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長年の憧れ【フォーマルでロックなジャケット】をオーダーで。


皆さん、こんにちは。
新年度が始まったかと思えば、もう1か月が過ぎ
時間の過ぎ行く早さと、季節の切り替わりについていくことができていない大嶋です。

明日から始まる5月は、もう初夏と言わざるを得ない暑さになりそうですから上着を羽織っておでかけとはいかなくなってしまいそうですね。

「まだ半袖を出すわけにはいかない、でないと夏を超えられない」

5月は毎年のように意気込んで過ごしているので、
大嶋にとっては、一年でもっとも過酷な月だったりします。
急激に上がる気温の影響で体調崩さないよう、気をつけましょうね。


さて、さまざまなファッション分野において、
「楽さ」、「汎用性の高さ」が重視され、
YOSHIMURA&SONSでも取り扱いのある、〈機能性素材〉のような生地や、
軽量仕立てが人気、というよりも、〈当たり前〉になりつつある昨今。

今回の「お客様いらっしゃ~い」
でご紹介させていただくご注文は、〈楽さ〉や〈汎用性の高さ〉といった機能とは大きく異なる、
オーダーならではの〈憧れ〉を詰め込んだ「フォーマルでロックなジャケット」

そんなご注文を、YOSHIMURA&SONSのご利用が初めてにあたるIさんから承りましたので、ご紹介させていただきます。

ご注文は、Iさんからいただいた1通のお電話からでした。


大嶋: お電話ありがとうございます。YOSHIMURA&SONS大嶋です。
Iさん: 突然のお電話すみません。
HPを拝見しまして、「こんなジャケット」を作れないかなというご相談なんですが。
大嶋: ジャケットお仕立てのご相談ですね。ありがとうございます。
「こんなジャケット」というのは、どういったものでしょうか。
Iさん: いわゆる「エドワードジャケット」なんですが、、、
大嶋: ほぉ!「エドワードジャケット」ですか!

さぁ、今回の「お客様いらっしゃ~い」のメインともなるワードが登場です。

今回のIさんのご注文は、【エドワードジャケット】です。

Iさんとのご相談内容を進行する前に、この【エドワードジャケット】なるものがなんなのか、念のためご紹介させていただきます。

【エドワードジャケット】とは?

「エドワードジャケット」とは、遡ること1940年代。
「ズートスーツ」という、アフリカ系のアメリカ人ミュージシャンが好んで着用したスーツの形が原型のジャケットです。

上衣がひざ丈程度の〈コートのような見た目のジャケット〉で、
それに合わせるパンツは、太もも、膝に大きくゆとりがあるも、裾口は大きく絞った、今でいう、「バルーン」や「カーブ」というようなシルエットのパンツでした。

このスタイルがイギリスにわたり、イギリス流にアレンジさせたもの【エドワードジャケット】となります。

そのアレンジに一役買ったのが、当時イギリスでロックやR&Bを好んだ若者たち。
ちょい悪な彼らは、〈ドレッシー〉でもあり〈先端的なズートスーツ〉の上着を、うまくファッションに落とし込み、着用していたようです。

そのアレンジというものが、テーラードスタイルでのファッション大先生「エドワード7世」が着用したとされる〈細身のライン〉を見せるスタイリングと、「1900年代以前の貴族のスタイリング」

ズートスーツのようにオーバーサイズではなく、絞りをつけた細身のシルエットに、「上衿別生地を使用」さらには胸、腰ポケットも別生地をつかうことで、まるで貴族がごとくドレッシーな仕上げしたものでした。

ロックやR&Bを好む若者を不良少年とは言いませんが、
ちょい悪な彼らの中にも、大人っぽくありたい、大人の仲間入りがしたいという気持ちがあったんでしょうかね。

(エドワード7世が「テディ」の愛称がついていたことから、
当時の若者たちを「テディボーイズ」そして【エドワードジャケット】のことを
「テディジャケット」とも呼んだようです。)

さて、軽くルーツを紐解いたところで、Iさんとの対話に戻ります。

Iさん: 既製品で売っているものを見て回ったことがあるんですが、
細身のものが多くて、なかなかいいものが見つからず。。。

オーダーできるところを探していたところ、YOSHIMURA&SONSさんならもしかすると、ということでご連絡差し上げた次第です。
大嶋: そうでしたか!
実は遡ること、8年。YOSHIMURA&SONSで一度、おなじようなオーダーを承ったことがありましてね。
なんとかご要望にお応えできないか、一度細部を確認したいので、
お仕立ての参考となるような画像があればご送付いただきたいのですが、よろしいでしょうか。
Iさん: ご丁寧にありがとうございます!では画像が用意できましたら送ります!
よろしくお願いします!

始まりはこんな様子でした。

そしてとある日、Iさんから画像と合わせてメールが届きました。 それが以下の内容です。

お世話になります。
先日、エドワードジャケットのオーダーの件で
お電話いたしました、Iと申します。

ジャケットの画像を添付いたしますので、オーダーが可能がご検討願います。

よろしくお願いいたします。

これは、もうまさに、【エドワードジャケット】ですね。(わかってましたけども!)


ということで、いただいた画像をベースに縫製工場と相談を重ねました。

完全再現はできずともなんとか承れそう。
そう判断できたところで、できる部分できない部分を
Iさんに改めてお電話にて、お伝えしたところ
さっそくご来店の予約をしてくださり、いよいよご来店となりました。


ご来店当日

Iさん: 予約しておりましたIです。よろしくお願いします。
大嶋: Iさん、お待ちしておりました。
先日は参考の画像をありがとうございます。
Iさん: いえいえ、こちらこそご相談に乗っていただきありがとうございます!
大嶋: こういったご希望にお応えするのが、我々テーラーですから。
ちなみにこれまたなんで、【エドワードジャケット】をお探しなんですか?
Iさん: それはね、私が好きなロックバンドがいまして。
そのバンドのライブに着用していきたいんですよ。
大嶋: なるほど!ライブ用の勝負服ですね!
Iさん: ロックバンドなので、やっぱり「ライダースジャケット」を着てくる人が多いんですが、ここはひとつ、【エドワードジャケット】がいいなと。
大嶋: それは、しっかり決めていきたいですよね。
Iさん: 実をいうと、学生のころから応援しているので、【エドワードジャケット】にはずっと【憧れ】があったんですが、なかなかいいもの、サイズが合うものに巡り合えず、一時期諦めていたんです。
ただその気持ちが再燃しまして。オーダーショップもいくつか回ってみたんですが、断られてしまって。
大嶋: そうでしたか、、、ただ、安心してください。YOSHIMURA&SONSならできます!
Iさん: ありがとうございます。
大嶋: では、生地や仕立てについて、改めてご相談させてください!

あとで調べたところ、Iさんの応援されているバンドのライブでは、
メインボーカルの方が、【エドワードジャケット】を着用して演奏するナンバーがあるようで。
それは着ていきたくなりますなと納得。


ということで、仕様を決めていくこととなりましたが、
Iさんは当日用で、もう一つ参考画像を用意してきてくれました。

Iさん: この画像の左側の赤と黒の部分を逆にしたものがいいなと考えてまして。
大嶋: 赤と黒ですか。。。
Iさん: 黒はなるべく濃い色が良くて、赤は見てみて考えたいなと。
あとはライブで着るので、できれば〈涼しいもの〉がいいなと。
大嶋: なるほど、、、かしこまりました!

威勢よく答えたものの、【エドワードジャケット】に使われるような鮮やかな色味を探そうと思うと、これは仕様以前になかなか、、、(エドワードジャケットという段階である程度覚悟はしていましたが、、、)


と思っていたら、いくつかありました。
ご提案した生地は以下の通りです。


生地決め

ベースとなる黒生地

1. フォーマルスーツ用生地

黒の濃さはお墨付き。フォーマルスーツ用生地です。
濃いものをお求めでしたので、一番の有力候補としてもってきましたが、そこまでフォーマルにしたいのかどうか、Iさんの反応はいかに。

2. YOSHIMURA&SONSオリジナル生地

〈ウール100%〉のYOSHIMURA&SONSオリジナル生地です。
フォーマルスーツ用生地ほど、色の濃さは出ませんが、むしろその点が日常での使いやすさを演出できるため、プライベート使いのIさんにはぴったりか。

3. ロロピアーナ ジランダードリーム

フォーマルなイメージにもなる【エドワードジャケット】
これには平織りでも〈柔らかな質感〉を楽しめる、ロロピアーナジランダードリームも提案しようと。重くなりすぎず、ドレスにもきめる、Iさんのお仕立てには相性が良さそう。

衿等パーツに使用する赤生地

1. オリジナル生地ウール100%

ウール100%の〈無地(ホップサック調)生地〉です。
提案生地の中でもっとも発色が良く、「赤色といえばこれ」と言い切れる、通常のジャケットを作るにもぴったりの生地です。黒とのコントラストを楽しむのに最適か。

2. オリジナル生地

倉庫より持ってきた詳細不明の生地です。
化繊が混じったような、硬さの中にしなやかさのある手触りで、「艶のでないマットな表情」は着飾りすぎないコーディネートを作り上げることができそう。

3. 機能性素材ポリエステル100%

赤というよりも〈ボルドーに近い〉機能性素材
ベースとなる黒に色が若干近づくことで、馴染みよく、また大人の色気を感じさせるような色味のため、サイズ感もいわゆる「エドワードジャケット」スタイルと異なりますので風合いもまた一つアクセントを加えてもいいのかなと。

大嶋: さて、生地いかがですか。
Iさん: うーん、どれも素敵ですが、、、
黒は濃いものがいいというのは反射等で、白っぽくなってほしくないので、
黒の生地はフォーマルスーツ用のものにしましょう。
赤の生地は、、、黒のマットな風合いと合わせたいので、
詳細は不明ということですが、、、2番目の生地にしたいです!
大嶋: かしこまりました!では、その2つでいきましょう!

生地が決まり仕様決めに移っていきます。


仕様決め

できる限りIさんのご希望を詰め込んだ【エドワードジャケット】にするべく、工場との相談の際は、私の書いた図をもとに話をしました。

それをもとに、決まったデザインがこちら。

基本デザイン シングル1つボタン
衿型 ショールカラー
ベント ノーベント
フロントカット
腰ポケット 両玉フタ無し
胸ポケット 両玉フタ無し(両胸付き)
袖ボタン 3つ
ボタン くるみ
裏地 キュプラ赤
特殊仕様 衿・腰P、胸P玉縁・ボタン赤い生地使用
袖先別生地仕様

1つのアイテムで2つ生地を選ぶのは比較的レアケースではありますが、
衿とポケットの別生地使用に関していうと、タキシードでもお受けする形ですので、
(胸ポケットが両方に、そして両玉なのはなかなかレアですがね。)

今回の注目はやはり【袖先の仕様】ですね。
これをどうクリアするか。ずっと考えていたのですが、、、


採寸

【エドワードジャケット】は冒頭でも記載したとおり、
基本的に細いシルエットのものがベースとなります。

ただ、今回ご注文のIさんはご職業柄、体ががっちりされており、
胸はもちろん、肩や、袖巾など、いわゆる通常の【エドワードジャケット】は
なかなか合いにくいご体型でしたので、今回私の採寸にて、しっかりゆとりのある【エドワードジャケット】を一緒に作りあげていくこととなりました。

各所採寸は、Iさんのご希望がしっかり固まっていたこともあり、スムーズに進んでいったのですが、

やはり問題発生です。

袖先の特殊仕様。これがどうもしっくりこない。
どう伝えたらよろしいか。。。

大嶋: Iさん、袖部分の切り返しの幅とバランス、どうしましょうか。
Iさん: お願いするのに申し訳ないんですが、正直私もわからないです。。。
大嶋: うーーーーーん。。。
よし、わかりました。お任せください!
Iさん: はい、お願いします!

ということで採寸を終えました。

ご来店から生地決め、デザイン決めの間、終始笑顔で楽しい時間を提供してくださったIさん。
学生時代から応援しているバンドを今もまだ応援し続けている、
その事実自体が私はすごく素敵に感じましたし、そしてそんな素敵なことのお手伝いができると思うと大変嬉しく思いました。

仕上がりでもっとIさんに笑顔になっていただけるよう、
完璧な仕様書を作ろうと心に決めた大嶋。
お任せくださいといった「袖先の特殊仕様」当然ながら、勘でやるなんて適当なことはいたしません。

どのようにしたかというと、こんな感じ。

「切り返しパーツ」のサンプルを作成し、どうしたらバランスがよくなるのか、袖ボタンくるみ3つボタンのものがあったので、それにつけて仕様書を作りました。

さぁ、これが一体どんな仕上がりとなるのか。

それは、今度の「お客様ありがとう」にてご紹介させていただきます!

どうぞお楽しみに!!
最後までご覧いただきありがとうございます!


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