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14年振りのマオカラー、果たして如何に?


ようやく長く厳しかった今年の冬も峠を超え、日に日に暖かくなってきましたね。
店頭も暖房を付けていないくらいですから、つい先週までの寒さは何やったんや?といった感じですね。
しかし暖かくなるのも手放しでは喜べませんね
それは何故かというと,,,,,,,,
そう、憎っき花粉です!
一昨年に花粉症デビューして年を追う毎に症状が悪化している気が,,,,
去年はアレグラが効いていたのに、今年はクラリチンと、徐々に強い薬に移っているのがもの凄く不安なんですが、こればかりは仕方無いですね。
今一つ仕事に集中出来ないので、早くスギ花粉が収まるのも待つばかりです。
今のところスギonlyなんでまだマシですが、これにヒノキやら何やらが加わると考えるとゾッとします。
ああ~、私花粉症とは無縁なんです、と言ってた頃がなつかしい~

さて、今回は現役の大学生であるIさんから頂いたちょっと風変わりな(マオカラー)スーツの仕上りをご紹介したいと思います。

前回までのあらすじは下記を御覧頂くとして,,,,

14年振りのオーダー!?

お題目にあるようにこのマオカラースーツ、最後にお受けしたのが2008年、なんと平成20年ですから14年振りのご注文、当時の私は37歳、イケイケで初めてのマオカラースーツであったにも関わらず、不安など微塵も感じなかった記憶があります。
それから長い年月を経て、50代に突入した私はその当時と比べると格段に経験値は豊富になりましたが、やはり守りに入るというか、どうしても勢いの衰えを感じます。
その衰えを経験値でカバーし、今では大抵のご注文は難なくこなせるようになりましたが、今回のIさんのマオカラースーツは余りにも久しぶりだったので少し緊張してしまいました。

しかしお客様にそんな姿はお見せ出来ませんから、当時の仕様書を穴が開くまで読み込み記憶を呼び戻して対応したので、まずは半分の五合目までは到達出来たと言えるでしょう。
残りの半分、仕上りが良くなければどれだけ対応が良くても何の意味も無いんですが,,,,

今回はIさんにご協力頂いて着用姿を撮影させて頂きました。
Iさん、お忙しいところにご来店頂き、ご協力感謝です。
(決して母校の先輩風を吹かせた訳ではありません笑)
それでは早速御覧ください。

いかがでしょうか?
ただ単に黒いマオカラースーツにしか見えん、という声が多数かと思いますが、これでも結構な知恵と苦労が詰まっているんですよ。

まずIさんからは全体的にタイトシルエットをリクエストされておりました。
マオカラーは通常のジャケットとは異なりVゾーンがありませんよね
丁度バストトップの部分がボタンでホールドされるので、Vゾーンのあるジャケットと同様のゆとり量だと胸廻りの可動範囲が狭くなってしまいます
タイトに見せつつ、且つ着心地の良さを両立させるためにアームの袖口巾、肘巾、二の腕巾をそれぞれ数値で設定し、視覚的にタイトさを強調致しました。
画像左端を御覧頂くと全体的にスッキリとした袖シルエットになっているのがお分かり頂けるかと思います。
ここまで細かな数値設定をすることは見た目は良くなるが、可動を犠牲にする可能性があるので普段はあまり致しませんが、今回は特殊なデザイン(マオカラー)ということでIさんにはこの点を説明した上で設定することとなりました。
袖付けの角度もほぼパーフェクト!な仕上りと言って良いでしょう。
もちろんIさんにも喜んで頂けましたよ。

続いては前回デザイン紹介の欄でお伝えしておりました前立て比翼仕立ての場合の第1ボタンの始末縫いについて、まずは画像を御覧ください。

まずマオカラーの第1ボタン位置は襟の付け根から約3cm下と設定されており、これを変更することは出来ません。
その上で前立てボタンの全てを比翼に(共布で被せる)するには襟の付け根から第1ボタン迄の距離が3cmでは足らないからこの部分のみ打ち抜きになってしまうとのことでした。(あと3cm位の距離は必要)
前立てボタンの位置の設定が出来れば全て比翼仕様が可能ではありますが、この辺りの調整はイージーオーダーの限界と言えるでしょう。

以上、今回14年振りに注文を受けたマオカラースーツをご紹介致しました。
普段お客様から頂くご注文は一般的なビジネススーツが殆どですが、稀にちょっと変わったスタイルのご注文を頂きます。
ビジネスユースでもOKな物だと007のボンドスーツや1型、2型と言われるアメリカントラッドなどがありますね。
完全に趣味の世界の物となると、30's STYLE矢沢スーツ、今回のマオカラーもこのカテゴリーに入るでしょう。
後は,,,,,長らくご注文を頂いていないのは、バブル時のソフトスーツですね。
最近のファッションはタイトシルエットからゆったりとしたオーバーサイズシルエットに移行してきているので、近い将来ソフトスーツのようなシルエットが新たなビジネススーツのスタイルとして復活するかもしれませんね。

それではまた次回お会いしましょう♪


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