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店長におまかせ!!!そんなオーダーはいかがでしょうか。


気づけば12月も中旬。2023年に向けてのカウントダウン!!!もそろそろ意識してしまいますね。泣いても笑ってもあと約2週間、、、読者の皆さんはどのように、残りの2022年をお過ごしになりますか。

こんにちは。毎月が師走かな。。。と忙しくしている(要領が悪いからでしょう。。。)
東京店SHOPMASTER(佐野)です。毎年1年があっという間です。。。

読者の皆さんも仕事納めや、新年に向けての準備等で忙しくされている方も多いのではと思いますが、忙しい時ほど体調を崩しやすいので、コロナも油断できませんし、健康に元気で残りの2022年を楽しめるよう、ご自愛くださいね。

さて、今回の《お客様ありがとう》でご紹介させていただくお客様は、かなり 緊張感と言いますか、お客様も私自身もお渡しまで、ワクワクドキドキ(私はずっとドキドキばかりでしたが、、、)するご注文を頂きましたのでご紹介させていただきますね。

今回のご注文のきっかけは、ご来店時にお話しをしたこんな会話からでした。

Tさん: 『トータル10万円くらいの予算で、カジュアルコーディネートをお願いできる?』
佐野: 『もちろん大丈夫ですよ!どのようにしましょうか?』
Tさん: 店長にお任せでお願いしたいんだけど。生地もコーディネートも全てお任せするから、完成品には文句は言わないんで。僕に合うもので好きに作ってもらってもいいから。お願いできます?』
佐野: 『も、も、もちろん大丈夫ですよ!』(内心言われてからはちょっと焦ってました。)
Tさん: 『良かった。ありがとう。それでは、完成を楽しみに待ってますね。』

初め聞いた時は、『ん?店長に全てお任せ?』と耳を疑い実は何回か、本当にいいんですか? とTさんに何度か聞き返したのですが、Tさんは『本当ですよ。好きに作ってみて。』とニコニコしているじゃありませんか。これは本気だなと。
腹をくくって、『任せて下さい!』とお受けしました。

初めてのお客様にはこのようなオーダーは承ることは絶対にしませんが、Tさんは私がSHOPMASTER着任時前から東京店で何度もオーダーを頂いているお客様。
今までの歴史が沢山ファイルの中に詰まっていますので、好きな洋服のテイストや、サイジングの好みを探ったり想像することができるんですね。

しかも、毎回私が担当させていただいていることもあり、色々とご注文時にお話しをさせて頂いていましたから、この生地でこんなコーディネートが好きだろうなと想像がしやすかったという事もあったのですが、、、正直に言いますと、、、想像するのが楽しい以上に、『めっちゃ不安。』

任せるよ!!と言いつつも完成品を見て、『ん?ちょっと想像と、、、』完成品に文句は言わないよとは言われましたが、そう思われてしまい、がっかりする顔を見るのは辛いですよね。
私以上に、Tさんが一番辛いにきまっています。
まだ付き合っていない意中の女の子にクリスマスプレゼントを渡した時、微妙だなっていう表情をされたら辛いですよね。例えが悪すぎるかもしれませんが、そんな心境でした。

普段のオーダーならば、お客様とお話をしながら生地を一緒に決めるのですが、今回は完全にお任せですから、ファイルを見ながら、Tさんのお顔を想像しながらの生地決めでしたので決めるまでに約5日間程悩みに悩みました。

悩んだ5日間(長いのか短いのか。)『カジュアル』をキーワードに様々な生地でのコーディネートを何パターンも考えた結果、何とか3つのコーディネート(プランA・B・C)まで絞ることに。

プランA

カジュアルな生地と言えば《ツイード》じゃない??と考え、ツイードジャケットをメインに、ウォーム感のあるカントリー調のコーディネートはどうか。
ちょっと待てよ。今までのお仕立てで、確かツイードは、、、あった!!!だけども、この黄色のツイードはお持ちではないよな。エンジのコーデュロイのベストに、カーキのコットンパンツ&シャツはデニムで。なかなかいいじゃない?けど、この色の組み合わせはなかなかクセがあるな。ちょっと個性的かな。

プランB

更にカジュアルな生地は?と色々考えたところ、、、安直ですが《デニム生地》が目の前に飛び込んできたので、デニム生地をメインにカジュアルジャケットスタイルを目指してみよう。
ベストはデニムと相性のいい、ソフトツイードのガンクラブチェックで。シャツは赤の極太ストライプをアクセントに、パンツは全体をまとめるという意味合いで、上品な黒の葛利のフランネルをチョイス。これもいいじゃない!
でもな。。。う~ん。Tさんは今までデニムでお仕立てしたことはなくて、ワードローブの中に加えるとバリエーションも増えて、今までのお仕立てしたアイテムとのバランスもいいのかな。
でも、ちょっとデニム(ワンウォッシュ)はちょっとカジュアル過ぎかな。
カジュアルコーディネートとは言え崩し過ぎかも。

プランC

他に何かいい素材は無いか、、、少しだけ捻りも加えたいなと店内、倉庫と探し回って、いると、『ん?この生地は!これいいじゃない!この生地をコーディネートのメインにしよう。』と見つけたのは、オレンジのチェック生地。プランA・Bはジャケットをメインにコーディネートを考えましたが、プランCはベストをメインに組み立て。
落ち着きもありオレンジと相性の良いオリーブの細畝コーデュロイをジャケットに、いい意味で野暮ったい&ボリューム感のあるFOXフランネルをパンツにコーディネート。
シャツはこれもオレンジと相性の良い&カジュアルには外せない素材デニムを。
このコーディネートは、Tさんのワードローブの中にはないぞ。しかもどのアイテムも単品使いもしやすいし、手持ちのアイテムとの相性もGOODじゃないかな。
しかし、A・B・Cどれも甲乙つけがたい。どうしたものか。。。

それで最終的に決まったコーディネートは、、、、《プランC》に決定しました。

決め手は、やはり探しに探して偶然見つけた、《オレンジチェック》の生地が頭から離れなかったこととTさんの雰囲気とマッチしていること。そして、今までの履歴の中でCのテイストはお持ちでなく、サプライズになるかなと感じたからです。

しかし、生地だけ見ているとこれがどういうコーディネートになるのか、分からないとは思いますが、それは後程Tさんに完成品を着てもらったところで明らかになりますので、ここまで読んだよって方もそうでない方も、最後までお付き合いくださいね。

本来ならば、『お客様いらっしゃ~い』で完成までのストーリーをご覧頂くのですが、
今回はちょっと特殊なご注文でしたので、Tさんに完成品を着てもらってお披露目するところからのスタートです。

完成しましたとメールでご連絡を差し上げ、いよいよTさんのご来店。
完成品をお見せすると、『ほぉ~。そうきましたか。』と少しにっこり。

果たしてTさんは『笑顔』になってくれるのか、、、、それでは早速Tさんにご登場して頂きましょう。

◇ Tさんのカジュアルコーディネート全体像 ◇

今回は全てお任せという事でしたので、ジャケットからインナーのシャツまでフルコーディネートでご用意しました。
カジュアル過ぎない細畝のコーデュロイジャケット&上品なフランネルのパンツをベースに、差し色とアクセントにオレンジのチェック柄ベストをチョイス。
プライベートシーンで着ることが前提でネクタイはしないだろうという事で、シャツは爽やかなデニムシャツをボタンダウンでコーディネート。シャツはこの状態だと分からないかもしれませんが、少し仕掛けをしてあります。それはまた後程。

フィッティングルームから出てきたTさんは、一言『いいねぇー!!!』と先程よりも笑顔に。

Tさん: 『想像していたよりも良いですね。コーデュロイのジャケットは想像できる範囲だったけど、特にこのオレンジのベストが絶対に自分の中では出てこないアイデアなので、とても気に入りました!』
佐野: 『今めっちゃホっとしています。もうTさんのオーダーを受けてから今この瞬間に至るまでずっと緊張しっぱなしでしたよ。』
Tさん: 『もう付き合いも長いですし、信頼してますから。僕は安心して楽しみに待ってましたよ。』
佐野: 『そう言ってもらえて光栄です。』
Tさん: 『ただちょっとスラックスのウエストサイズが少し大きいかな。』
佐野: 『えっ?それは失礼しました。直ぐに調整しますね。(汗)』
(サイズまで完璧なら良かったのですが、Tさんすみませんでした。)
Tさん: 『店長、今回のデザインとコーディネートのポイントを教えてよ。』

というTさんからのお言葉も頂けたことですし、ここからは各アイテムのポイントをご紹介していこうと思います。

◇ コーデュロイジャケット ◇

基本デザイン 3ツボタン段返り
衿型 タブ付きノッチドラペル
ベント センターフックベント
胸&腰ポケット アウトポケット 切り返し付き
袖口デザイン 2つボタン本切羽
ステッチ ミシンで総ステッチ レールステッチ0.5cm+コバ
裏地 UR22A-33 ハンバーガー柄
ボタン AKN117-46 ナットボタンブラウン

ジャケットのポイントは、素材であるコーデュロイと生地の色見。
コーデュロイの素材は畝(凸凹した立体的な縦の線)が太ければよりカジュアルになりますし、細畝になるとドレッシーにも使える意外と万能な素材。かつ細畝だと色々なアイテムとコーディネートしやすいのもポイント。
そして『オリーブ色』もボトムやインナーとのコーディネートのバランスがとりやすい万能なカラー。 Tさんのお顔立ちにもこの細畝かつ落ち着いたオリーブ色はマッチしますし、今までのご注文頂いた歴史からこの素材と色のアイテムはお持ちでなかったのと、今までお仕立て頂いたアイテムとのコーディネートも意識。
デザインも、細かいディテールですが、カントリー調のタブカラー&デザイン性のある3パッチと生地の雰囲気に合わせました。
立体感のある総ステッチも、レールステッチで入れることにより、立体感&カジュアルさをプラス。
生地は細畝でドレッシーに、デザインでカジュアル要素を追加して両方の良さを持つジャケットの完成です。

◇ フランネルパンツ ◇

基本デザイン 2タック インタック タック帯下から大きく開く
脇ポケット ストレート
ピスポケット 左右釦留め
ダブル 4cm
帯巾 4cm ベルトレス仕様
持ち出し 16cm ループ1本付き

シンプルなフランネルのパンツに見えますが、生地含め細かい所に拘りを詰め込みました。
先ずは生地ですが、良い意味で野暮ったい雰囲気と言いますか、上着とのバランスで上品になり過ぎないように肉厚な FOX BROTHERS の生地をチョイス。
コーデュロイとの素材の相性も、色見もバランス良くマッチさせました。
デザインのポイントは、タックの入れ方と持ち出しのデザイン。
通常タックは、タックの上が縫い止めされており大きくは開かないのですが、今回は縫い止めをせずに、帯の下からタックが開いているので大きく深くタックを入れることができ、タックが美しく入ります。迫力もありますよね。
ベルトレスもポイントなのですが、持ち出しの長さにも注目してください。
飾り尾錠などは付けない代わりに、腰周りにアクセントをつけました。

◇ チェックベスト ◇

基本デザイン シングル6×5
尾錠
ポケット 4ツ
背中 共生地を使用

今回のコーディネートの一番のキモです!!!
先に説明させて頂きまhしたが、このオレンジ×チェックのベストから、Tさんのカジュアルコーディネートの生地決めが始まりました。
正直デザインは特段特別なことはしていません。いたって普通。
ですがこの生地の存在感と言いますか、雰囲気が全てかと。カジュアルコーディネートと言いましても、ジャケットやパンツは基本テーラードなデザインですから、どうしてもカジュアルになりきれない。このベストをコーディネートに加えることで、一気にカジュアさがでてきますよね。
Tさんも『今回は特にこのベストがいい!!自分が選ぶことは絶対にないからこそ、店長にお任せしたかいがあったよ。』とお言葉を頂けたので狙いはバッチリでしたね。

◇ デニムシャツ ◇

基本デザイン 衿型ワイドボタンダウン
前立て プルオーバー
バックデザイン BOX内ループ付き

最後にシャツですが、カジュアル=デニムと安直な考えでは?と思われる方もいるのかなと思いますが、全ての素材の邪魔をしない&相性が良いものはという事を考えると、この《デニム》一択です。
全体コーディネートで見ているとただのデニムシャツじゃんと思ってしまいますが、プルオーバーシャツというところがミソです。
全体をコーディネートする時はもちろんのこと、ベストを脱いでタックアウトして着ることもできる、スラックスとシャツだけのコーディネートでも遊びが効く、またシャツだけで着るときも1枚で存在感のあるシャツに。などなどプルオーバーは使い勝手は抜群です。
オーダーではピタッと合わせるシャツを作るというのがセオリーのように感じる方もいるかと思いますが、少しルーズでカジュアルなデザインも作ることは可能なんですよ。

Tさん、含め読者の皆さん、以上が今回のカジュアルコーディネートのデザイン&ポイントのご紹介となりますが、いかがでしたでしょうか。

何よりもTさんが店長に任せて良かったよと喜んでもらえたのが何よりでした。(サイズは別ですが。。。)

Tさん: 『自分で選んだりするとどうしても一辺倒な生地やデザインしか選ばないから、新しい可能性を引き出してもらえるかと思ってお願いしてみたんです。一緒に選ぶよりも自分がいないところで全て決めてもらったほうが面白い結果になると思ったんだけど、 結果は成功ですね。』

今回のTさんのオーダーは特殊でしたが、確かに自分で決めると同じテイストのものが増えがちですよね。
読者のみなさんの中で勇気のある方???はTさんのようなオーダーも承ることもできますのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。(お手柔らかにお願いしますね。)

ご注文と掲載のご協力も頂きましたTさん、今回も誠にありがとうございます。


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