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今度の結婚式、ナニ着て行く?


“暑い、暑い”ばかり口にするのは本当にウンザリですが、今年は本当に暑いですよね
若い頃(10代20代)は割と“今年の夏は涼しいね”と感じる年があったかと記憶しているのですが、ここ10年or15年くらい?は毎年観測史上最も暑い、というフレーズを耳にしている気がします。
今年は日本だけに限らず全世界的に猛暑らしく、アメリカのフェニックスやデスバレーなどは45℃とか50℃と気温だけでみると桁違いの暑さですが、湿度を含めた体感温度となると日本の方が不快指数は高いかもしれません。
現に友人が勤める会社のインドネシア工場の現地スタッフが出張で大阪に来た際、“大阪の夏、暑すぎて二度と来たくない!”と言ったらしい,,,,,

“インドネシア人がそんなこと言うって大阪、どんだけ暑いんや笑”

まだまだ1ヶ月半はこの暑さが続くでしょうから、しっかり栄養補給して乗り切りたいものですね。
私はと言うと最近食べ過ぎでちょっと太ってきました笑

さて、今年の5月からコロナも5類に移行し、マスクが不要になり、ようやくコロナ前の日常が戻ってきた感じですね。
国内外への旅行に行かれる方、そしてこれまで延期されていたご結婚式を開催される方も多くなってまいりました。
それに伴い、当店でも結婚式用のスーツのオーダーが増えてきましたが、正直?何を着て行ったら良いのかわかならい,,,,,”との声が非常に多いので、今回は列席される方限定で、それぞれの年齢やお仕事内容、ポジション等を踏まえた上で、ベストなチョイスをして頂けるようご提案させて頂きたいと思います。

私南浦の主観が強い内容かもしれませんが、オーダーされる際のご参考までにご覧頂ければ幸いです。

今回、この記事を執筆するきっかけとなったのが、大阪店のリピーターでいらっしゃるMさんから同様の相談を受けたからなんですね。
その内容というのが、同じ会社の同期の方の結婚式に列席、友人代表としてスピーチ、40代半ば、冠婚葬祭の略礼服は持っている、これらの条件を踏まえた上で“何を着れば良いですか?”というものでした。

以下、来店時のMさんとの会話

私: ぶっちゃけ、着用感の少ない(くたびれていない)光沢有り系のスリーピースで良いんじゃないですか?
Mさん: ただ列席するだけならそれでも良いんですが、仲の良い同期だしスピーチもするし、格上げと言うかちょっと周りとは違うよ、っていうのを見せたいんですよね。
私: 了解です、略礼服お持ちなら思い切って慶事専用のブラックスーツはいかがですか?
織柄も入っていないプレーンで光沢のある漆黒の生地、おそらく周りの方のブラックスーツは光沢の無いいわゆる冠婚葬祭用の物をお召しになられた方が多いと思うので、ロロピアーナかゼニアのナチュラルな光沢のある生地を使用したスーツだと誰が見ても"おっ!なんか違う"と感じると思いますよ。
Mさん: ちょっと生地見せてもらってもいいですか?

弔事用のスーツの場合、基本着飾って行く場では無いので光沢感の無いマットな生地を選ぶのが常識というか無難です。
反面慶事用の場合、おめでたい場ですので華やかさを前面に出した方が場に相応しくなるので、光沢感のあるスーツの方が適しているという訳なんです(但し新郎より目立ってはいけませんが笑)
慶弔兼用の場合はどちらかと言えば、弔事用の方のウエイトが高くなるので、マットな生地を選んでおけばまず間違いありません。

(ロロピアーナとゼニアとタリアのブラックの生地を御覧頂きながら)

Mさん: 良いですね、しっかりと黒味もあるし光沢感もある、こっちの方向で行きましょう。
私: ただMさん、今回のご結婚式が終わった後のご予定はどんな感じですか?
Mさん: どういうことですか?
私: 1回こっきりのご着用の為だけならちょっと不経済かな?と
年齢的に上司や先輩の方は少ないかと思いますが、ご親族や部下の方で近い将来ご予定が予想され、列席されるようであれば慶事専用でお仕立てしても元は取れるかと思いますが。
Mさん: そうですね、まだ詳しくは決まっていませんが、年齢的に可能性があるのは数名います。
私: なら勿体無くはないですね。
それと押し売りではありませんが、先に格上げと仰っておられましたがそうするに丁度良いアイテムがあるんですよ。
Mさん: なんですか?
私: シルバーベストです!

お仕事でスーツをお召しになられる方であれば、ブラックでなく濃紺やダークグレーの方が何かと着用回数も増えるので経済的ではありますが、慶弔くらいでしかスーツをお召しになられない方にとってそれぞれ専用のスーツを用意するのはあまり経済的ではありませんよね。
慶事専用のスーツを仕立てる際の最も重要視するべきことは今後どれくらいの回数着用することがあるか?ということ。
総額10万円のスーツで、5回着ることがあれば1回あたり2万円、1回のみの着用で10万円はちょっと勿体無いですよね。
合わせてMさんにお薦めしたシルバーベストも1着2万円であれば、同様に5回着用すれば1回あたり4千円、これくらいのコストであれば高い確率で着用する可能性があるようでしたらお仕立てに対するハードルはグッと下がるのではないでしょうか?

Mさんにはこのような内容の提案をしたところ、全て承諾頂きまして晴れてこの方向で行くことに決定致しました。
今回は"お客さまいらっしゃい"ではありませんので簡単に今回のご注文内容をご紹介し、その後それぞれ年齢やお仕事内容別にお薦めのスーツをご提案させて頂きたいと思います。

今回のご注文内容

◇ジャケット

生地 K19-8401 タリアディデルフィノ Super130's ブラック無地

基本デザイン シングル2B
ラペルデザイン ノッチドラペル(慶事用であればピークドラペルも可
ベント サイドベンツ
腰ポケット フタ付き角度無
裏仕様 総裏(結婚式は気候の良い季節にすることが多いので総裏の方がお薦めです)
袖仕様 重ね本切羽 4B(弔事兼用の場合は3Bの重ね無しが基本です)
裏地 黒無地カルゼ(慶事専用だと黒かグレー無地がお薦めです)

◇パンツ

前タック ノータック
裾使用 シングル(慶事専用であってもセレモニー用スーツはシングルが基本です)

◇ベスト

生地 KZ18-004 シルバーグレー無地

基本デザイン シングル5B(フォーマル用の場合はベーシックに)
裏地 ポリエステル同系色
ボタン クルミ釦(表地で釦をくるんだ物を使用するのが標準です)

以上の内容にて進めることとなりました。

それでは以下は今後結婚式に列席される際、どういったスーツを選べば良いか、私の経験値を基にしてご提案させて頂きたいと思います。

先述致しましたが、結婚式用のスーツを仕立てるに当たって大切な事は今後予想される着用回数とコストとのバランスです。
1,2回の着用で高いコストを掛けるのは経済的ではありませんから、しっかりとスーツに対する関係性や距離感を把握してご検討ください。

1.20代30代でお仕事でスーツをお召しになられない方

>>>この年代の方は学生時代やお仕事関係で列席されることが多いかと思いますが、お仕事でスーツをお召しになられなければ、多様なシーンで対応可能なダークネイビー無地系のスーツを1着をご用意されることをお薦めします。
略礼服でもOKですが、おそらく同席されるご友人の方は通常のビジネススーツライクな物をお召しになられるでしょうから足並みを揃えつつも、結婚式以外で幅広く対応可なスーツとなるとネイビー無地が最も相応しいでしょう。

2.40代以上でお仕事でスーツをお召しになられない方

>>>略礼服専用生地を使用した慶弔兼用スーツがお薦めです。
この年代の方になりますと弔事での着用が多くなることが予想されるのと、ご親族関係の慶事にお出になることも増えてくるでしょうから1着きちんと基本的なデザインを踏まえたものをご用意されるよろしいかと思います。
またご子息、ご息女様の結婚式をお控えの場合、おそらくモーニングコートをお召しになられるかと思いますが、それ用に今回Mさんもお選び頂いたようにシルバーベストをお仕立てされても良いでしょう。
略礼服に合わせて慶事用としてもお使い頂けるので経済的である上に、略礼服+ホワイトタイのコーディネートより1ランク上の印象に仕上がります。

3.20代30代でお仕事でもスーツをお召しになられる方

>>>このポジションにいらっしゃる方はお仕事でもお使い頂けるでしょうから無地系のベーシックな物よりかは華やかな印象の色柄の生地で、尚且つスリーピースでお仕立てすることをお薦め致します。
これまでの私の中のアーカイブだとやはりこの年代の方はチェック柄をお選びになられる方が多いのですが、ただお仕事でも着用するのであればあまりインパクトの強い色柄の物は避けた方がよろしいかと思います。
匙加減が難しいところではありますが、色柄のインパクトが強いと人の記憶に残りやすくなりますし、着回しを考えるとそれはマイナスに作用するので"やり過ぎない"を念頭に置いて生地を選ぶようにしてください。

4.40代以上でお仕事でもスーツをお召しになられる方

>>>正に今回ご注文頂いたMさんがこのセグメントに入ります。
先の"40代以上でお仕事でスーツをお召しになられない方"と同様に略礼服で基本OKですが、Mさんのように既にお持ちであり、且つ今後複数回の着用が予想されるようでしたら、慶事専用生地を使用したブラックスーツ+シルバーベストのコーディネートを是非お試しください。

以上、今回Mさんから頂きました慶事用ブラックスーツのご注文を基に結婚式に列席されるお薦めスーツのご紹介をさせて頂きました。
これまでは新郎の衣装も含めたフォーマルウェア全般についてご紹介したことはありましたが、少し目線を変えてみましたがいかがでしたか?
夏はまだこれからが本番ですが、暑さが落ち着く秋口にご結婚式に招待されていらっしゃる方のご参考になれば嬉しく思います。


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