)テーラーはというと、「直感!直感がすべてやから!!!」の一点張り。(一様事前に成人式用のスーツというのは知人から聞いていたみたいです)
何もわからない私も私で「直感か~なるほどね~」と鵜吞みにしてしまい、『これや!!!』と一番に惹かれた生地を選びました。
何を選んだかというと、ソラーロのグリーンです。

でも実際この生地はどのような生地なのか、その時は知らなかったので、「これはどんな生地なんですか?」と質問すると、、、

「これな、めっちゃ涼しいねん!!!絶対これで作った方がええで!」

。。。

まず、ソラーロというのは、夏の定番生地とされていますが、スリーシーズン用や秋冬用に多く用いられる<綾織り>のため、平織で織られた夏生地に比べると全然涼しくないんです。
まぁ百歩譲ってソラーロの知識を間違って覚えていたとしても私は知らなかったんで良いとして、じゃすごく涼しいのであれば、時期的に真冬に行われる成人式に着て大丈夫?と思ったわけです。ですので「成人式は冬なんですけど着れますか?」と聞くと、またあのセリフです。
『でも、直感が一番大事やから!直感を信じろ!』
この言葉に乗せられて、結局ソラーロのグリーンで作ることになったのですが、
デザインを決める際も、「直感、直感」と言われながら、結局なんの提案もされないまま直感1つで全て決めました。
(あっ、一つだけネーム刺繍を提案されました。成人式で女の子と仲良くなるために話のネタにと、某SNSのアカウント名を入れました。お恥ずかしい。。。)

もうここまで聞いて頂くとわかるように、ここはなかなかヤバいオーダー屋ですので、
もちろんのことサイズ感も最悪でした。(後でたっぷりお見せします。)
採寸方法は、バスト、ウエスト、ヒップ、〆寸(パンツウエスト)をメージャーで測り、あとは全身の写真を撮られ終了です。

そうして出来上がったオーダースーツですが、まだ学生でお金もなかったため両親に成人祝いとして買ってもらったのですが、お値段はなんと吉村での販売価格の3倍以上
しかも、私は双子で一緒のところで作りましたので(実は双子なんです、笑)なかなかな金額を出してもらうことになってしまいました。両親には本当に申し訳ないことをしてしまったと非常に後悔しております。(ちなみに双子の片割れは真オレンジの無地で作りました。双子揃って恥ずかしい。。。)

今はもうこのスーツは着ることはありませんが、1つの記念品として部屋で大切に保管し、また新たにヨシムラでソラーロのグリーンを仕立てました。あの時直感で選んだとはいえ、私はソラーロが好きだったみたいです笑 

ただ、季節感がない、サイズ感も合っていないスーツで成人式に出てしまったことは、一生残る苦い思い出となりました。。。

いかがでしたか?
「こんなこと滅多にないだろ。。。」と思われた方も多いとは思いますが、実際に変なところで作ってしまうと結構このようなことが起きてしまうんです。
私自身は今笑い話として、このようにお話ししていますが(申し訳ない気持ちはやまやまですが。) これから成人式を控えている方や初めてオーダースーツに挑戦したいと考えている若い方には絶対に同じ経験をして欲しくありません。

ということで、これより私が実際に成人式で着用した失敗作のスーツを見ながら、『正しいスーツを着るためのポイント』を皆さんにご紹介させて頂こうと思います!
なによりまずは【基本を知ること】が大事ですので、カッコ良くスーツを着こなしたい方は是非最後までご覧ください!!

正しいスーツを着るためのポイント

【上着編】

肩幅

スーツを着る上で一番重要と言っても過言ではないのが、肩幅のサイジングです。
『スーツは肩で着る』とよく言われるように、身体に合ったスーツ着るためには、肩にジャストフィットしたものを選ぶのが非常に大切です。
写真のように、手で掴めるほどの大きいゆとりがあるものは、第一印象でだらしなく映ってしまいます。また、逆にスタイリッシュに見せ過ぎよう肩幅を狭くしてしまうと、二の腕との落差による凹みジワが二の腕上部に出てしまいます。
ですので、肩先を軽くツマめるくらいのユトリを目安に、ジャケットの肩山と自分の肩のトップ位置がちょうど合っているジャストフィットなものを選ぶことを心掛けましょう。。

手で掴める程の大きい肩幅×
ジャストフィットな肩幅

袖丈

あきらかに袖の丈が足りておらず、つんつるてんですよね。これは本当に良くない「短すぎる袖丈」です。また、ワイシャツが覗かないほどの長い丈もNGです。袖が肩からスーッとまっすぐ落ちずに手首でたまってしまい、とてもだらしなく見えてしまいます。
袖丈はお好みもございますが、理想はワイシャツが0.5~1.0cmくらい出るくらいの長さです。
理由は、ワイシャツの袖の方が長くすることで、ジャケットの袖口と手首の接触を防ぎ、手首皮脂による袖口の汚れ防止するためです。

ワイシャツが出すぎている短い袖丈×
ワイシャツが0.5cmくらい覗いている袖丈

着丈

昔は「お尻を出すのは失礼にあたる」とされており、ジャケットの着丈はお尻を完全に隠す長さでした。
しかし、ここ最近の傾向(特に若年層)として、お尻が完全に出るような着丈も多く見られます。私も写真のように成人式でのスーツはお尻が出てしまうほど短い着丈でしたが、正直言うと短い着丈は上品でなく、身体に合ったスーツを着ているようには見えません。逆に長すぎる着丈は、全体的に重い印象になってしまいます。
正しい着丈は、お尻の下線ピッタリ~1.5cm上くらいの長さです。ただ、こちらは手の長さとのバランスにもよりますので、そのバランスについては我々スタッフにお任せください。

お尻が完全に出ている短い着丈×
お尻の下線ピッタリのちょうど良い着丈

【スラックス編】

渡り巾

写真のように渡り巾(太もも)を細くしてしまうと、ゆとりが足りずシワが多く出てしまいます。また渡り巾を細く設定すると、連動してヒップ周りのゆとりも少なくなってしまうので、お尻に食い込んだ汚いシルエットにもなります。さらに、太もも・お尻は座るとその分膨張しますので、立った状態でここまでゆとりがなければ、最悪の場合座った時にスラックスのヒップ部分が裂けてしまいます。(ちなみに東京店SHOPMASTERの佐野は営業中に裂けてしまった経験があります。) 大事な晴れ舞台でそんな恥ずかしい思いしたくないですよね。
ですので、細身のシルエットをご希望の方でも、この渡り巾は程よいゆとりを必ず付けるようにしましょう。そちらの方がシワになりにくく、綺麗な見た目、シルエットにもなりますよ。
逆に太もも、お尻にゆとりがあり過ぎるのも野暮ったく見えてしまうので気を付けましょう。

細すぎて窮屈な渡り巾・ヒップ周り×
程良いゆとりのある渡り巾・ヒップ周り

ヒザ巾・裾巾

上記で「渡り巾はある程度ゆとりを付けましょう」と言いましたが、だからと言って太いシルエットになってしまうのかというと、決してそうではありません。太ももにはゆとりを付けながらもしっかりスタイリッシュなシルエットにする。そこで一番大事になってくるのが、このヒザ巾と裾巾です。このヒザ巾から裾巾にかけて絞りを入れることで、足のラインがすっきりと見え、綺麗なシルエットになります。ただ、ここでも細くしすぎるのはダメです。細くしすぎてしまうと、写真のようにふくらはぎが当たってしまい、不自然な見た目になってしまいます。
また、ふくらはぎに引っかかってしまい、スラックスが上手く落ちてこないということもあります。綺麗なスラックスというのは、ストーンと裾まで引っかかることなく落ちているものですので、絞りながらもふくらはぎを圧迫しない程度のゆとりは付けるようにしましょう
もちろん、太すぎるのも体に合っていないスーツを着ているような悪い印象を与えてしまうのでNGです。

細すぎてふくらはぎが当たっているヒザ巾・裾巾×
程よいゆとりがありながらスタイリッシュに見えるヒザ巾・裾巾

股下

股下(スラックスの長さ)はお好みの部分ではあるのですが、さすがに写真のような短すぎる丈はオススメしません。どう見てもこれは変です。逆も同じで、長すぎる丈も汚いシルエットになりカッコ良くありません。短い丈がお好きな方は、もう少し長いぐらいの丈(ノークッション)で良いとは思いますが、上品で綺麗なシルエットを目指すなら、裾がシングルの場合は靴の甲の部分に少しだけ当たるくらいのハーフクッション裾がダブルの場合は写真のように靴の甲に当たるか当たらないかギリギリの長さがオススメです。

短すぎる股下×
ちょうど良い股下

正直なことをいうと、特に成人式でのスーツは自分の好きな生地で仕立てれば良いと思います。私も、生地決めのことで色々文句を言いましたが、ただただ目立って格好良いスーツを着たいという思いから結局は好きなグリーンのスーツを仕立てました。
ただ、カッコ良くスーツを着こなすために必要なのは「どんな生地で仕立てるか」はありません。
最も大事なのは『しっかり体に合ったスーツを仕立てる』という事です。
たとえネイビーやグレイといった落ち着いた色の生地で仕立てたとしても、しっかり体に合っていれば、それがなににもかえがたい最高級のスーツとなるのです
断言します!スーツは本当にサイジングが命です!!!


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