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上品なベーシックスーツのご紹介です!


8月も終盤に差し掛かり、カラッとした気持ちいい天気から一転、また梅雨時のようなどんよりとした天気になってきましたね。
今年は戻り梅雨もあったせいか、これまでならイヤだった夏の灼熱の暑さでさえも気持ちよく感じていましたので、秋の訪れを感じされるかのような今の天気、気温を見ていると、「夏が終わるんだなぁ」となんだか寂しく思えている本来夏が大の苦手でお馴染の東京店河本です
このムシムシした暑さがこれから長く続くと思いますが、私含め皆さんも天気はどんよりでも晴天のような明るい気持ちで、2022年秋の開幕を待ちましょう!

さて、今回の『お客様ありがとう』では、このコーナーでは珍しい!?ごくごくシンプルなベーシックスーツのお仕立てをご紹介させて頂こうと思います。
普段より『お客様いらっしゃい・ありがとう』をご覧頂いている方はご存じかと思いますが、いつもこれらのコーナーで紹介されるお仕立てというのは、どれもなかなかハードでパンチ強めなものばかりなんです。ですので、今回はそんなハードなお仕立てではなく、誰でもマネして頂けるようなベーシックなスーツで、上品な雰囲気を醸し出すことが出来る大人のお仕立てをご紹介しようと思います!

今回は、お客様との生地選びのシーンをメインにいろいろ書かせて頂きました!
少し長めの内容となっておりますが、最後まで楽しみながら読んで頂けますと幸いです。
何卒、よろしくお願いいたします。

それではご覧ください!どうぞ!!!

様々な思いが形になって出来上がってきた、お客様のお出来上がりをご紹介するコーナー『お客様ありがとう』。当コーナーで今回ご紹介するお客様は、6月にYOSHIMURA&SONSで初めてお仕立て頂きましたご新規様『Sくん』です。

「おいおい!お客様に対して君呼びとは何を考えているんだこの若造!」
と思われた方。すみません。
実はこのSくんは、私の母方の祖母の兄弟の息子の息子、つまり私の母のいとこの息子なんです!!!はい。ややこしいですね。失礼いたしました。。。
簡単に言うと、はとこです。

このSくんも私と同様、もともと大阪に住んでいましたが、社会人になったタイミングで東京へ上京してきましたので、今回折角だからとスーツを作りにお店へ来てくれました。

実は、このご来店頂く数日前にSくんとご飯に行っておりまして、その際にこんな会話をしていました。

Sくん: 今度スーツ作りに行くからよろしくな~
私: お~!ありがと~!
Sくん: でもなぁソウマ(私、下の名前がソウマと言います。)、俺会社で滅多にスーツ着やんねん。 (スーツを着ないという意味)TシャツでもOK(笑)
私: 着やんのか~い!
Sくん: そうそう(笑)やから、どんなスーツを作るかまだ決めてないから、店行ったときにまた言うな~!
私: 了解しました!

やっぱりカジュアル化が進んでいるんだなと改めて感じました。
ここ最近では、リモートワークから通常出勤へ戻っている会社が多いことからスーツの需要は高くなってきている印象は受けていましたが、やはり今はスーツを着なくてOKの会社が本当に多いんですね。オーダー屋泣かせな現実ではありますが、こればっかりは仕方ないですね。
さて、このような会話を交わした数日後、お店にやって来てくれたSくん。

私: どんなスーツを作るか決まった?
Sくん: 決まったでぃ!
私: どんな感じのスーツ?
Sくん: 友達の結婚式とかに着ていくようなスーツを持ってないから、作ろうかな思てる!あと欲を言えば、会社でスーツが必要な時でもビシっと着ていけるようなネイビーのスーツが良い!
私: なるほどね!了解!!!

今回Sくんは、結婚式(参列)やパーティーシーンなどの華やかな場、兼、いざという時のビジネスシーンに使えるベーシックなスーツが欲しいとのこと。ここまで具体的な要望を伝えてもらえると必然的に生地が絞れてきます。

基本的に友達の結婚式に出席する場合のスーツというのはいくつかのルールがあります。

①派手な色柄のスーツはNG

>>>主役の新郎新婦より目立ってしまうのは良くないことですので、基本的には色が濃いめのダークネイビーやチャコールグレイまたはブラックが好ましい。柄は、無地が一番理想的だがあまり目立たないシャドーストライプであれば許容範囲。

②カジュアルスタイルはNG

>>>ジャケパンなどのカジュアルな装いはフォーマルな場にそぐわない為、避ける。
(ドレスコード指定の結婚式は除く。)

③サイズ感のあっていないスーツはNG

>>>結婚式はきちんとした装い(スーツ)で新郎新婦を引き立てないといけない。 その為、体にしっかりフィットしたスーツで参加する。

これが結婚式に参列する際のスーツの大まかなルールです。
その他に、新郎新婦にお祝いの気持ちを表すのに、パッと見て『良いスーツ』を着用していたほうがより気持ちが伝わりますので、程よい光沢があるスーツを選ぶことが重要です。
この程よい光沢のあるスーツは、結婚式の他パーティーシーンのような華やかな場に合いますし、ビジネススーツとしても問題なくお使い頂けますので、オールマイティなスーツをお求めの方は、ピカピカ過ぎずマット過ぎないスーツ選びを心がけましょう。

以上のことをSくんに伝え、理解してもらった上で私が厳選して選んで提案した生地は、『CANONICO Super110's』 (カノニコ)です。
このカノニコ110'sシリーズは、程よい綺麗な光沢感がありながら、ビジネスシーンもお使い頂ける耐久性をも兼ね備えています。
また、結婚式(パーティーシーン)などはいつの季節に行われるか分からないですので、お客様には3シーズンないしオールシーズン着用できるような生地感のものをオススメすることがほとんどです。その点から、この生地は3シーズンお使い頂ける生地ですので、今回のSくんの要望からいくとカノニコ110's シリーズが理想的な生地なんです。

結婚式用&ビジネス用のスーツとなると、デザインは基本的に遊ばず、THEベーシックな形で仕立てる方が良い為、デザイン決めはすんなり決めることが出来ると仮定し(本当にパッパッパと決まりました、笑)、問題は生地決めだなと思っていましたが、具体的に色々要望を伝えてくれたSくんのおかげで、案外すんなりと生地を絞ることが出来たなぁと安心しながらSくんに提案すると、、、

Sくん: ごめん、俺めっちゃ暑がりやから、中途半端な生地感(生地の厚み)やったら室内におる時はいいとしても移動の時耐えられへんと思うわ。
だから贅沢やけど春夏用は春夏用、秋冬用は秋冬用で分けたいから今回は春夏用に特化した生地で作りたい!

『Oh my God!!!!!』
自信満々に提案した私に天罰として落とし穴が待っていました。
これは完全に私の事前のヒアリング不足です。反省しております。

この返答を聞いた時、正直頭を抱えてしまいました。なぜか。
それは、春夏生地に多く用いられる織り方<平織り>は秋冬生地に用いられる<綾織り>に比べ、光沢感が出にくく、マットな生地がほとんどなんです。
上記でもお伝えしましたが、結婚式の際は新郎新婦にお祝いの気持ちを表すのに、パッと見て『良いスーツ』を着用していたほうがより気持ちが伝わりますので、程よい光沢があるスーツを選ぶことが大切なんです。でもSくんの希望は涼しい春夏生地。それだと光沢が出にくくマットなものがほとんど。どうしようか。。。
しっかりSくんが首を縦に振ってOKしてくれる生地を提案しなければ、とまた色々探しました。

すると、あの伝説的イベント⁉《河本商店》の棚から良い生地を見つけることができました。しかも春夏物でネイビー、さらに程よい光沢もあるSくんの希望に近い生地を。早速この生地をSくんに提案すると、、、

Sくん: この生地いいね~!よし、これでいこう!!
私: ありがとうございます!!!

なんとか、Sくんが首を縦に振ってくれました!

そんな落とし穴からの復活劇で今回決まった生地がこちら!!!

TRABALDO TOGNA ESTRATO(トラバルド・トーニャ エストラート)ネイビー無地

1840年に世界でも名高いイタリアのビエラ地方で設立された老舗高級服地メーカー《TRABALDO TOGNA》 (トラバルド・トーニャ)。160年と言う長い歴史から卓越した専門技術を持ち、伝統に培われた熟練職人の技と感性を生産工程の要所に生かし、厳選された原毛によって生み出される生地の品質はまさに最高級であり、現在も世界中に多くの顧客をもつ人気のミルブランドです。

そんなトーニャの代表作でもあるコレクションが、『ESTRATO』 (エストラート)シリーズです。
この『エストラート』の最大の特徴は、天然素材をのみを使用し開発されたナチュラルストレッチ。一般的に生地にストレッチを効かせるためには、天然素材の中に伸縮性のあるポリウレタン糸など混紡することが多いのですが、トーニャではあくまで天然素材のみの使用にこだわり、ウールのクリンプ(縮れ)を活かすことでヨコ方向に通常の約2倍の伸縮性を持たせた生地を作り出しました。
伸縮、キックバック性能が優れているため、ひじやひざの弛みを起こさず、さらに防シワ性にも優れているのでビジネスシーンはもちろん出張や旅行の際にも非常に便利です。
また、こんな機能性がありながらも、Super120’s原料とした糸で織り上げられているため、今回のような春夏生地でも上品な光沢感があり、質感だけ見るとこれにストレッチ性が入っているとは思わないほどの上質な風合いです。

軽くしなやかな着心地シワのなりにくさ(防シワ性)抜群のストレッチ性美しい光沢から生まれる上品な雰囲気。と、天然素材だけでここまでのクォリティの生地を作れるのはこの『エストラート』しかありません。

YOSHIMURA&SONSでも春夏物、秋冬物のどちらも数量は少ないものの取り扱いはございますので、ご興味のある方は是非お申し付けください。

さて、生地が決まりましたのであとはデザインです。
デザインは、上記でも少し述べましたが、<結婚式などの華やかなフォーマルシーン&ビジネスシーンで使えるスーツ>であれば、遊びのあるテイストは基本入れず、ごくごくベーシックな形で仕立てるのが絶対条件です。ベーシックなデザインこそ上質な生地をより輝かせ、上品なスーツに仕上がります

ですので、今回は本当にベーシックなデザインで仕立てました。
果たして、品のあるスーツに仕上がっているのでしょうか!?

それではご覧ください!!

※スーツのスタイリング写真は、実際にSくんが使用した後撮影したものです。

上品なベーシックスーツ

如何ですか!?
ベーシックなスーツではございますが、非常に上品な雰囲気に仕上がっているのではないでしょうか。

華やかなフォーマルシーンとビジネスシーンを兼用でお使い頂けるようなスーツを仕立てるのであれば、やはりこのぐらいの程よい光沢感のある生地が一番適しているかと思います。

色目も、明るすぎず暗すぎないネイビーで、またサイズ感も細すぎず太すぎないシルエットに、着丈、股下(スラックスの長さ)も短すぎず長すぎない一番上品な長さと、これぞシーンを選ばずお使い頂けるマスターピースな1着ですね!

ジャケット

【デザイン】
基本デザイン シングル2つボタン
衿型 ノッチドラペル
ベント サイドベンツ
腰ポケット フタ付き平行
袖口 4つ重ね
ボタン 900-93 ツヤ有り黒
裏地 AK1600-41 キュプラタフタ ピンク

シングルの2つボタンにノッチドラペル、またサイドベンツに平行のフタ付き腰ポケットと本当にごくごくシンプルなデザインです。ボタンも、基本的に靴やベルトはブラックとのことでしたので、華やかに見えてかつ一番ベーシックな艶ありの黒を使用。

唯一少しだけ遊びを入れたのは裏地ですかね。付けているのはキュプラ裏地の中でも春夏にオススメなタフタのピンクです。ネイビーの生地とピンクの裏地の組み合わせは、非常にコントラストが綺麗ですので、オススメですよ!

スラックス

【デザイン】
ベルトループ 有り
サイドポケット ナナメ
ピスポケット 両玉右ボタン無し左ボタン留め
裾口形状 シングル(モーニングカット無)
タック 1本

スラックスももちろん全てシンプルなデザインです。

ベルトループ付きに脇ポケットは手が入れやすいようにナナメ。後ろポケットは右ポケットにハンカチを入れることが出来るように右ボタン無の左ボタン留め。また裾はシングル(個人的にはダブルも良いかなと思いましたが、幅広いシチュエーションで着ることを考えるとやはりシングルが最適ですね。)にタックは1本

当初、Sくんはノータックを希望していましたが、結婚式では場合にもよりますが、基本的に座っていることの方が多いと思いますし、ビジネスシーンでも座っていることがほとんどとのことでしたので、最終的にノータックよりも腰回りが楽になりストレスが少なくなる 1タックをお選びなられました。

ベスト

【デザイン】
基本デザイン シングル6×5ボタン
尾錠 有り
ポケット 腰ポケット左右付きめ
裏地 背の内側は上着と同様
外側はAK1600-53 タフタグレイ

ベストだけ派手!?
もちろんそんなことはございません。しっかりシンプルにお仕立てしました。

シングルの6×5に尾錠と腰ポケット付き。
少し変化を加えた部分でいえば、ベストの背の外側にはグレーの裏地を使用しているところ。
ジャケットはピンクの裏地を使用しましたので、本来であればベスト背の内側と外側に付く裏地も同様にピンクを付けます。ただ、Sくんはジャケットを脱ぎベスト1枚になった際にベストの外側のピンク裏地がガッツリ見えるのはちょっと。。。とのことでしたので、内側はピンクの裏地を付け、ガッツリ見える外側の裏地はベーシックなグレーの裏地を付けました。

さて、今回は上品なベーシックスーツのご紹介をさせて頂きました。
Sくん、この度はご来店&ご注文頂きありがとうございました。

このようにどのシチュエーションにもお使い頂けるベーシックなスーツを1着お持ちですと非常に便利ですので、まだお持ちでない方、またご検討されている方はお気軽にお問い合わせください!


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