2025年6月13日更新
気付けば6月も中旬に。早いものですね~、、、2025年も約半分過ぎてしまいましたよ。 そして6月と言えば《梅雨》。雨で一休みじゃないですが、活動的になれない分、半年を振り返る時間を作るのもいいかもしれませんね。 雨音を聞きながら、、、なんて悠長な事言える余裕がほしい、東京店SHOPMASTER(佐野)です。 さて、 ジメジメと気分の乗らない梅雨時期ですが、そんな気分を晴らす、お客様の素敵な仕上がりをご紹介させていただきます。 今回の《お客様ありがとう》は、夏のファッションにおいて、まさに主役アイテム、【パンツ】のデザインにとことん拘りぬいた、Iさんのスペシャルスーツが完成しましたのでお披露目させていただきます。 Iさんにお披露目していただく前に、ここまでのストーリーを再確認していただくと、より本編が楽しめますので、是非ご覧ください!
では早速Iさんに登場して、、、の前に、前回大まかなデザインの打ち合わせを済ませたところで一旦持ち越しでしたのでまずはその続きから。まだまだ、じらしますよ~。 少し前回までのおさらいをしましょう。 パンツに並々ならぬ拘りをお持ちのIさん。その理想のパンツのデザインはまずこんな感じ。
どうです?なかなか見ないデザインですよね。 大まかにデザインのポイントをまとめると、、、
①~③については、採寸をしながらどの程度まで再現できるかをご相談という感じですが、④深く、そして立体感のあるタックを表現するには、実は《生地選び》が重要。 と言うのも、立体感のある仕上がりを目指すには、寸法ももちろん重要ですが、スーツの大元となる生地が最も重要。 立体感のある仕上がりは、生地の肉が厚く、コシのある生地を選ぶのが基本。 柔らかく滑らかでしなやか、そして薄手の生地では、いくらいい寸法を導き出せたとしてもその大元にハリコシがなくしっかりしていなければ、実現は不可能です。 Iさんは春夏をメインとしたスーツのご注文ですから、比較的生地が薄く軽い生地がメイン。 そんな中今回Iさんの理想の仕上がりを表現できる生地がコチラです。
縦糸と緯糸ともに強撚糸を使用し、しっかりとしたハリコシと通気性に優れた生地。 太くハリコシの強い強撚糸を贅沢に使用し織り上げられた重みのある生地は、洋服を立体的に仕上げるにはピッタリ。 また、かなり生地の目が粗く(ドライタッチ)、通気性にも優れているため、夏の暑い時期に快適に着用いただけるだけでなく、生地自体が湿気を含まない(これ重要です。)ことから、いつでもシャキっとした表情を常にキープ。 『仕立て映え』という言葉がしっくりくるそんな生地です。
立体感のある仕上がり&タックの美しさを表現することを目的とした、Iさんとの生地選びですから、もうこれ一択と言った感じで生地選びは意外とスムーズに決定。 理想のパンツに1歩ずつ近づいてきました。 さて、ですがここからが本番とでも言いましょうか、今回のパンツの①~③のポイントをどれだけ採寸時に落とし込み、Iさんの理想のパンツに近づけるのか、戦い(楽しい)が始まります。 それでは、まずIさんのパンツのデザイン(仕様)を見ていきましょう。
デザイン表の中で特に☆の付いているデザインは、非常に特殊で通常のパンツではまず見ないデザイン。 この☆マーク=①~③のポイントの落とし込みになりますので、これをクリアすることが、をIさんの理想のパンツを表現するには必須。 ではこの☆をどのように落とし込んだのか見ていきましょう。
今回Iさんの一番のこだわりポイントと言ってしまいましょう。 それが『ループ位置』。 ウエスマントップから《2.5cm》下げた位置にループを付けること。 これを実現するには、1つネックになる事があります。それは、、、『ピスポケット』です。 ループの付け位置は下げる事は出来るのですが、ピスポケットの位置は変更することが出来ません。 採寸時の画像をご覧ください。パンツに付いているクリップが、《2.5cm》ループの付け位置を下げた時のループとピスポケットのバランスです。 ループのすぐ下にピスポケット。明らかにバランスが悪いですよね。。。 という事で、デザイン表☆のピスポケットをご覧いただくと『無し』とありますが、ループの付ける位置を最優先とし、ピスポケットは無しに。
ループ位置をウエスマントップから2.5cm下げる。それだけではIさんの理想のパンツを表現することはできません。 【ループの付ける位置・ループの本数・ループ巾・ループ長さ】このすべてを実現しない事にはIさんのパンツは完成しないでしょう。 Iさんにお持ち込みいただいた、Fumiya Hirano “EDWARD”を参考に、指示書を作成(あんまり上手じゃないですが、、、)その全てを表現していきます。 うぅ~ん、なかなか骨の折れる採寸でしたが、やはりね、Iさんの熱い思いを実現するには私も本気で応えないといけませんが、それが楽しいのなんのって。 ですが、ここまでどんだけ楽しくっても、出来上がった時の『笑顔』がゴールですから、この先が1番大事。
それでは、ここからは、Iさんの理想のパンツを表現することができたのか?!果たしてIさんの『笑顔』を見る事がで出来たのか?!ご覧いただきたいと思います。 Iさんお披露目よろしくお願いします!
Iさんいかがでしょうか??Iさん『いいですね!』(満面の笑みいただきました。) 先にご案内した①~④のこだわりポイントを全て落とし込み、細部のデザイン(ループの付ける位置・ループの本数・ループ巾・ループ長さ)を詰め込んだIさんのパンツ、なかなか完成度が高いのではないでしょうか。笑顔を見た瞬間に正直めちゃくちゃ『ホッ』と胸をなでおろしましたが、、、。しかし、うん、Iさんのパンツ、、、カッコイイですね!
Iさんの理想とするFumiya Hirano “EDWARD”と、それをデザインソースとして表現した今回のパンツを見比べていただきます。負けず劣らずの出来ではないでしょうか。 ループの位置を優先するために、ピスポケットは『無し』にはなりましたが、そこは逆にスッキリとでも言いましょうか、『無し』でも全然イケる表情かと思います。 ウエスマントップから2.5cm下げたループ位置に始まり、ループの本数や長さ、幅などなど、パンツのこだわりポイントではありますが、ポイント④深く、そして立体感のあるタックにも是非注目してください。
生地の説明でご案内した通り、深く立体感のあるタックの仕上がりを表現するには、この生地はうってつけだなと。美しいタックですね。 ループが勿論主役かと思いますが、パンツの顔とも言えるタックの表情は見逃せませんね。 Iさんも実際、、、『この立体的は元のパンツより迫力があっていいですね!』とお言葉を頂きました。 そして実は何よりも、Iさんのお体に合わせてサイジングをしたことが一番大事だったりします。 Fumiya Hirano “EDWARD”を穿くときに、実はウエストサイズ等を直して穿いていらっやいます。元ある物を直すと本来の美しさは損なわれると感じますし、Iさんもそう感じてらっやいました。 理想のサイジング。それはオーダーでしか達成できない醍醐味ですね。 以上、Iさんの【パンツが主役!なスーツ】をご紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか。 ん?!【パンツが主役!なスーツ】なんだよね?上着はどうした?! そんな声が聞こえてきそうですので、ご紹介せねばですよね。
うん。ジャケットはいたってシンプルですから。こう、スーツで着てしまうと(言い方良くないですね。。。)まあ、シンプルですから、敢えて詳しくは省かせていただきました。 ですが裏地がまた素晴らしい、、、
表地がシンプルな分、裏地は思い切って。うん。美しいです。 『神は細部に宿る』じゃないですが、やはりここまでできるのがオーダーの楽しみですね。 改めましてIさん、この度はご注文、そして本コーナーのご出演誠にありがとうございました。 今後共末永く、是非よろしくお願いいたします! ~後日談~ Iさんから、同じデザインで生地違いで、単品スラックスをご注文いただきました。 ありがとうございます。 皆さんも是非、パンツが主役なこれからの季節だからこそ、パンツにこだわってみたら、、、きっと楽しいですよ!