2022年3月18日更新
2022年も3月中旬を過ぎ、やっと日中は春の風を感じる過ごしやすい気温になってきましたね。ただ夜になるとグッと気温が下がるため、お出かけしようとしてもどの程度の厚着をすればよいのか迷ってしまうのは私だけでしょうか? 私は荷物を極限まで減らして出かけたいタイプで、特にアウターを脱いで手で持って歩くようなことは絶対に避けたい人間なので(共感してくださる方はいますか⁉)、今の時期が一番苦戦しております。本格的な春の訪れが本当に待ち遠しいです。 そんな冬の寒さがまだ少し残る今日この頃ですが、街に出るとどこのショップもすっかり《衣替え》が終わり春夏モードに。 皆さんはこれから始まる春夏シーズンに向けて着々と準備は進んでいるでしょうか。 春は新年度や新生活など新たなスタートが多い時期。装いも新たにするのに絶好のタイミングですから、この2022年春夏シーズンでは今まで試したことのない色柄やデザインなどを取り入れた《新しいスタイル》に是非挑戦してみませんか⁉
ということで、そんな《新しいスタイル》に挑戦したい!という方に是非参考にして頂きたいとっておきのオーダーをこの度頂きましたので、ご紹介させて頂きたいと思います。 きっと『ファッションは楽しい!』そう思わせてくれる内容となっておりますので、是非最後までご覧頂けますと幸いです。 今回ご紹介させて頂くお客様は、本コーナーの常連様であるAさんです! 《新しいスタイル》を作るべく、当店では様々なお仕立てに挑戦し続けてくれる若きファッショニスタのAさんですが、今回は、一体どのようなお仕立てに挑戦してくれたのか。 早速ですがまずは今回の生地からご紹介させて頂きます。 実は、本来であればお仕立てされたい生地についてお聞きしながら一緒に決めていくのですが、今回は事前に店長の佐野と次回仕立てる生地について色々話し合っていたみたいで、ほとんど決まっている状態でした。(ここまではあまりストーリーがありませんが、ここからが注目です!) Aさんと佐野と言えばYOSHIMURA&SONSが誇る生粋のファッショニスタコンビ。 きっと決まった生地も普通ではないはず。 Aさんがご来店されるまではどんな生地なのか私は知らなかったので、密かに楽しみにしていましたが、「河本君、よろしく!」と佐野から託された生地を見ると「やっぱりAさんらしいツウな生地ですな~」の一言でした。 今回も相当チャレンジングな生地をセレクトされましたので、まずはそちらからご紹介させて頂きますね。
昨年のAWシーズンよりYOSHIMURA&SONSコレクションに仲間入りしたCANONICO 21Micron。従来のカノニコの美しい光沢感や軽く、滑らかで柔らかい生地感といったイメージを覆す、どちらかというとマットな光沢感にヘビーウェイトの目付け、またハリコシがあり立体的に仕立て映えもする、まるでイギリス生地のような生地となっております。 そんな21Micronの生地で今回選ばれたのは、グレイベージュのヘリンボーン柄。 お色はグレイベージュと紹介していますが、実際は光の加減でベージュやライトブルーにも見えるようなベースの生地にイエローのヘリンボーン柄が入ったなんとも面白い生地です。また昨年のYOSHIMURA&SONSコレクションに入っていなかったこちらの生地は、本来のマットな光沢感ではなく、しっかりイタリアらしい色気のある光沢感がありながらも、イギリス生地のようなハリコシも兼ね備えているため、より一層光沢感が美しく映るといったまるでイタリア生地とイギリス生地を絶妙にいいとこ取りしたような生地です。 実は、こちらはAW生地であり、SS生地の入れ替えの直前にグレイベージュの生地を含め、色違いの生地も何点か店頭に出したのですが、やはりちょうど皆さんも衣替えの時期でしたので、中々手に取る方はいらっしゃいませんでした。そのため、まだ在庫は残っておりますので、気になる方は是非スタッフにお声がけください! さて、Aさんらしいパンチが強めの生地に決まりましたが、 今回、皆さんにご覧頂きたいのは特殊な生地で作るスーツではなく、 特殊な仕様を盛り込んだエキサイティングなスーツです。 一体どのような仕様が盛り込まれているのか。 これからAさんの個性とこだわりに溢れた仕様が色々登場しますので、是非楽しみながらご覧ください。 特に今回のキモとなっている《ジャケット》は必見です! それでは、今回のWスーツの仕様とデザインをご案内していきたいと思います。
お客様いらっしゃい・ありがとうシリーズをいつも拝見して頂いている方ならこの☆印のデザインは知ってくれているのではないでしょうか。 ただ、今回初めてご覧なられている方や忘れてしまった方のために この☆印のデザインについてご紹介させて頂きます。
向きの折山(インタックとアウトタック)が向かい合うような形になっているBOXタックというものにプラスでもう1本横にタックが入るといった複雑な構成をしているこのBOXタック+1本。なかなか既製のスラックスでは見られないデザインですので、デザイン性の高いスラックスをお求めの方には非常にオススメです。
オビ巾は通常3.5cmですが、今回の 5.0cm のように太めすることで、見た目のインパクト、デザイン性が上がると同時に、上記でご紹介したBOXタック+1本で太もも周りにボリューム感を持たせることで、より腰回りが引き締まった印象にしてくれます。また、持ち出しを通常の約5.0cmから 16cm まで伸ばすことでデザイン性をプラス。そこにバランスを見ながら9.0cmの位置にループを付けることで1つのアクセントに。 この「オビ巾、持ち出しの長さ、ループ位置」は好みに合わせて調節が可能ですので、興味のある方はご相談ください。
Aさんのお仕立てのご紹介で一番記憶に新しいのがこの《バック尾錠》ではないでしょうか。 いまいち写真だけでは自分の作りたい尾錠を伝えるのは難しい、と事細かな各部分の長さまで描いてある型紙を実際に作成し持って来てくださいました。 こちらのデザインにつきましては、より詳しくご紹介しているページを下記にご用意しましたので、是非こちらをご覧ください!
さて、今回のメインといっても過言ではないジャケットのデザインがこちらです。 もうこれを見ただけでもとんでもないものが出来上がってきそうな予感がプンプンしますよね。 実は、Aさんがまたあるものを持ってきてくれたんです。 それがこちら、
そう、Aさんが今回仕立てたいダブルジャケットのデザイン画を描いてきてくれたんです。 前回のバック尾錠もそうですが、Aさんのこのマメさには本当に感動します。 (そして相変わらずの絵の上手さ、、、)
しかし、こんなにきれいなデザイン画が色々詰めてデザインを決めていくと、
結局こんな感じになってしまいました。(汚くてすみません。) それでは、このデザイン画を基に決定したデザインの中でも特にこだわった☆印の箇所をご紹介していきたいと思います。
通常フラワーホールには眠りハトメ(鳩の目が閉じているような形の穴)と呼ばれるものが使用されるのですが、今回は袖口釦ホールに使用されるハトメ (鳩の目が開いているような形の穴)と呼ばれるものを付けます。 また、もちろんのこと通常は1つしかつきませんが、今回は2つ付けるといった大胆なデザインになっています。
簡単に言えば、パッチポケットの中にもう一つパッチポケットがあるようなデザインです。 ただ、中のパッチポケットがすっぽり隠れてしまうとチェンジポケット風の意味がありませんので、約4.0cmほど外のパッチポケットから顔が出るように設定しております。
これは、ベントと袖の開き口(左右共に)の根元から中心に向かって4.0cmミシンステッチを見えるように入れるというもの。 どこかのブランドがこのようなデザインをしていたわけでもなく、Aさんが普段から街行く人のスーツ、ジャケットスタイルを見ていく中でふと、このデザインが思い浮かんだそうです。 すぐにこのデザインを実現させたい!と行動に移すAさんはやっぱり流石ですね。
ダブルジャケットのボタンは、基本的に着丈とのバランスを考えて縦長の長方形に付きます。しかし、今回は本来バランスを保つために長方形に付くボタンを正方形になるように付けます。 しかし、これだけ工場に伝えても実際どの位置にどのぐらいの大きさの正方形で付ければ良いのか分からないため、Aさんとしっかり打ち合わせをして決めました。 このデザインに関しましては、私もどのような見え方をするのか想像がつかないため非常に楽しみにしております。
ネームの位置は、通常ジャケットの右内ポケットの上辺りに付くのですが、Aさんはネーム位置をなんと衿裏に。そんな事できるの?と思われた方も多いかと思いますが、実は出来るんです!しかし、衿裏でも位置によって出来ない箇所もございますので、まずはスタッフにご相談ください。 さて、どんな文字を入れたかと言うと、、、【Forget rules if you like】意味は「自分の好きなものであればルールは忘れろ 細かいことは気にするな」みたいなニュアンスみたいです。もうAさんにぴったりな言葉ですよね。またこれを敢えて見えない衿裏に入れるところもAさんのシャレオツさが滲み出ていますね。 衿裏だけに裏話ですが(しょうもないですね。すみません。)この言葉はSNSで見つけられたみたいなのですが、本来はもっと長い言葉だったそうです。 しかし、全て入れるのは長すぎるという事で、好きな部分だけを切り取ってまた新しい言葉にしたんだとか。やはりここでもAさんのマメさが出ていますね。素晴らしいです。
Aさんのこだわりを盛り込んだエキサイティングなダブルスーツをご紹介させて頂きましたが、皆さんいかがでしたか。 一体どこまで実現できるのか、私もドキドキしながら完成を待ちたいと思っております。 次回は、完成したスーツを実際に着用されたAさんもご登場して頂きますので、是非皆さん次回の「お客様ありがとう」まで楽しみにお待ちくださいね。