HOME > 新着情報 > オーダースラックスの良さについて

オーダースラックスの良さについて

 執筆者:東京店 河本


3月も下旬になり、ようやく《春》らしいポカポカした陽射しが感じられ始めましたね。
今年も続々と桜の開花宣言が発表され、本格的な《春》の季節がすぐ目の前に。
軽く薄い春服へと衣替えもし、身も心も新たにフレッシュな気分になっているYOSHIMURA&SONS東京店の河本です。

さて、
前回はビジネスシーンのマストアイテムである<シャツ>についてご紹介しましたので、今回は《スラックス》にフォーカスを当て、オーダースラックスの魅力についてご案内します。

オーダーシャツの良さって、なぁ~に。

スラックスは、これから始まるクールビズシーズンで非常に重宝するアイテムです。また昨今のビジネスカジュアル化で、ジャケパンスタイルが主流になりつつあり、より一層スラックスの需要は高くなっています。

ただ、よく耳にするのは「ジャケットはオーダー、スラックスは既製品」ということ。
それは何故でしょうか。
私は “スラックスは消耗品” と考えられている方が多いからだと思います。 確かに下半身は歩く・座る等の運動量が多いので、ジャケットに比べるとスラックスは負担が多く掛かります。その為、傷むスピードも速くなり、わざわざオーダーするのはもったいないと考える方が多いです。
しかし、実は「傷むスピードが速い」というのは、身体に合っていないスラックスを履いているから、というケースがほとんどです。
しっかり身体に合ったスラックスを履けば、過度な頻度(週4回以上)で使用しない限り傷むスピードも軽減され長持ちしますし、また必然的に綺麗にスラックスをお召いただけます。

ですので、今回はそんな長持ちする綺麗なスラックスを仕立てる際のポイントについてご紹介します。

オーダースラックスと既製スラックスの違い

まず私河本から皆さんへ質問です。

スラックスを考える上で一番重要なこと、何だと思いますか?

色々あると思いますが、一番重要なのはウエストをどこで留めるか?=ウエストポイントの位置、これが一番重要で、ここにお客様ごとの好みが反映されます。

では、好みのウエストポイントは1つかというとそうでもありません。

例えば、ジーンズなどの場合
最近は腰履きされる人もいたりしますから尚更ですが、一般的にもビジネススラックスと比べると、ジーンズのウエストポイントはかなり下です。
当然ながらその分、股上は浅くなります。

また、一時期流行ったノータックの細身シルエットの場合、一般的には1タック2タックより股上が浅くなり(=ウエストポイントが下に下がります)ます。

このように、着用される人ごとに、またデザイン(シルエット)ごとにウエストポイントというのは、いわゆる “すわり” の良い位置が個人ごとにあるのです。

既製スラックスはこの点で、決められた股上、決められたウエストポイントしか商品提供がされておらず、オーダースラックスはそこを調整できるため、着用される方にマッチした商品を提供できるのです。

例えば、こんな着用をされた方をご覧なった事はありませんか?

ヒップ食い込み
ヒップ余り

これらは、履き方の好みと製品に差がある場合、このように “見た目” に違和感が表れてしまう良い例です。

ヒップ食い込み

>>>上記左の画像は明らかにヒップが食い込んでいる例です。
これだとかなり窮屈感のある見た目に映ります。
また、さすがにここまでの状態になれば履き心地も相当悪いと思います。

ヒップ余り

>>>上記右の画像はヒップが余っている例です。
このような場合は、着用感として不快に感じる訳ではないので、なかなか人に指摘されない限り分かりません。後ろから見ると違和感は一発で分かります。

特にヒップの余りはこんなケースでよくあります。

【ご自身の年齢よりも若いブランドのボトムを履かれている方】
これが一番多い例ですが、既製品の各ブランドは各ブランドに適したお客様の中心年齢というのを意識して製品を作っています。
一方、人間の身体は歳を経るごとにどうしても体型は崩れ、若い頃は運動してヒップが張っていたスポーツマンも、40歳を過ぎ運動量が減れば、ヒップの肉がなくなり、若者向けのブランドではヒップ余り(=ヒップの余り)が生じることになるのです。 でもこれはオーダーでも同じで、オーダースーツで5年寸法を変えていない!という方は一度チェックされると良いと思います。

そしてこれらを解決するのが、ウエストポイントの位置を決めるための『股上の調整』なのです。
股上の深さを調整することで、好みのウエストポイントはキープしたまま、シルエットを美しく、フィット感も向上させることができます。

◇着こなしのポイント

〇渡り巾

渡り巾のゆとり量は、お尻周りのゆとり量と連動しています。その為、渡り巾の設定を細くし過ぎたり太くし過すぎたりすると、一緒にお尻周りのゆとり量もその分少なくなったり多くなったりします。

これらは上記と同じようにお尻のフィット感を得ることが出来ず、股の裂けや擦れ、破れの原因になります。また、見た目からも窮屈感や野暮ったさが伝わるような大きなシワが入ります。これだと綺麗なスラックスとは言えないですよね。

その為、この渡り巾は細過ぎず太過ぎない程よいゆとりを必ず付けるようにしましょう。
その方がシワになりにくく、綺麗な見た目、シルエットになります。

〇ヒザ巾・裾巾

シルエットは気に入っているけど「立つと裾が落ちてこない」「ヒザ下に生地のたまりシワがある」
こんな悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

なぜ、これらのようなことが起きてしまうかと言うと、『ヒザ巾と裾巾が細過ぎる』からです。
ヒザ巾と裾巾が細過ぎると写真のようにふくらはぎに生地が当たってしまうため、生地がそこで引っかかってしまい下へ落ちなくなり、また引っかかっている箇所に生地がたまりシワになります。その他には、ヒザ裏に極度のシワが入ってたり、ふくらはぎの張りが目立ち不自然なシルエットなったりと、本当に好ましくないことばかりです。

綺麗なスラックスというのは、ストーンと裾まで引っかかることなく落ちているものです。
その為、このヒザ巾・裾巾も渡り巾と同様、程よいゆとり(ふくらはぎを圧迫しない程度)は必ず付けるようにしましょう
もちろん、太すぎるのも体に合っていないスーツを着ているような悪い印象を与えてしまうのでNGです。

〇股下

スラックスを綺麗に見せるためには、股下の長さも非常に重要です。
一般的に股下の長さは、ワンクッション(靴の甲に当たる程度)~ハーフクッション(靴の甲) が良いとされています。
ただ、最も正しいのは裾がシングルorダブルかで長さを変えることです。

シングルの場合

裾がシングルのスラックスは、どちらかというとフォーマルな位置づけで、畏まった場で着用するスーツのスラックスでよく見られる仕様です。
その為、股下はワンクッションもしくはハーフクッションのベーシックな長さが適切です。
シングルの裾で股下が短いと、つんつるてんのスラックスに映ってしまいがちですので、なるべく避けるようにしましょう。

ダブルの場合

裾がダブルのスラックスは、どちらかというとややカジュアルな位置づけで、通常のビジネススーツやセットアップスーツ、またジャケパンスタイルやクールビズスタイルのスラックスでよく見られる仕様です。
その為、股下はハーフクッションもしくは甲に当たるか当たらないかギリギリのスッキリした長さが適切です。
ダブルの裾で股下が長いと、靴の甲との境目がくっきり見えてしまい野暮ったく映るので、なるべく避けるようにしましょう。

◇スラックスにも体型補正を

ジャケット、シャツと同様にスラックスにも体型補正があります。
お尻が大きい方、お尻が平らな方、O脚の方等、人それぞれ下半身にも癖があり、その癖によってシワが入ったり、着心地が悪くなってしまいます。
ですので、体型補正を加えてそれらの現象をなるべく抑えてあげることで、より綺麗に、かつ着心地の良いスラックスに仕上げる。これもオーダーならではの魅力です。


以上、今回はオーダーシャツに続き《オーダースラックス》の魅力についてご紹介しました。 オーダーは、自分好みの仕様で作ることが出来るのも嬉しいところですが、なんといってもサイズ感が何より大切です。 特にこれから始まるクールビズシーズンではスラックスが主役になりますので、身体に合っていなければ全体的にだらしなく映ってしまいます。せっかくならビシッとカッコ良く着こなしたいですよね。
まだオーダーをされたことのない方は、是非この機会に挑戦されていてはいかがでしょうか。


back number

過去のback number